医学教育つれづれ

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差別化する違いを理解する: どの文献レビューを実施すべきかを決定するためのモデル。

Understanding the Differences That Differentiate: A Model for Deciding Which Literature Review to Conduct.

Varpio L, Parker R, MacLeod A.

J Grad Med Educ. 2024 Apr;16(2):146-150. doi: 10.4300/JGME-D-24-00151.1. Epub 2024 Apr 15. PMID: 38993309; PMCID: PMC11234308.

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

この論文は、医療教育の分野で異なるタイプの文献レビューをどのように選択するかのモデルを提供しています。文献レビューは、研究者が特定のトピックに関する知識を体系的に整理し、理解を深めるための重要な手段です。本論文では、8種類の文献レビューについて説明し、それらを「客観主義的」と「主観主義的」の2つの知識観に基づいて分類しています。

客観主義的知識観

客観主義的知識観に基づくレビューは、バイアスのない知識を生成しようとするものであり、以下のようなレビュータイプが含まれます:

1. システマティックレビュー(Systematic Review)

目的: 特定の研究質問に対して、既存の文献からバイアスのない証拠を集め、評価し、総合的な結論を導くこと。

方法:

  • 明確な研究質問を設定する。
  • 厳密なインクルージョンとエクスクルージョン基準を設ける。
  • 広範な文献検索を行い、関連する研究を特定する。
  • 選択した研究の質を評価する。
  • 統計的手法(メタアナリシスなど)を用いて結果を総合する。
  • 結果を再現可能な方法で報告する。

2. リアリストレビュー(Realist Review)

目的: 複雑な介入がどのようなコンテクストで、どのように機能し、どのような結果を生むかを理解すること。

方法:

  • 研究の目的と質問を明確にする。
  • 介入のコンテクスト、メカニズム、結果を調査する。
  • 多様なデータソースを用いて文献を収集する。
  • コンテクストに応じた理論的枠組みを構築する。
  • 一般化可能な結論を導き出す。

主観主義的知識観

主観主義的知識観に基づくレビューは、研究者や対象者の主観的な理解に焦点を当てたものであり、以下のようなレビュータイプが含まれます:

3. ナラティブレビュー(Narrative Review)

目的: 研究者の視点や知識に基づいて、特定のトピックに関する文献を解釈し、総合的な理解を提供すること。

方法:

  • 広範な文献検索を行うが、システマティックレビューほど厳密ではない。
  • 研究者の経験や知識を活用して文献を評価し、解釈する。
  • 文献の重要なテーマや傾向をまとめる。
  • 主観的な洞察を提供する。

4. スコーピングレビュー(Scoping Review)

目的: 特定のトピックに関する広範な文献を網羅的にマッピングし、現状の知識の広がりを示すこと。

方法:

  • 研究質問を広く設定する。
  • 文献のインクルージョン基準を広く設ける。
  • 幅広いデータソースから文献を収集する。
  • 文献のテーマやギャップを特定する。
  • 結果を視覚的にマッピングする。

5. ステートオブジアートレビュー(State-of-the-Art Review)

目的: 現代の理解がどのように形成され、今後どのように進展するかを歴史的に概観すること。

方法:

  • 特定のトピックの歴史的な発展を調査する。
  • 過去の重要な研究とその影響を評価する。
  • 現在の知識の状態を要約する。
  • 将来の研究の方向性を提案する。

6. メタエスノグラフィーレビュー(Meta-Ethnographic Review)

目的: 定性的データを統合し、新しい洞察を生み出すこと。

方法:

  • 定性的研究を特定し、収集する。
  • 研究データをテーマ別に整理する。
  • データ間の関係を解釈し、新しい理解を生成する。
  • 結果を理論的なフレームワークに位置付ける。

7. クリティカルレビュー(Critical Review)

目的: 異なる学問分野の理論や発見を統合し、新しい視点を提供すること。

方法:

  • 批判的な視点で文献を評価する。
  • 多様な学問分野からの文献を統合する。
  • 現在の知識の限界を指摘し、新しい研究の方向性を提案する。
  • 長年の前提や仮定を問い直す。

8. 理論的統合レビュー(Theoretical Integrative Review)

目的: 同一の現象に関する異なる理論を分析し、統合すること。

方法:

  • 異なる理論を収集し、比較する。
  • 理論間の共通点や相違点を特定する。
  • 理論を統合し、新しい理論的フレームワークを提案する。

モデルの概要

このモデルでは、研究者がどのレビュータイプを使用するかを決定する際に、求める知識の種類(客観的か主観的か)を明確にすることの重要性を強調しています。また、異なる文献レビュータイプの目的、方法、基準、成果についての理解を深めることが、医療教育研究において多様なトピックを研究するために必要であると述べています。

結論

文献レビューの選択には、研究の目的に応じた知識の種類を明確にし、適切なレビュータイプを選ぶことが重要です。このモデルを使用することで、医療教育の研究者は、自身の研究質問に最適なレビュータイプを見つけることができ、より効果的な知識統合が可能になります。