医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

芸術による医学的視点の転換

Transforming the medical perspective through the arts
Tamara E. T. van Woezik, Thieme B. Stap, Gert Jan van der Wilt, Rob P. B. Reuzel, Jan-Jurjen Koksma
First published: 28 August 2021 https://doi.org/10.1111/medu.14618

 

1 どのような問題に対処したのか?

過去10年間、医学部は、複雑な医療分野に将来の医師をよりよく準備するために、そのプログラムを改革しようとしてきました。改革の主な方向性は、患者に対するより全体的な視点を取り入れることです。しかし、この方向性は、医療の教育、科学、実践におけるパラダイムシフトを必要とします。現在、芸術を用いた医学教育の多くは、単発のワークショップや美術館の訪問といった偶発的なものです。その効果は期待できますが、その持続性には疑問が残ります。私たちは、研修中の医師の適切な能力を開発するために、3ヶ月間の没入型アートベースプログラムの価値を検討しました。

 

2 何を試したか?

Radboudumcのアート委員会と共同で、研修医やインターンを対象に、アートと医療学習を組み合わせた課外プログラム「The Art of Seeing for Healthcare Professionals」(TASH)を開発しました。

参加者は、アーティストの芸術活動に参加しました。ワークショップの最後には、振り返りの時間が設けられました。研究目的のために、参加者は学習メカニズムに焦点を当てて、1対1または少人数のグループでインタビューを受けました。振り返りのセッションとインタビューは、音声で記録され、書き起こされ、分析されました。

 

3 どのような教訓が得られたか?

参加者は、プログラムのオープンな性質に活気を感じていました。

このプログラムは、医療や患者に対する新しい視点を育むのに役立ちました。参加者は、自分がどのように教育を受けてきたかによって、患者に対する見方が決まること、また、自分の専門的な役割を考えるためには、拡大して考えなければならないことを学びました。

アートベースの学習は、医学生が内省的な医療従事者になるための複数の困難な側面に対処するのに役立ちます。私たちは、参加者が自分の役割やなりたい医師像を考えさせるような、より広い視点を持っていたと結論づけています。視点変換の主な設計原則は、創造的な開放性、ペースダウン、影響を受ける余地、そしてコミュニティの感覚です。