Sexual health in patient care: shortcomings in medical training and experienced barriers in sexual history taking
Evelien Bogaert & Rick Roels
BMC Medical Education volume 25, Article number: 338 (2025)

背景
性の健康は、個人、地域社会、医療行為に影響を及ぼす、幸福の基本的要素であると認識されている。 本研究では、医学研修医による性病歴聴取のトレーニングに対する見解を調査し、その重要性と臨床実習開始時に直面する課題を強調した。
方法
ベルギー最大の医学部の研修医167名を対象に調査を行い、研修カリキュラムを分析した。 参加者は、オンラインアンケートに回答し、性病歴トレーニングの側面、スキル、知識、態度、性病歴聴取に影響を与える要因に言及した。
結果
1. 医学教育の不足
- 医学生は大学教育が性的病歴聴取の準備として不十分であると感じている(平均スコア39.71/100)
- 「私の大学での研修は性的病歴聴取の準備として十分である」という質問に対し、「どちらかといえば同意しない」が平均的回答
- 学生の3分の2(66%)が性的病歴聴取に関する知識やスキルの不足を報告
- 41%が性機能障害に関する知識不足、29%が質問の適切な表現方法への不確実性、28%が得られた情報の管理に関する不確実性を報告
2. 性的病歴聴取における主な障壁
対人的要因
- 患者の不快感: 64%の研修医が患者の不快感を重大な障壁として挙げている
- 会話の開始: 研修医は患者が性的健康について話題を開始する場合(65/100)の方が、自分から話題を切り出す場合(52/100)よりも快適と感じている
- 宗教的要因: 47%が宗教的信条(イスラム教徒やキリスト教徒など)を障壁として挙げている
個人的要因
- 少数派グループ: 10%が患者の異なる民族背景、11%がLGBTQIA+コミュニティに属する患者との対応に困難を感じている
- 年齢差: 22%が患者との年齢差を障壁として報告
- 性差: 18%が異性の患者との対応に困難を報告
実用的要因
- 時間不足: 40%が適切な時間の不足を障壁として挙げている
- 言語理解の問題: 43%が言語やコミュニケーション問題を障壁として報告
- プライバシーと第三者の存在: 75%が患者の親の同席、35%が患者のパートナーの同席、27%がプライバシーの欠如を障壁として挙げている
3. 性別による違い
- 女性研修医は性的健康に関する教育の重要性をより強く認識
- 男性研修医は患者との性的健康について議論することにより高い快適さを報告
- 男性は「時間不足」を障壁として挙げる傾向が高く、女性は「性機能障害に関する知識不足」を挙げる傾向が高い
4. 性学教育の追加的経験がある研修医の特徴
- 専門分野における性的健康研修の重要性をより強く認識
- 専門分野における性的健康問題の有病率をより高く認識
- 性的健康について学ぶことへの関心がより高い
推奨される改善策
スキル向上
- コミュニケーションスキルを優先した包括的な研修プログラムの実施
- 不快感を示す患者や家族同席の状況など、課題のあるシナリオをロールプレイで練習
- 時間管理戦略を医学カリキュラムに統合し、効率的なコミュニケーションスキルを強調
知識向上
- 性的病歴の重要性、性機能障害、医療介入の影響、疾患と年齢が性的健康に与える影響についての教育内容の充実
- 文化的能力を育成するカリキュラム要素の導入
態度改善
- 学生の自己認識の重要性を強調し、性的病歴評価中の個人的不快感を認識・対処できるようにする
- 宗教的信条、民族性、性的指向に起因するバイアスに対処するための文化的能力研修の実施
結論
本研究は、医学教育における性的病歴聴取のトレーニングを改善する機会を強調し、より包括的で効果的な性的病歴聴取の実践に貢献するものである。 学生の技能、知識、態度を向上させるための的を絞った介入を含む提言を行う。