医学教育つれづれ

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COVID-19パンデミックに対応したオーストラリアの医学部におけるOSCEの変化

Changes to objective structured clinical examinations (OSCE) at Australian medical schools in response to the COVID-19 pandemic
C HealORCID Icon, K D’Souza, L HallORCID Icon, J Smith, K JonesORCID Icon & The ACCLAiM collaboration
Published online: 11 Nov 2021
Download citation  https://doi.org/10.1080/0142159X.2021.1998404   

 

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2021.1998404?af=R

 

概要
はじめに

OSCE(Objective Structured Clinical Examinations)は、臨床技能の評価に用いられる。本研究では、COVID-19パンデミックを受けて、オーストラリアの医学部におけるexit OSCEがどのように変化したかを調査した。

"Exit-OSCE "とは、複数のジェネラリストおよびスペシャリストの臨床分野をカバーし、医学プログラムの最後の2年間の学生に実施される、臨床パフォーマンスの最終的な総括的評価である。

 

材料と方法

ACCLAiM(Australian Collaboration for Clinical Assessment in Medicine)に加盟しているオーストラリアの医学部12校の評価責任者が、45項目の半構造化オンライン質問票を受け取った。

 

結果

すべての学校(12/12)から回答があった。Exit OSCEは、2019年に1校、2020年に3/11校が使用しなかった。残りの8校のうち、4校がステーション数と試験時間を減らした。OSCEの最小試験時間は、2019年の64分から2020年の54分に減少した。その他の変更点としては、完全オンラインの「e-OSCE」(n=1)、ハイブリッド配信(n=4)、患者との対面ビデオ(n=3)、電話(n=2)、患者と対面せずにスキルを完成させる(n=3)などを用いたステーションが挙げられる。身体検査を伴うステーションの割合は、33%から17%に減少した。また、試験官の数も減り、大学教員が試験官を務める割合が高くなった。

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結論

COVID-19に対応して、すべての学校が2020年にOSCEを変更した。変更内容は、ステーション数の削減や実施方法の変更から、OSCEの廃止や完全な評価の再構築まで様々であった。OSCEの有効性と信頼性を維持しつつ、実施可能性のバランスを取るために、いくつかの革新的なOSCEの実施方法が実施された。

 

ポイント

すべての学校がCOVID-19に対応してOSCEを変更した。

変更点は、身体検査ステーションの数の減少、必要な試験官の減少などである。オンラインでの配信方法、ビデオ、書面によるコンテンツの使用が増えた。