Digital Storytelling: Navigating Individual and Emerging Professional Selves Through Medical Memes.
Yang YC, Mickleborough T, Ho CJ, Su CJ, Ho MJ.
J Grad Med Educ. 2025;17(2):150-158. doi:10.4300/JGME-D-24-00722.1
専門職アイデンティティ形成(PIF)の重要性
研究の必要性
- 物理的学習環境での同僚支援は理解されているが、ソーシャルメディア上での理解は限定的
- 現在の医学研修生世代はFacebook、X、Instagramで支援コミュニティを構築している
- デジタル・ストーリーテリング(ミーム作成・応答)を通じたオンライン社会化がPIFを促進
専門職アイデンティティ形成の「二重の焦点」
研究方法
- 対象: 台湾の住院医(レジデント)の人気Facebookファンページ(フォロワー5万人以上)
- 期間: 2019年9月〜2022年8月(3年間)
- 分析対象: 369個の医療ミーム
- 手法: 質的記述研究、内容分析
主要な発見
18のコード分類(4つのレベル)
1. 個人レベル
- 個人的達成感の減少
- 住院医としての短絡的思考への自己軽蔑
- 自律性の欠如
- 原則と行動の乖離
- 医学知識・技能の不足
2. 関係レベル
- 職業と個人領域の対立
- 指導医からのプレッシャー
- 上司-部下間の価値観の不一致
- ネガティブなロールモデル
- 他職種・他科との対立
3. 組織レベル
- ヒエラルキー
- 形式的対応
- 業務関連ストレス
- 不満足な労働環境
4. 社会レベル
- 医師のステレオタイプ
- COVID-19の影響
- 医師と患者の異なる視点
重要な知見
専門職アイデンティティ形成の二重の焦点
研修生は個人的なアイデンティティと職業的なアイデンティティの間で交渉を行い、組織の規範に適合するために個人の一部を失うという「アイデンティティの不協和」を経験する。
ミームの機能
- 文化の伝達: 医学界の権力構造や社会的ヒエラルキーを再現
- 抵抗の表現: 困難な経験を共有し、同僚との連帯を築く場
- 感情の発散: 公式な場では表現しにくい感情やフラストレーションの吐露
教育への示唆
- カリキュラム設計: 抵抗感や主体性について議論する場を作る
- ミームの活用: 小グループディスカッションの題材として使用
- 多角的視点: 教育者が学習者の別の視点を理解する手段
研究の限界
結論
オンラインでの医療ミームへの関わりは、専門職アイデンティティの形成と職業規範への適合を支援する一方で、研修生が抵抗を表現し、ネガティブな経験を共有し、困難な職業的移行期に同僚との連帯を得る空間も提供している。