Team-based learning (TBL) in health professions education: A systematic review on its conceptual elements and outcomes.
Roossien, L., van Klaveren, L. M., de Vos, R., Dolmans, D. H. J. M., & Boerboom, T. B. B. (2025).
Medical Teacher, 1–15. https://doi.org/10.1080/0142159X.2025.2506723
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2025.2506723?af=R

研究の背景と目的
TBLとは
- 3つの段階から構成される構造化された学習活動
- 準備段階(Preparation phase)
- 準備確認段階(Readiness assurance phase)
- 応用段階(Application phase)
- 準備確認段階には、個人準備確認テスト(iRAT)とチーム準備確認テスト(tRAT)の両方が必須
Michealsenの概念モデル
論文では、TBLの7つの要素を持つ概念モデルを使用:
中核要素:学習者エンゲージメント
- E: 個人の学習内容への関与
- F: チーム内での関与パターン
影響要素(E・Fを取り囲む)
- A: 教師の決定
- B: 個人特性
- C: 文脈要因
- D: チーム特性
結果要素
- G: 学習成果
方法: PRISMA ガイドラインに従い、PubMed、Medline、Embase、ERIC、PsychInfoの5つのデータベースを検索。最終的に179の研究を包含。
主要な研究結果
1. 研究の地域・分野分布
- 実施国: 27ヶ国、米国が最多(79研究、44.13%)
- 教育分野: 医学が最多(91研究、50.84%)、次いで薬学(35研究)、看護学(29研究)
- 研究デザイン: 量的研究のみが73.18%、質的研究のみが5.59%、混合研究法が21.23%
2. Michealsenの概念モデルの7要素別分析
A. 教師の決定(13研究、高品質8研究)
新要素の追加研究:
- ガイド付き省察とフィードバック:2つの連続研究で、TBLチームでのリーダーシップに関するガイド付き省察とフィードバックを組み込み。共有リーダーシップの向上はなかったが、リーダーシップアイデンティティの発達に寄与。
- 個人口頭防御(IVD):TBLにIVDを追加した研究で、学生エンゲージメント、理解度、教員との相互作用、推奨事項の口頭防御機会が向上。学生は従来のTBLよりもTBL-IVDを好む傾向。
- 追加TBL課題:応用セッションへのTBL課題追加により学生成績が向上。
- チーム試験:中間試験前のチーム試験追加で、学生は知識強化に有益と評価。
要素の除去研究:
- tRAT除去:看護学生のチーム効力感に影響なし
- iRAT非評価:評価されないiRATは評価される条件と比較して学業成績が有意に低下
B. 個人特性(16研究、高品質7研究)
学業成績による効果:
- 低成績学生がTBLで高成績学生より大きな改善を示す
- 特にTBL経験がある場合に顕著
- 最低成績チームが必ずしも一般的に低成績の学生で構成されるわけではない
性別による差異:
- 2研究:男性がTBLにより肯定的で成績も高い
- 1研究:女性がTBLにより肯定的
- 結果は一貫していない
C. 文脈要因(8研究、高品質5研究)
オンライン vs 対面TBL:
- 学生はオンラインTBLに肯定的
- 動機、エンゲージメントに差なし
- 知識保持:オンラインTBLでより高いレベル
- 学業成績:同等
座席配置(対面TBL):
- 進行役への向きはエンゲージメントに影響なし
- 初心者学生では進行役との距離がエンゲージメントに影響
出席率:
- 一般的に高く、学業成績と弱い相関
D. チーム特性(2研究、高品質0研究)
チーム編成方法:
- 個人の強みによる層別化 vs ランダム化:大きな差なし
- 学習スタイル:多様な学習スタイルを持つチームが同一学習スタイルチームより良好な成績
E. 個人の学習内容への関与(22研究、高品質13研究)
準備時間:
- TBLセッションでは従来学習より準備時間が長い
- 個人学習と協働自己学習の両方で増加
教材の種類:
- 動画:読書やオンラインクイズより有用と認識
- ポッドキャスト:利用度高いが、3日間TBLワークショップ中に視聴率低下
- iRAT評価:評価されるiRATでは事前学習教材のダウンロード頻度が高い
準備と成績の関係:
- 準備教材の種類はiRAT成績と無関係
- 報告された準備時間:全TBL評価の成績を予測
- 個人準備不足チーム:tRAT成績低下、個人学業成績も低下
授業中エンゲージメント:
- 他の教育設定と比較してTBLで高い個人学生エンゲージメント
- 個人認知エンゲージメント:成績の重要な予測因子
F. チーム内での関与パターン(22研究、高品質10研究)
ピア評価(4研究):
- 学生は肯定的フィードバックは適切に提供可能
- 改善点の指摘:能力が低く、時間経過でも改善なし
- 影響要因:社会的不安、限定的責任感、フィードバックスキル不足
- チームワークとチーム動態:時間経過で発達
- 多職種連携教育(IPE):チームメンバーによるピア評価と自己評価の参加度に有意な関係
リーダーシップ:
- IPEでのピアリーダー識別:学習プロセスに影響するが学習成果には影響なし
- 共有リーダーシップ能力:ガイド付き省察とフィードバックで向上
学習環境デザイン:
- 多職種TBLでのグループ結束プロセスに寄与
- 進行役への向き:チーム内エンゲージメントに影響なし
- 初心者学生:進行役に近い座席でより高いエンゲージメント
チーム効力感:
- tRAT使用の有無に影響されない
G. 学習成果(171研究、高品質103研究)
レベル1(反応)- 74の高品質研究:
学生認識(58研究):
- 全体的傾向:3研究除き全てで高スコア(オンライン・対面両方)
- エンゲージメント:他教育設定よりTBLで高い、能動学習を楽しむ
- 学習体験の質:
- TBL課題を楽しむ
- チーム内外の議論を評価
- 進行役との相互作用を好む
- 興味深いと感じる
- 学習効果の認識:
- 教材理解の促進
- 疑問の明確化
- 知識向上
- 自信の発達
- 問題解決スキルの向上
- コミュニケーションスキルの向上
学生満足度(17研究):
- 16研究で高満足度(他教育形態との比較含む)
学生の好み(8研究):
- 全研究でTBLを他教育形態より好む
レベル2A(知識)- 69の高品質研究:
知識増加のみ評価(23研究):
- 全研究で知識増加を確認
他教育との比較(23研究):
- TBL学生でより高い知識発達(17研究が従来講義との比較)
- 条件付き効果:
- 2研究:低成績学生のみで効果
- 1研究:長期知識のみで効果
- 1研究:短期知識のみで効果
差なしの研究(13研究):
- TBLと他教育で知識に差なし(10研究が従来講義との比較)
- 1研究:複雑な知識問題のみTBL学生が優秀
TBLで低い結果(1研究):
- 従来講義と比較してTBL学生の知識が低い
レベル2B(スキル)- 7の高品質研究:
臨床推論(3研究):
- 2研究:TBLが従来講義・能動学習グループより高成績
- 1研究:TBLで臨床推論向上も知識習得に影響なし
問題解決スキル(1研究):
- TBL学生が従来講義学生より問題解決・臨床成績で高スコア
リーダーシップアイデンティティ(1研究):
- ガイド付き省察・フィードバック付きTBLで、なしTBLより発達促進
批判的思考・自己ケアカウンセリング(各1研究):
- 両方でスキル発達の増加
レベル2C(態度・自信・コミットメント)- 29の高品質研究:
態度(24研究):
- 幅広い態度を調査:政治的洞察力、多職種学習、チーム学習/チームワーク
- 2研究除き全てでTBLの態度への正の効果
自信(7研究):
- 4研究:学生自信の増加(他教育との比較含む)
- 2研究:TBLと従来教育で自信に差なし
- 1研究:TBL学生の自信増加なし
コミットメント(1研究):
- TBLと従来講義で差なし
レベル3(行動)- 2研究:
- 1研究(高品質):ガイド付き省察・フィードバック追加TBLで共有リーダーシップ能力向上
- 1研究(非高品質):TBLでチームワークに正の効果
レベル4(結果):
- 該当研究なし
オンライン vs 対面TBLの比較
研究分布
- 総179研究中:対面171研究、オンライン8研究
- 要素別オンライン研究:
- A(教師決定):0研究
- B(個人特性):0研究
- C(文脈要因):3研究
- D(チーム特性):0研究
- E(個人関与):0研究
- F(チーム関与):0研究
- G(学習成果):8研究
オンラインTBLの具体的効果
同等の効果:
- 学生動機
- 学生・教員エンゲージメント
- 学業成績
オンラインで優位:
- 知識保持レベル
学生反応:
- オンラインTBLに肯定的
研究の限界と今後の課題
研究の限界
- 数値的効果の未測定:研究範囲上、TBLの数値的効果を測定していない
- 質評価ツールの適応:医学領域から教育研究領域への適応における語彙の違い
- 研究の多様性:分野、レベル、国の大きな違いによる特定教育設定への結論の限界
実践への示唆
- TBLの安全性と有効性:対面・オンライン両設定で従来講義より学生認識、体験、知識関連学習成果、エンゲージメントに正の影響
- 質保証の重要性:全TBL要素に焦点を当てた質保証、学習成果のみでなく全要素への注目
- TBL構造の維持:調整よりも記述された全要素を含むTBL組織化に注力
今後の研究の方向性
- グローバル研究アジェンダ:関連研究への焦点、TBL要素間の一貫性と相互作用確保
- 高次学習目標の長期測定:Kirkpatrickの高レベルでのTBL効果測定
- 観察的・質的研究:「機能するか」でなく「どう機能するか」への焦点
- 測定ツール開発:決定要因と成果測定のための妥当で信頼性の高いツール
- 要素A-Fの研究:理論構築とTBL有効性の決定的証拠のため
- オンラインTBL研究:HPEでの使用増加に伴う効果と主要影響要因の研究