ASPIRE-to-excellence: A framework for developing innovative and inspirational approaches to health professions education
Elizabeth K. KachurORCID Icon,Michelle McLeanORCID Icon,Vishna Devi V. NadarajahORCID Icon,David BrownORCID Icon,Alexandra-Aurora DumitraORCID Icon,Heeyoung HanORCID Icon, show all
Received 20 Jul 2025, Accepted 03 Nov 2025, Published online: 22 Nov 2025
Cite this article https://doi.org/10.1080/0142159X.2025.2586639
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2025.2586639?af=R#abstract

はじめに
医学教育の革新は、あらゆる分野の発展と存続にとって不可欠である。従来の戦略では対処できない問題を解決し、専門的実践を新たな高みへと推進する力を持つ。本稿では、ASPIRE-to-ExcellenceのInnovation and Inspiration(I&I)パネルが開発した、医学教育における革新的かつ鼓舞的なプログラム開発のためのフレームワークを紹介する。
革新と鼓舞とは何か
医学教育における「革新」とは、新規または改善された教育プログラム、教授技術、学習および評価プロセスを導入するアイデアの実践的実装を指す。革新的であるためには、これらの取り組みは学習者、教育者、プログラムアウトカム、組織実践に対して肯定的かつ持続可能な影響を与える必要がある。
AMEE会議でのワークショップ参加者への調査によると、「革新的」という言葉に対しては「新しい」「問題解決」「創造的」といった概念が、「鼓舞的」という言葉に対しては「協働」「エンパワーメント」「変革」といった感情的要素が強調された。
重要なのは、有用で効果的な革新が単一の機関に留まっていては、分野全体の進歩を推進できないということである。したがって、他者を鼓舞することが必須の次のステップとなる。
ASPIRE I&Iフレームワークの4つの要素
このフレームワークは、プロジェクト管理の科学的手法と整合性を持ち、以下の4つの本質的要素から構成される。
1. ニーズアセスメント
プログラムが対処しようとする「ギャップ」を特定する段階である。文脈特異的な課題を特定するために、プログラム開発者は複数の情報源(使用状況や成績統計など)からデータを収集し、すべてのステークホルダー(学習者から地域社会まで)を関与させる必要がある。複数の情報源からのデータを三角測量することで、プログラムの根拠が強化され、構築のための貴重な基盤が提供される。
2. 計画立案
広範なプログラム目標と具体的で測定可能な目的(プログラム修了時に学習者が知り、実行し、価値を置くべきこと)の設定から始まる。目標と目的は教育ツールおよび教授・評価戦略の計画に必要なリソースと整合させる必要がある。さらに、理論的フレームワークに基づいて計画を立てることが重要である。継続的なステークホルダーの関与、潜在的な機会とリスクの特定、継続的質改善(CQI)プロセスの組み込みも不可欠である。
3. 実施
パイロットから完全実施、制度化まで、さまざまな段階を経て進行する。プロジェクト管理科学に触発されたテンプレートなどの有用なツールを活用し、リソースを追跡し、予期される・予期しないリスクを迅速に軽減する。緊密なCQIフィードバックループの支援により、計画通りにプロジェクトを運営する可能性が高まる。
4. プログラム評価
プログラムの目標に基づいて定義された成果を測定する、妥当性と信頼性のある方法を活用する必要がある。成果の達成は、持続可能性を実証するために、複数の情報源から得られた長期的な堅牢なデータ(質的および/または量的)によって証明されなければならない。近年では、経済的観点だけでなく、社会的影響の観点からも投資収益率(ROI)、すなわち社会的投資収益率(SROI)を評価することが重視されている。
プログラム開発における重要な質問
効果的な教育革新を最適化するために、以下のような質問を検討することが推奨される:
ニーズアセスメント段階
- 革新を通じて対処できる医学教育プログラムのギャップや課題は何か
- 学習者、教育者、より広範な医療コミュニティのニーズをどのように特定できるか
計画立案段階
- この革新的アプローチで達成しようとする主要な成果は何か
- ステークホルダーの意見を計画段階にどのように取り入れるか
- どのような革新的戦略を教育プログラムの計画に組み込むことができるか
実施段階
- 革新的教育プログラムを実施するための主要なステップは何か
- 潜在的な障壁にどのように対処できるか
- リアルタイムのフィードバックを収集するメカニズムは何か
プログラム評価段階
- 質的・量的成果を捉えるためにどのような革新的評価方法を使用するか
- 評価プロセスが医学教育における将来の革新をどのように鼓舞できるか
ASPIRE I&I受賞プログラムの事例
2019年から2025年の間に、I&Iパネルは4大陸から11の模範的プログラムに対して8つの完全賞と3つのメリット賞を授与した。これらのプログラムの特徴として以下が挙げられる:
- **地域基盤教育(CBE)と専門職連携教育(IPE)**が約半数に含まれる
- テクノロジー基盤の教育とリソースが4つの応募で中核的要素となっている
- 実施期間は平均約8年であり、継続的改善努力と肯定的成果の十分な記録を蓄積している
- バーチャルリアリティ(VR)や人工知能(AI)の組み込みも開始されている
具体例としては、ベルリンのシャリテ医科大学の5,089問の完全注釈付きMCQによる自己学習プラットフォーム、インドネシアのガジャマダ大学の11年間にわたる地域基盤型専門職連携教育プログラム、タイの16医学部と40の公立病院の協働による農村部医師養成プログラムなどがある。
学習者への利益
革新的プログラムへの参加は、教育的成果の向上だけでなく、学習者のキャリア開発にも貢献する。具体的な利益として以下が挙げられる:
- ニーズや視点を共有する機会
- 計画と実施への参加による新しいスキルの開発
- 新しいアプローチに対する建設的フィードバックの提供による価値の実感
- 個人の貢献を履歴書に記載できる
結論
ASPIRE I&Iフレームワークは、医学教育における革新的プログラムを開発するための実践的なロードマップを提供する。ニーズアセスメント、計画立案、実施、プログラム評価という4つの要素を通じて、教育者は新しいアイデアを実現可能なプログラムへと変換し、他者を鼓舞することができる。