COVID-19 infection control education for medical students undergoing clinical clerkship: a mixed-method approach
Hajime Kasai, Go Saito, Shoichi Ito, Ayaka Kuriyama, Chiaki Kawame, Kiyoshi Shikino, Kenichiro Takeda, Misuzu Yahaba, Toshibumi Taniguchi, Hidetoshi Igari, Seiichiro Sakao & Takuji Suzuki
BMC Medical Education volume 22, Article number: 453 (2022)
背景
コロナウイルス感染症(COVID-19)を契機に、感染予防対策だけでなく、COVID-19を含む感染症治療に関する医学生への教育が急務となっている。本研究では,ピア・ロールプレイによる模擬臨床実習と講義がCOVID-19の臨床教育に与える影響について検討した。
ピアロールプレイを用いたCOVID-19の模擬臨床実習
臨床実習は,千葉大学医学部附属病院内のシミュレーションセンターで,CCの第1週または第2週に医学生7~8名を対象に実施した。実習前に、学生はPPEの着脱やゾーニングなどの基本的なIPCについて説明を受け、オリエンテーションにも参加した。
学生は4人1組の2グループに分かれました。シミュレーションセンターのゾーニング実習の後、COVID-19患者の入院に関わるさまざまなシナリオに基づいた実習を行った。病室の患者設定やリード線が異なる2つのシナリオを用意し、各グループが2つのシナリオに沿った実習を行った。
各シナリオでは,4人の学生が,患者,PPEをフルに着用した医師,医師を補助する医療スタッフ,医師と医療スタッフをチェックするチェッカーという役割を分担した.ロールプレイでは、患者と医師は互いに触れることができるが、汚染されているとみなされ、清浄な場所と医療スタッフに触れることはできない。医療スタッフは、清潔さを保つために清潔区域に触れること(ドアを開ける、ボタンを押すなど)はできるが、患者さんと医師には触れることができない。シナリオとして、実際の受付票をもとに架空の患者設定を作成し、各役割に応じた台本を用意しました。実習では、医師役と医療スタッフ役の学生が、感染を拡大させずに適切に患者を病棟に入院させる方法を練習することになった。
研究方法
本研究の対象は、呼吸器内科の臨床実習を受けている医学部4年生および5年生82名である。彼らは、COVID-19の臨床教育におけるピアロールプレイと講義を伴う模擬臨床実習の利点について、質問票に回答し、半構造化フォーカスグループインタビュー(FGI)に参加した。
結果
2021年1月から11月にかけて、合計75名の学生がCOVID-19の教育プログラムに参加した。アンケートの回答から、COVID-19教育に対する学生の満足度は高いことがわかった。COVID-19に対する恐怖心については,プログラム前後で学生に大きな変化は見られなかった。COVID-19に関する情報の取り扱いの負担度は有意に減少し,PPEの適切な着脱などの個人防護具の使用や,COVID-19が確認された患者の感染防止策を講じながらのケアに関しては減少傾向がみられた.FGIは9回実施した(n=74)。模擬臨床実習の利点は5項目(感染予防対策,教育方法,医療従事者の負担,自己省察,COVID-19に対する恐怖)に,講義の利点は4項目(情報リテラシー,COVID-19に関する知識,教育方法,自己省察)に分類された。
結論
ピア・ロールプレイと講義による模擬臨床実習は、PPEの着脱やゾーニングを含むCOVID-19のIPCや、感染患者のケアにおける負担軽減に関して医学生を教育することが可能である。また、医療従事者が感じている負担の自覚や自己省察を促し、このテーマに関する情報リテラシーを向上させることができる。ただし、これらの効果は限定的であり、COVID-19感染者のケアにおける様々な状況を想定したシミュレーションを繰り返すことで、より安全で効果的な対応が可能となる可能性がある。