Agile EVidence-Informed Design (AVIDesign): Transdisciplinary Curriculum Design for Evidence-Informed Health Professions Education.
Daroowalla, F., Ratliff, M., Migriauli, I. et al.
Med.Sci.Educ. (2025). https://doi.org/10.1007/s40670-025-02418-4

背景と問題意識
COVID-19パンデミックの影響
教育形態の劇的変化:
- アメリカ:学部生の遠隔学習率が36%(2019年)→75%(2020年)
- 医学教育:12カ国3000人以上の学生調査で、オンラインコース提供校が13%(パンデミック前)→76%(2020年)
- この変化により、教育デザイナー、教育心理学者、教育技術者の役割が拡大
従来モデルの限界:
- 体系的カリキュラム開発は時間がかかりすぎる
- リソース集約的で煩雑
- 医療専門職教育者にとって実用性に欠ける
AVIDesignモデルの構造
理論的基盤
EBMとの対応関係:
- EBM:(1)患者ニーズ明確化 → (2)PICO質問 → (3)証拠取得・評価 → (4)証拠適用 → (5)結果評価
- AVIDesign:(1)ニーズ明確化 → (2)LICO質問 → (3)証拠取得・評価 → (4)証拠適用 → (5)結果評価
LICO vs PICOフレームワーク:
- Patient → Learner(患者→学習者)
- Intervention → Intervention(介入→教育介入)
- Comparison → Context(比較→学習・実践文脈)
- Outcome → Outcome(結果→望ましい学習成果)
各ステップの分析
ステップ1:ニーズの明確化
4つの主要領域:
- 教育活動のニーズ、適合性、学習成果:
- カリキュラムのギャップは何か?
- 他のカリキュラム要素との整合性は?
- 学習者と利害関係者は誰か?
- 主要な学習成果は何か?
- 計画されている学習活動の範囲と期間は?
- 予想される課題:
- リソース、タイムライン、人員、技術に関する制約
- デザインプロジェクトの範囲:
- チーム構成と個人の役割の柔軟な調整
- HPE(医療専門職教育者)の関与レベルの選択
- リソースとタイムフレーム:
- デザインプロセスの予想期間
- 人員、時間、設定の制限
ステップ2:LICO質問の詳細
各要素の具体的質問項目:
学習者(Learners):
- 前提条件における能力を含む、学習者の独特で具体的な特徴は?
- 学習者の主題や介入に対する態度は?
- 異なるニーズを持つ複数の学習者グループが存在するか?
- この分野での学習者の既存知識は?
介入(Intervention):
- 過去に成功した、または改善が必要な介入は?
- 文献が示す最良の学習介入は?
- この文脈での介入に関連する特徴/制限は?
文脈(Context):
- 介入が実施される文脈は?
- カリキュラム内のどこで実施されるか?
- オンライン、ハイブリッド、教室、実習室のどれか?
- 必要なリソース(空間、時間、人員、設備、技術)は利用可能か?
成果(Outcomes):
- この介入から生じる知識、技能、態度は?
- 個人/専門/教育能力や認定要件との整合性は?
- 学習/成功の明確な目標、活動、評価が明示されているか?
ステップ3:証拠の取得と評価
証拠収集方法:
- 地域情報源:インタビュー、観察、調査
- 公表研究:学習理論と教育手法の背景を活用した質・強度・関連性の評価
評価基準(QUESTS):
- Quality(質)
- Utility(有用性)
- Extent(範囲)
- Strength(強度)
- Target(対象)
- Setting(設定)
ステップ4:証拠の適用
適用に影響する要因:
- 高品質証拠の利用可能性
- 証拠適用のためのリソース
- 教育者とデザイン専門家の関心・信念
実践的制約への対応:
- 実証研究が不十分または低品質の場合の対処
- 公表されたベストプラクティスの実行可能性の制限
- 制約下でも実証的証拠を適用する方法の模索
ステップ5:結果の評価
評価の種類と内容:
形成的評価:
- デザイン・開発プロセス中に実施
- 学習者、デザインチームメンバー、外部専門家からの入力
- 学習成果の分析
総括的評価:
- 教育活動実施後に実施
- Kirkpatrickの評価モデルとKellerのARCSモデルを活用
- 質的・量的手法の組み合わせ
デザインタスクメニュー
11の主要デザインタスク:
- カリキュラム要素のデザイン:コースワーク、目標、評価、教育戦略の設計図開発
- 目標の定義:望ましい成果と関連スキル、知識、態度の関係を伝える測定可能な声明
- 学習者評価のデザイン:目標に整合した評価手段(形成的・総括的)
- 教育戦略の策定:コンテンツ配信と利用可能リソース使用のための順序と教育法推奨
- 技術統合:学習促進のための技術統合要件とプロセス
- 教材のキュレーション/開発:特定の学習目標に対応する適切なマルチメディアコンテンツ
- 証拠の取得・評価・適用:理論とベストプラクティスに関する証拠の発見と設計への適用
- 形成的評価の実施:デザインプロセス中のデータ収集による調整
- 総括的評価の実施:学生と利害関係者の使用に基づく改善推奨のためのデータ収集
- 結果の発表/公表:デザインとカリキュラムプロジェクトの経験と評価の創造と普及
- 継続的質改善活動のデザイン:証拠に基づく教育とカリキュラムの向上のための定期的改善活動の確立
モデルの独自性と革新性
従来モデルとの違い:
従来の体系的デザイン:
- すべてのタスクを順序立てて網羅的に完了する必要
- 時間とリソース集約的
- 柔軟性に欠ける
AVIDesign:
- メニューから関連する特定のデザインタスクを選択
- HPEの関与レベルを関心と可用性に基づいて調整可能
- 反復的で柔軟
- リソース制約環境に最適化
学際的協働の促進:
チーム構成の柔軟性:
- コア:医療専門職専門家 + 学習・教育デザイン専門家
- 拡張:グラフィックアーティスト、ビデオグラファー、コンピュータープログラマー、シミュレーション専門家、AI専門家
役割分担の最適化:
- 学習・開発専門家:ニーズアセスメント、証拠統合、評価設計の専門知識
- 医療専門職教育者:コンテンツ、文脈、学習者体験の形成
- 相互学習:真正な学際的プロセスでの相互理解の深化
評価フレームワーク
Kirkpatrickモデルの4レベル:
- 反応:学習者の満足度と関与
- 学習:知識、技能、態度の習得
- 行動:学習した内容の実践への適用
- 結果:組織や患者ケアへの影響
Kellerの ARCSモデル:
- Attention(注意):学習者の興味と好奇心の喚起
- Relevance(関連性):学習内容の個人的価値の認識
- Confidence(信頼):成功への期待と自信の構築
- Satisfaction(満足):学習体験への満足感
将来への展望
技術的発展への対応:
- 生成AIと言語モデルを活用した教育デザインの進化
- 適応学習システムの統合
- バーチャルリアリティと拡張現実の教育活用
証拠基盤の拡大:
- AVIDesign適用プロジェクトの蓄積による証拠基盤の拡張
- 医療専門職全体での教育品質の向上
- 国際的な標準化と最適化の可能性
持続可能性:
- 継続的質改善の組み込み
- 利害関係者のフィードバックの体系的統合
- 証拠に基づく実践の文化的定着