医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

医学教育におけるアウトカムリサーチの視点。この18年間で何か変わったか?

An outcomes research perspective on medical education: Has anything changed in the last 18 years?
Matt EmeryORCID Icon, Margaret WolffORCID Icon, Chris MerrittORCID Icon, Herodotos EllinasORCID Icon, Douglas McHughORCID Icon, Mohammad ZaherORCID Icon,  show all
Published online: 20 Jul 2022
Download citation  https://doi.org/10.1080/0142159X.2022.2099259

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2022.2099259?af=R

目的

患者中心のアウトカムに焦点を当てた医学教育研究は、医学教育者の意思決定を改善することが期待される。2001年、PrystowskyとBordageは、主要な医学教育雑誌の調査において、患者中心のアウトカムが評価されている研究は1%未満であることを明らかにした。多くの人が医学教育の文献に患者中心の結果を含めることを求めているが、この必要性がどの程度体系的に扱われているかはまだ不明である。

 

調査方法

原著と同じデータソース(Academic Medicine、Medical Education、Teaching and Learning in Medicine)を用いて、PrystowskyとBordageの研究を再現することを目指した。これら3つのジャーナルソースから2014年から2016年にかけてのオリジナルの実証的研究報告からデータを抽出した。包含基準を満たした652件の論文を選択し、さらなる分析を行った。

 

研究結果

研究参加者は、主に研修生(研究の64%)または教員(研究の25%)であった。積極的または受動的な参加者として患者を含む研究はわずか2%であった。報告された研究成果は、満足度(40%)、パフォーマンス(39%)、専門性(20%)、コスト(1%)であった。

 

結論

これらの結果は、2001年に行われたオリジナルの研究と大きな違いはない。これら3つの著名な学術誌に代表される医学教育文献は、患者中心の成果をより重視することにほとんど進展がないことがわかる。

臨床および患者中心の結果に対する教育の影響を証明する、より厳密な医学教育研究の要請は、ほとんど答えられないままである。しかし、現在の資金調達環境と医療サービスと医学教育研究手法の間にある隔たりが大きな障害となっており、より大きな進展が得られる前に対処する必要がある。

 

ポイント

医学教育研究は、患者ケアの改善など、様々なアウトカムに焦点を当てている。

2001年に発表された医学教育研究の調査(Prystowsky and Bordage)では、1996年から1998年の間、患者中心のアウトカムを報告した医学教育研究はほとんどなかったとされている。

2014年から2016年に発表された報告に着目し、この2001年の調査を再現したところ、医学教育研究において患者中心のアウトカムをより重視することにほとんど進展がないことがわかった。