Teaching Methodologies and Educational Outcomes of Point-of-Care Ultrasound in Undergraduate Medical Education: A Scoping Review
Isabel Dutra da Cruz, Marlon Natan Baracho de Oliveira, Alessandra Mazzo, Raphael Raniere de Oliveira Costa/The Clinical Teacher. 2026;23(5):e70485/DOI: 10.1111/tct.70485
https://asmepublications.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/tct.70485?af=R

医学部生を対象としたPOCUS(point-of-care ultrasound、ベッドサイド超音波)教育について、どの教授方法が使われ、どの教育アウトカムが結びついているかを整理したスコーピングレビュー。JBI方法論とPRISMA-ScRに準拠し、PCC枠組み(P=医学部生、C=POCUSの教授方法、C=学部医学教育の文脈)でリサーチクエスチョンを設定している。
検索と選定
2025年5月15日に PubMed/MEDLINE、Web of Science、Scopus、Embase、CINAHL、ERIC を検索。言語・出版年の制限なし。プロトコルは OSF に事前登録(DOI: 10.17605/OSF.IO/WCB5P)。2名の独立レビュアーがスクリーニングと選定を行い、不一致は合意で解決。最終的に59件を採用した。採用59件のうち25件(42.4%)が直近5年の出版。
選定件数について本文中に2系統の記述がある。本文の記述では「220件を同定→重複7件除外→214件をタイトル・抄録スクリーニング→87件を全文評価→重複1件除外→59件」。一方 Figure 1(PRISMA フロー)では総計3,873件(PubMed 1,492、Scopus 1,367、Web of Science 1,014)→重複1,176件除外→2,697件スクリーニング→2,570件除外→127件取り寄せ→15件未入手→112件を適格性評価→52件除外(対象違い21、概念違い16、文脈違い8、研究デザイン違い5、全文入手不可2)+他ソース4件→59件、となっている。
対象研究の分布
北米が最多で n=30(50.8%)。米国 n=24、ドイツ n=7、カナダ n=6。以下ヨーロッパ、アジア、南米、オセアニア。対象集団は臨床実習前から臨床実習期までの医学部生が中心で、一部に研修医・教員・放射線科医・教育担当者を含む混合集団。研究デザインは異質性が大きく、準実験研究と観察的量的研究が優勢。スコーピングレビューの性質上、方法論的質やバイアスリスクの正式評価は行っていない。
教授方法(報告回数)
6カテゴリーに帰納的に分類。監督下実践(supervised practice)が最頻で計24回、内訳は実患者での実践12、高忠実度シミュレータ6、低コスト自作モデル6。評価方略も計24回で、OSCE 8、構造化質問紙8、理論・実技の事前事後テスト8。アクティブ・ラーニング計15回(反転授業7、ピア支援学習4、ゲーミフィケーション4)。コース・カリキュラムモデル計14回(1日〜4週の短期コース9、縦断カリキュラム5)。教育技術計14回(eラーニング6、ポータブル超音波装置5、VR 3)。1研究が複数方法を含むため、頻度は相互排他ではない。
教育アウトカム(報告研究数)
10カテゴリー。診断精度・臨床パフォーマンスの改善10、技術支援型の理論学習の有効性10、自信と実践的自律性の向上9、アクティブ/統合型教育の便益9、学生の関与と満足8、実現可能性・持続可能性7、知識の保持6、実装障壁6、フィードバックと監督下実践の重要性5、学習の長期的転移4。長期転移のエビデンスは最も少ない。
方法とアウトカムの対応
High/Moderate/Low の質的統合マトリクス。縦断カリキュラムは知識獲得・実技・自信・技能保持で High、診断パフォーマンスと学習者満足で Moderate。実患者実践は実技・自信・診断パフォーマンスで High。講義は知識獲得 High だが実技・自信・診断パフォーマンスは Low。eラーニングは知識獲得 High、実技 Low。この評価は各研究で報告された内容の質的要約であり、教育効果の比較指標として解釈すべきではない、と明記している。
強調している点
監督下実践・シミュレーション・アクティブ・ラーニングを組み合わせた統合的介入は、単独の方略よりも良好なアウトカムと一貫して結びつく。ハイブリッド型が最も広い範囲の正の成果を示した。持続的な能力形成には縦断的なカリキュラム統合が要る、という点に重点を置いている。実装障壁として、施設・設備の制約、指導教員の不足、標準化の欠如、縦断統合の困難を挙げる。
新規性
教授方法と教育アウトカムの両方を包括的に統合したスコーピングレビューは、著者らの知る限り先行例がない。Birrane らが実技訓練を超音波教育の中核と位置づけたのに対し、本レビューはシミュレーション、低コスト教材、真正な臨床経験のより広い取り込みを示す。評価方法を扱った DeBiasio らは、評価が技術的パフォーマンスと画像取得に偏りミラーのピラミッド上位の評価が限定的だと結論したが、本レビューは形成的フィードバック・縦断的フォローアップ・構造化された能力評価の増加を確認した。方法とアウトカムを明示的に対応づけた点を、既存レビューへの補完的貢献と位置づける。
限界
採用研究の方法論的異質性が直接比較を制限した。多くが短期アウトカムの評価で、長期の能力保持・臨床への学習転移・患者アウトカムのエビデンスは限定的。北米研究への偏りが一般化可能性を制限する。スコーピングレビューとして質・バイアスの正式評価を行っておらず、個別介入の比較効果に関する結論は制限される。





