Is Team-Based Learning Effective for the Medical Student in Difficulty?.
Patel, M.
Med.Sci.Educ. (2025). https://doi.org/10.1007/s40670-025-02355-2
チーム学習は、医学コースにおいて、少人数で能動的に学習する手法として広く受け入れられている。 チーム学習は、学生が構造化された方法でトピックについて議論し、探求することを可能にする。 設定された課題は、問題解決能力と専門家としての姿勢を養います。 学生は協力し合い、知識を共有することで、自信と臨床用語を身につけることができる。 講義に比べ、チーム学習による学習経験にはより多くのばらつきがある。 しかし、評価に不合格となったような困難な状況にある学生にとっては、現在のチームベースの学習環境を維持しても有益な結果は得られないかもしれない。 ここでの回答は、困難を抱える生徒の一部が、学習を発展させるためにチームベースの学習を活用していないことを示していた。 特に、成績優秀な学生がセッションを支配している場合、困難を抱えている学生は、他の学生よりも自信がなく、グループ内で自分の意見を述べることに消極的になる可能性がある。
研究の背景と問題提起
医学部では様々な教育手法が使われており、特にチーム基盤型学習(TBL)は学生の積極的参加と能動的学習を促進する方法として広く採用されています。しかし、試験に不合格となった「困難を抱える学生」にとって、現行のTBL環境が必ずしも効果的でない可能性があります。
研究方法
- 研究対象:1年次または2年次の医学部の総括的評価で合格点以下であった12人の医学生(うち8人は留年中)
- データ収集:一対一の面接で現象学的アプローチを使用
- 質問内容:
- TBLでの経験における利点・肯定的側面について教えてください
- TBLでの経験における課題・否定的側面について教えてください
TBLの実施形態
研究が行われた大学では、TBLは以下の構造で実施されていました:
- 学習者中心だが教員主導のケース・ベース協調学習アプローチ
- 個人準備確認テスト、チーム準備確認テスト、短答式問題などの構造化された活動
- 学生同士の質問や概念の議論(コンピュータ使用可)
- 教員からのフィードバック
- 各セッションは約2時間で、1つの生理学的システムや状態をカバー
困難を抱える学生がTBLで感じる利点
- 他の学生との会話の価値:
- 「講義についていくのが難しいときは、主に他の人の話を聞きます。スライドの内容が多すぎるので、グループに入ると安心します」
- 「社会的側面がモチベーションを維持してくれました」
- 親しみやすい学習環境:
- 「答えを得られれば、何かを見逃した場合に家で読むことができます」 「何をすべきか混乱することもありますが、タスクによっては楽しいこともあります」
- 孤独感の軽減:
- 「他の学生と話すことで、学習量の多さに苦労しているのは自分だけではないと実感できました」
- 実践的学習:
- 「試験の練習問題が好きです」
- 「講義では集中力がそれほど良くないので、よりリラックスした雰囲気が好きです」
困難を抱える学生がTBLで感じる課題
- 課題の不明確さ:
- 「与えられる課題が時々非常に曖昧で混乱を招き、私やグループが何をすべきか不確かになります。教員もいつも明確というわけではありません。答えが公開されるのを待つだけです」
- グループ内の対人関係の難しさ:
- 「グループには対立する性格があり、かなり挑戦的です。友人と一緒に作業するだけです」
- 「一部の人は迷惑です。一人で作業する方が好きです」
- 議論の焦点の喪失:
- 「教材の関連性が見えないため、議論が脱線することがあります」
- 「何をすべきか理解するのに時間を費やしていました」
- 自己効力感の低下:
- 「TBLで自分の意見を表現する自信がありません。そして今では質問されたり意見を求められたりすることを避けようとしています」
- 表面的な対応策:
- 「答えをお互いに議論しません。作業を分担して後で共有します」
- 「答えをGoogle検索するかChatGPTを使うだけです」
医学生の困難への対応に関する考察
医学部で困難を抱える学生を支援することは、教育文献ではあまり注目されていません。医学部での伝統的な課題には情報の伝達や臨床スキル、専門的態度の獲得が含まれますが、試験に不合格となった学生にとっては、失敗の余地が狭く、プレッシャーが増します。
多くの医学部のアプローチは、修正計画を立てて成功するための戦略を構築するよう学生を支援することですが、TBLの力学自体が解決すべき問題である可能性があります。学生の回答から、参加し課題に取り組む際の全般的な自信に関する問題が主なハードルであることが示唆されています。
提案される解決策
- 困難を抱える学生のグループ化:
- 困難を抱える学生を一つのチームにまとめ、コーチと一緒に働くことで自信を取り戻す
- グループ内で互いに協力し意見を表現する権限を与えられる可能性がある
- 個人的支援の強化:
- 教員のアプローチの調整:
- 教員がより開かれた質問方法や肯定的なコミュニケーションを活用する
- 学生の参加を刺激するための効果的なコーチングやプロンプト
- 早期介入システム:
- 形成的評価の結果から困難を抱える学生をグループ化
- 追加支援と教員への援助を提供
結論と今後の研究方向
TBLは医学生の知識と専門的態度を発展させるために検証済みの方法ですが、困難を抱える学生は、知識獲得に役立つ特性(議論での自信、深い思考の探求、自己主導型学習への取り組み)を避ける傾向があります。困難を抱える学生により適したTBLの提供方法を考える必要があります。