医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

臨床教育において重要な外来教育:医学生、教員、研修医の観点からの質的研究

Outpatient education, a momentous in clinical education: a qualitative study of medical students’, faculty members’, and residents’ perspectives
Marziyeh Barzegar, Seyed Aliakbar Faghihi, Mitra Amini, Nahid Zarifsanaiey & Elham Boushehri 
BMC Medical Education volume 23, Article number: 719 (2023) 

bmcmededuc.biomedcentral.com

 

背景
最近、外来教育が注目されるようになり、その成功や失敗、問題点について知りたいと考える学者が多くなったにもかかわらず、完全な研究は見つかっていない。そこで、本研究では、医学生、教員、研修医の実体験に基づき、外来教育の様々な側面について理解を深めることを目的とする。

方法
この質的研究のデータ収集には、対面式および半構造化面接を用いた。データの飽和に達するまで、インタビューは続けられた。シラーズ医科大学医学生、研修医、教員を含む合計21名の参加者が登録された。データの信頼性を把握するために、グーバとリンカーンが最初に作成した質的研究における科学的正確性の基準が用いられた。

結果
4つの主要テーマから14のカテゴリーが抽出された。その結果、4つのカテゴリーが抽出された: 「物理的なスペースと設備」、「カリキュラムに関する前提条件」、「教育スキルの開発」、「ニアピアの教師」の4つが外来教育準備のために考慮されるべきである。テーマ2の "実施要件 "には、"学生の次元"、"教員の計画へのコミットメント"、"プログラムの監督 "が含まれた。テーマ3の "外来教育の課題 "は、"カリキュラム実施の課題"、"学生の課題"、"教員の課題"、"システム関連の課題"、"患者関連の課題 "を含む5つの関連カテゴリーによって説明された。最後に、外来教育の促進要因について、研修生内部と外部の促進要因という2つのカテゴリーが浮かび上がった。

考察

インフラストラクチャー: 外来教育を成功させるには、十分なスペースと必要不可欠な設備を備えたクリニックが必要である。しかし、学術的な外来診療所が備えるべきものについての確立された基準はない。

選択科目: 選択科目は、学生が自分の興味に基づいて教育をカスタマイズすることを可能にし、選択した大学院分野に対する理解を深める。

カリキュラムの開発: 目的と内容の明確化、教育戦略の明確化。

外来設定: 様々な患者管理スキルは、このセッティングで高めることができる。

教育技法: 方法の選択は、学生の知識、学習目的、教師の経験、利用可能なリソースなど複数の要因に影響される。

患者の選択: 適切な患者選択は学習にとって極めて重要であり、セッションごとの患者数は教育に影響を与える。

教員の関与: 教員は多くの場合、十分な訓練を受けておらず、個人的な経験や観察に頼って教えている。ニアピアティーチャーの役割も大きい。

プログラムの監督: 臨床実習開始時のオリエンテーションは不可欠である。学生の学習評価には、総括的評価と同様に形成的評価が不可欠である。

課題 : 時間的制約、他の責務との両立、非効率的な指導方法、指導に対する関心やコミットメントの欠如などが、直面する課題の一部である。

システム関連の課題: 臨床医教育者への支援強化の必要性、医療人材の不足、教育者を評価する定量的基準の欠如などが挙げられる。

患者関連の課題: 患者数の管理と患者のプライバシー保護が懸念事項である。

動機づけ要因: 教師の肯定的な性格特性、正式な教員研修による自己啓発、臨床医教育者への支援が影響力のある要因である。

社会的説明責任: 外来カリキュラムを見直す際には、文化的背景や地域社会の健康ニーズを考慮することが不可欠である。

限界:
この研究には時間がかかり、多忙な教員との面接の日程調整は困難であった。無作為抽出のため、調査結果を広く一般化することはできない。

 

結論
外来診療は、現代の医療行為において極めて重要な側面である。このような場での患者数の増加を考えると、医学教育ではこのリソースを効果的に活用する教育的見通しを立てる必要がある。学生をこのような環境に参加させるだけでは、包括的な解決策にはならない。効果的な外来教育は、学生が現場に入る前の適切な準備と前提条件の検討から始まる。実施中は、プログラムの様々な側面を監督することが、その改善に役立つ。同時に、プログラムの潜在的な課題を認識し、外的および内的な動機付けに注意を払うことで、プログラムの成功と効率の可能性が高まる。