医学教育つれづれ

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小児科診療におけるプレイの利用に関する教育プログラムのBEMEレビュー:BEMEガイド 82

A BEME review of educational programmes on the use of play in paediatric practice: BEME Guide No. 82
Christine Louise KrebsORCID Icon,Jakob Thestrup,Jane Hybschmann,Kelsey Graber,Line Klingen Gjærde,Martha Krogh Topperzer, show all
Received 29 Jan 2023, Accepted 22 Nov 2023, Published online: 14 Dec 2023
Cite this article https://doi.org/10.1080/0142159X.2023.2287983

 

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2023.2287983?af=R

DALL·Eによって生成された
 
 


要旨
背景
プレイは小児患者の入院生活への対処に役立つ。医療従事者(HCP)に対するプレイの使用に関する教育は不足しており、プレイを用いた相互作用は、正式な訓練なしに体系的に行われないことが多い。本スクーピングレビューでは、小児臨床におけるプレイの活用に関するHCP向け教育プログラムの枠組み、デザイン、評価方法について体系的に記述する。

プレイとは

・定義:

プレイ(遊び)は、子どもたちにとって自然で自発的な活動です。
この研究では、プレイを小児患者に対する治療的介入として捉えています。それは、病気や治療に対する子どもの理解を深め、不安を和らげる手段として使用されます。

プレイの役割:

小児医療の文脈において、プレイは子どもたちが病院環境や医療手続きに適応しやすくするための重要なツールです。
プレイは、子どもたちが感じる恐怖やストレスを軽減し、病院での経験をよりポジティブなものに変えることができます。

プレイの種類:

研究では、様々な種類のプレイが取り上げられています。例えば、教育的なプレイ、心理的なプレイ、身体的なプレイなどがあります。
これらのプレイは、子どもたちの年齢、発達段階、個々のニーズに合わせて適用されます。

プレイの教育的価値:

プレイを通じて、医療従事者は子どもたちに医療的な情報を伝えることができます。
また、プレイは子どもたちが自分の状況を理解し、それに対処するためのスキルを身につけるのを助けます。

プレイの使用方法:

研究によれば、医療従事者はプレイを使用する際に、子どもの個別のニーズや状況を考慮する必要があります。
プレイは、診療、治療計画の説明、手術の準備、リハビリテーションなど、様々な医療的な文脈で有効です。

方法
9つのデータベースから白書、ウェブサイトから文献を検索し、スコーピングレビューを実施した。2名のレビュアーが独立してタイトル/抄録をスクリーニングし、全文をレビューした。教育プログラムの評価方法については、カークパトリックの評価モデルを適用した。

結果
16534の白項目と955の灰色項目を特定した結果、20の論文が含まれたが、灰色文献はなかった。教育プログラムは、手順や正常化を目的としたプレーを曖昧に定義しており、主に看護師を中心とした単職種グループを対象としていることがほとんどであった。論文で確認された評価方法は、カークパトリックのレベル1:反応(n=13)、2a:態度(n=7)、2b:知識(n=3)、3:行動(n=6)、4a:組織的実践(n=1)、4b:患者の転帰(n=4)に従って報告された。

考察

・プレイの重要性とその実践の多様性:

プレイは小児患者の病院での経験を改善し、治療に積極的に関与する手段として重要です。
研究では、プレイの使用方法や定義が多岐にわたり、これが教育プログラムの開発における課題となっていることが指摘されています。

・教育プログラムの必要性:

プレイを利用するための組織的かつ理論に基づいた教育プログラムが必要です。
これには、小児患者、保護者、および医療従事者の視点を統合することが含まれます。

・グローバルな視点:

プレイの利用とその教育に関しては、国際的な視点と標準化されたアプローチが求められています。
このようなアプローチは、小児医療におけるプレイの役割をより効果的にすることができます。

・教育プログラムの効果測定の課題:

現在の教育プログラムでは、その効果を測定する方法が統一されていないため、効果の評価が難しいとされています。
効果測定のための標準化された方法の開発が求められています。

・今後の研究への提案:

今後の研究では、プレイの使用に関するより明確な定義や指針の確立が重要です。
また、教育プログラムの開発と評価において、理論に基づいたアプローチの使用が推奨されています。

結論
HCPのためのプレイの利用に関する数少ない教育プログラムは、一様に記述されていない。今後の教育プログラムは、HCP、患者、両親のニーズを統合し、理論的な枠組みを用い、体系的な評価を行うことが有益であろう。