医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

キング・アブドゥルアズィーズ大学医学部における問題解決型学習に関するFDプログラムの評価における学生の評価とチューターの認識

Employing students’ evaluations and tutors’ perceptions to evaluate a faculty development program on problem-based learning at the Faculty of Medicine, King Abdulaziz University

Ahlam Barnawi, Ahmed M. Sonbol, Lana Al-Shawwa, Alwalla Abulaban, Khalil Asiri, Abdulaziz Bagasi, Reem Alafari & Aliaa Amr Alamoudi 

BMC Medical Education volume 24, Article number: 708 (2024) 

bmcmededuc.biomedcentral.com

背景

ファカルティ・ディベロップメント・プログラムは、継続的な学習を促進し、教育効果を高め、医学教育者の専門的成長を促すために極めて重要である。 本学医学部では、2007年に問題解決型学習を教育戦略として導入した。 その後、教員がファシリテーターとしての役割を認識し、改善すべき点を評価するためのFDプログラムが数回実施された。

方法

我々は、医学部3年生284名をサンプルとし、アンケートに回答してもらい、21名の教員がフォーカス・グループに参加する混合法による研究を実施した。 検証された13項目の質問票を用いて、問題解決型学習におけるチューターのパフォーマンスに対する学生の評価を調査した。

結果

学生の評価

平均パフォーマンス評価

学生によるチューターの平均パフォーマンス評価は6.32(10点満点)であり、中央値より上でした。

学習アプローチとの相関関係

チューターのパフォーマンス評価と以下の5つの学習アプローチとの間には有意な正の相関が見られました(p < 0.05)。

・建設的/アクティブラーニング

・自己主導型学習

・文脈的学習

・協働学習

・内面的行動

フォーカスグループディスカッションのテーマ

チューターの強みと弱みの洞察

教員は、自分の強みと弱みを認識し、フィードバックを通じて継続的に改善していると述べました。学生のパフォーマンスが良い場合、チューター自身も良好なパフォーマンスを行っていると感じることが多いです。

PBLの実施における課題

時間管理や学生の多様性の受け入れ、主導的な学生の管理が主な課題として挙げられました。特に、PBLの価値を認識しないチューターがいることも課題となっていました。

PBLの準備方法

ほとんどの教員は、事前にカリキュラムや講義、目標を見直し、PBLセッションの準備をしています。また、実際のシナリオに基づいたケースを作成することが重要とされています。

フィードバックの提供

教員の間では、グループフィードバックが一般的であり、個別フィードバックは時間の制約からあまり行われていませんでした。学生同士のピアフィードバックも推奨されています。

PBLワークショップの改善提案

研修内容の充実や、学生オリエンテーションの実施、フィードバックルーブリックの導入が推奨されました。また、専門家による観察とフィードバックを受ける機会の提供も求められています。

考察

チューターのパフォーマンスと学習アプローチの相関関係

建設的/アクティブラーニングアプローチが他のすべての学習アプローチと有意な正の相関を示したことは、これが効果的に実施されると他のアプローチも促進されることを示唆しています。これは、学習環境全体を改善するためには、チューターが建設的なアプローチを採用することが重要であることを示しています。

フィードバックの重要性

フィードバックはPBLプロセスの重要な部分であり、学生の学習成果を向上させるためには、チューターがフィードバックを提供するスキルを向上させる必要があります。特に、フィードバックルーブリックの導入や、研修中の専門家による観察とフィードバックを受ける機会を提供することが推奨されました。

PBLワークショップの改善

PBLワークショップの改善には、研修内容の充実、学生オリエンテーションの実施、フィードバックルーブリックの導入が含まれます。また、専門家による観察とフィードバックを受ける機会の提供も求められています。

ロジスティックの重要性

PBLの実施には、タイムテーブルや教室の環境(照明、換気、座席配置など)といったロジスティックの要素が重要です。これらの要素が適切に管理されていることが、PBLの成功に寄与します。

結論

学生のフィードバックは、FDPの計画において重要な役割を果たし、プログラムの有効性を向上させるために不可欠です。

教員育成プログラムは、教員のファシリテーションスキルを向上させ、革新的な教育戦略を発見し、教室で遭遇する多様な課題に対処するためのプラットフォームを提供します。

継続的な改善とプロフェッショナルな成長を促進する文化を育むために、教員同士の協力と経験の共有が重要です。

これらの結論に基づき、FDPの継続的な改善と学生と教員の双方のニーズに応えるプログラムの設計が求められます。