医学教育つれづれ

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看護学生がKahootを使ってワクチン接種を学ぶ!ゲーミフィケーション: 知識、満足度、興味、協力に関する介入研究

Nursing Students Learn Vaccination Using Kahoot! Gamification: An Intervention Study of Knowledge, Satisfaction, Interest, and Collaboration
Aeen Mohammadi, Sanaz Aazami, Akbar Azizifar
First published: 28 July 2025 https://doi.org/10.1155/nrp/3518943

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1155/nrp/3518943

研究背景と目的

問題意識

  • 看護学生は卒業後の実践能力に格差があり、特にワクチン接種手技に対する準備不足と自信不足が指摘されている
  • ワクチン接種は公衆衛生上極めて重要であるが、従来の講義・実演中心の教育では学生のエンゲージメントが不十分
  • デジタルネイティブ世代の学生には、より革新的でインタラクティブな教育手法が必要

研究目的

Kahoot!プラットフォームを用いたゲーミフィケーションが、地域保健実習における看護学生のワクチン接種に関する以下の項目に与える効果を検証:

  • 知識習得レベル
  • 学習満足度
  • 学習への関心度
  • 学生間の協調性

 

研究方法

  • 参加者: 3年生の看護学生70名を対象
  • 研究デザイン: 準実験研究(介入群35名、対照群35名)
  • 期間: 2023年9月〜12月の8週間
  • 介入内容: ワクチン接種に関する8つの異なるKahoot!ゲームを実施

介入内容

対照群(従来の教育)

  • 国家看護カリキュラムに基づく標準的な地域保健実習
  • ワクチン接種手順の直接観察と指導下での補助
  • コールドチェーン管理(適切なワクチン保存、冷蔵庫温度監視、投与前準備)の学習
  • 乳幼児・小児のワクチン接種セッションでの臨床スタッフ同行
  • ワクチンスケジュール、禁忌事項、インフォームドコンセント、記録管理の学習
  • 患者カウンセリング(接種後ケア、軽微な副作用管理の教育)
  • デジタルツールやゲーミフィケーションツールは一切使用せず

介入群(Kahoot!ゲーミフィケーション

初期ゲーム設計(12セッション)

  1. ワクチンの種類と免疫獲得: 各ワクチンタイプ、免疫構築メカニズム、コールドチェーン、冷蔵庫内保存場所
  2. 副作用と管理: ワクチン副作用、合併症とその管理、必須ケア、接種後のアセトアミノフェン投与量
  3. 接種手技: 注射方法、接種部位、関連注意事項
  4. 小児ワクチンプログラム: 国家予防接種プログラム(小児)
  5. 遅延接種(1-6歳): 1-6歳で接種遅延のある小児への対応
  6. 遅延接種(7歳以上): 7歳以上で接種遅延のある小児への対応
  7. 特殊ケース: 妊婦、血液製剤投与歴のある小児、早産児、特別な栄養ニーズのある小児への接種
  8. DPTアレルギー: 診断と適応症
  9. 疾患時の接種判断: 感冒、発熱、下痢、その他身体疾患時の接種可否
  10. 出生時ワクチン: HBVワクチンの重点的学習
  11. HIV陽性母体: HIV陽性母体から生まれた乳児への接種
  12. その他ワクチン: 黄熱病、髄膜炎、インフルエンザワクチン

ゲーム形式と機能

  • 問題形式:
    • 4択選択問題
    • 正誤問題
    • 短答問題
    • スライダースケール
    • パズル
    • ピン配置問題
  • 技術的特徴:
    • スマートフォンまたはウェブブラウザでアクセス
    • セッション固有のPINコード生成
    • マルチメディア要素(画像・動画)の埋め込み
    • インストラクター制御によるゲーム速度調整
  • 得点システム:
    • 正答ごとに基本ポイント付与
    • 回答速度によるボーナスポイント
    • 重要な内容は2倍ポイント設定
    • リアルタイムスコアボード表示
  • 教育的サポート:
    • ほぼ全問題後に短時間のディスカッション
    • 即座の説明と学習ポイント強化
    • 各セッション終了時の内容復習とまとめ

主要な結果

1. 知識レベルの向上

  • 介入後の知識スコア: 介入群13.39点 vs 対照群9.58点(p ≤ 0.001)
  • ANCOVA分析でも、基礎知識を統制した後でも有意な向上を確認(F[1,69] = 27.21, p ≤ 0.001)

2. 満足度の向上

  • 満足度スコア: 介入群8.7点 vs 対照群7.5点(p ≤ 0.001)

3. 関心と協調性

  • 関心度の平均スコア: 34.1点(範囲29-38)
  • 協調レベルの平均スコア: 33.47点(範囲26-37)
  • いずれも平均値2.5を大幅に上回る結果

Kahoot!ゲームの特徴

  • インタラクティブな要素: 音声、動画、得点システム、即座のフィードバック
  • 多様な問題形式: 多肢選択、正誤問題、短答、スライダースケールなど
  • 競争的環境: リアルタイムスコアボード、回答速度による加点システム
  • 協調学習: ゲーム後のディスカッションと内容確認

考察

知識向上のメカニズム

リアルタイムフィードバックの効果

  • 各セッションでの即座な誤概念修正
  • インストラクター主導の説明による学習強化
  • 反復的なワクチン接種内容への露出
  • より深い認知処理と長期記憶への定着促進

アクティブラーニングの実現

  • 従来の受動的講義形式からの脱却
  • 学生の能動的参加と関与促進
  • 競争要素による学習モチベーション向上

 満足度向上の要因分析

モバイルデバイス統合の効果

  • デジタルネイティブ世代の学習嗜好との一致
  • 日常的コミュニケーション習慣との整合性
  • スマートフォン使用による使いやすく親しみやすいインターフェース
  • リアルタイム相互作用、視聴覚コンテンツ、即座得点による動的学習環境

即座の意味のあるフィードバック

  • ウェブベースツールによるリアルタイム形成的評価
  • ゲームプレイ中の反応に対する振り返り促進
  • 学習進歩の迅速な監視と誤解の即座修正
  • 重要概念の再訪による学習成果強化

インタラクティブ学習環境

  • 学生-教員および学生間関係の強化
  • 競争的・チームベース動態による教室議論刺激
  • 学生の推論表現、仲間との協議、集団的振り返りの促進
  • 従来講義型学習との対比による包括的で魅力的体験

関心度とフローの心理学的分析

フロー体験の特徴

  • 時間感覚の消失: 学習活動への深い没入の証拠
  • 完全な注意集中: 注意散漫の排除と課題への集中
  • 内発的動機の向上: 外的報酬よりも活動自体への関心

関心度向上の要因

  • 新学習体験への露出: 従来手法では得られない学習機会
  • 標的化フィードバック: 個別学習ニーズに対応した情報提供
  • 匿名参加による不安軽減: 成績不安の軽減
  • 楽しい環境: 学習ストレス軽減による集中力向上

協調学習環境の構築

効果的協調の要素

  • 構造化ディスカッション: Q&Aセッション、ブレインストーミング活動
  • 相互尊重: 専門的コミュニケーション技術の向上
  • 集団問題解決: チームワーク技術の実践的発達
  • コミュニケーション技術: 将来の専門職パフォーマンスに不可欠

協調学習の限界

  • 小グループ vs 大グループ: より小さなチームでの参加促進効果
  • ブレインストーミング効果: 相対的に低い評価の要因分析が必要

教育的意義

1. 積極的学習の促進

  • 従来の講義形式と異なり、学生の能動的参加を促進
  • 即座のフィードバックによる誤解の修正と学習定着

2. デジタルネイティブ世代への対応

  • スマートフォンを活用した身近で使いやすいインターフェース
  • 学生の日常的なコミュニケーション習慣に合致

3. 協調学習環境の構築

  • 競争と協調のバランス
  • ピア同士のディスカッションと相互学習の促進

研究の限界と今後の課題

  • 実際の接種技術の評価は含まれていない
  • 将来的には客観的構造化臨床試験(OSCE)などの実技評価も必要
  • 他の看護分野での効果検証が求められる

実践的示唆

教育政策への提言

実装における考慮事項

  • 技術リテラシー: 教員・学生双方のデジタル技術習熟度
  • 費用対効果: 技術投資と教育効果のバランス
  • 文化的適応: 異なる教育文化・制度への適用可能性

質保証

  • 継続的評価: 実装効果の定期的モニタリング
  • フィードバック循環: 学生・教員からの継続的改善提案
  • ベストプラクティス: 成功事例の共有と標準化

結論

看護教育におけるゲーミフィケーションの有効性を実証し、特にワクチン接種という重要な公衆衛生分野において、学生の知識習得、学習満足度、関心、協調性を向上させる教育手法としてのKahoot!の価値を示しています。