Resident and Attending Physician Perspectives on Indirect Observation in Competency-Based Medical Education.
O'Connell K, Landreville J, Dudek N, McDougall A, Reed M, Cheung WJ.
J Grad Med Educ. 2025;17(2):182-188. doi:10.4300/JGME-D-24-00603.1

背景
能力基盤型医学教育(CBME)の現状
- 直接観察が職場評価の理想的アプローチとされ、主要構成要素として組み込まれている
- 知識・技術・態度の評価を支援し、研修医の欠陥特定や患者ケア向上に寄与
- しかし実施には多くの障壁が存在し、必ずしも実現可能・適切とは限らない
直接観察の限界
- 管理業務・臨床業務との競合により指導医が直接観察できない場合が多い
- 「観察者効果」:直接観察が必ずしも学習者の真の技術・患者交流を正確に評価しない
- 実際の医学研修では直接観察以外の手段による評価・フィードバックが相当量存在
間接観察の重要性
- 臨床推論や管理計画立案など、手技以外の医師業務評価に重要な役割
- 家庭医学研修の研究では、口頭症例発表による間接観察が研修医-指導医相互作用からの医学情報の強力な代替手段となることが判明
研究方法
- カナダの大学病院で指導医10名、研修医8名にインタビューを実施
- 帰納的テーマ分析を用いて質的データを分析
主な結果
1. 観察方法の定義に相違
- 研修医:直接観察=指導医が同室で物理的に観察、間接観察=症例検討のみ
- 指導医:観察をスペクトラムとして捉え、カーテン越しに聞く、後で患者を診察するなども「直接」観察と考える
2. 観察方法の選択要因
- 臨床環境、医学的緊急度、研修段階
- 指導医と研修医の関係性や信頼度
- 患者安全確保(指導医)vs 指導・フィードバック(研修医)という目的の違い
3. 各観察方法の有用性
直接観察の利点:
- 技術的スキル、コミュニケーション、リーダーシップの評価に適している
- 研修医はより信頼できるフィードバックと認識
間接観察の利点:
- 臨床推論や症例管理の評価に適している
- 研修医の自立性と自信の育成に有効
- 指導医は十分な評価が可能と考えている
4. フィードバックの信頼性に関する課題
- 研修医は直接観察からのフィードバックをより信頼できると感じている
- 間接観察については、どのように評価されているかを理解している研修医は信頼性を感じるが、理解していない研修医は疑問視する傾向
考察
フィードバック信頼性の新たな側面
- 従来の信頼性要因(内容・提供方法・師弟関係・学習文化・環境・提供者の知識技術)に加え、観察方法への学習者の理解が重要要因として判明
- Eva らの研究と一致:フィードバック受容におけるソース信頼性の重要性
透明性の必要性
- 指導医は間接観察による学習者の安全・効果的ケア確認方法を明確に把握
- しかし多くの研修医は間接観察の方法を全く認識していない
- 結果として、フィードバック時に指導医がどのように結論に達したかの理解不足
- 指導医による間接観察データ収集・使用のより透明な説明の必要性
教育的関係強化への示唆
- 研修医が観察方法・パフォーマンス評価への反映を理解することで信頼性向上
- 直接観察では情報源が明確なため信頼性に疑問なし
- 間接観察では「観察されたこと」だけでなく「どのように観察されたか」「観察がパフォーマンス判断にどう反映されたか」の理解が必要
今後の課題:観察者効果との関係
- より透明な間接観察により研修医行動変化の可能性
- LaDonna らの「観察者効果」が間接観察でも同様に発現するかは今後の研究課題
研究の限界
- 単一学術医療センターでの実施により、地域文化規範の影響あり
- 救急医学研修プログラム参加者が多数(ただし他分野参加者と視点は一致)
結論
- 間接観察は学習者の臨床推論評価に適しており、学習者自立性育成に活用可能
- 直接観察が信頼できるフィードバックの基本とされているが、間接観察方法への深い理解を持つ研修医は間接観察フィードバックもより信頼できると認識
- 効果的な間接観察実施には、指導医による観察方法・評価プロセスの透明化が不可欠