Making space for stories: promoting physician and medical student well-being through successful medical education storytelling events
Maren E. Olson & Bernard E. Trappey
BMC Medical Education volume 24, Article number: 1172 (2024)
医学教育の場におけるストーリーテリング・イベントは、ストーリーを共有し、コミュニティを構築し、レジリエンスを促進し、幸福感を醸成するための強力な方法であるが、多くの教育者は、どのようにイベントを作ればよいのか分からないでいる。 本稿では、読者がインパクトのあるストーリーテリング・イベントを計画し、成功させるための実践的なヒントを概説する。

1. イベントの準備
対象者の特定
- 学部生、大学院生、研修医、教員など、主な対象を決定
- 対象に応じて、適切な物語の選択や進行方法を調整
チーム編成
資金調達
- 機関内のウェルビーイング促進資金の活用を検討
- 地域の医療団体や慈善家からの支援を模索
- 限られた予算でも、オンラインイベントなど工夫次第で実施可能
日程と会場の選択
- 機関の主要行事や宗教的休日を避ける
- 参加しやすい平日夜を選択
- 可能であれば、魅力的な会場(美術館、キャンパス内の快適な場所など)を選ぶ
2. イベントの内容
テーマ設定
- 解釈の余地がある、やや曖昧なテーマを選ぶ(例:「つながり」「交差点」)
- 物語の長さを制限(推奨:750語以内、約5分)
物語の募集と選考
- イベントの8-10週間前に募集開始、4-6週間前に締切
- 匿名化された物語を計画委員会が評価
- 多様な視点や経験が反映されるよう配慮
物語の配置
- 全体的な流れを考慮(例:ポジティブな物語で開始、中盤に挑戦的な内容、希望に満ちた物語で締めくくる)
聴衆の参加
- 省察や対話の機会を設ける(例:付箋を用いた感想共有、オンラインチャットの活用)
3. 安全性と倫理的配慮
- 内容の警告を提供し、聴衆が必要に応じて退席できるようにする
- 患者のプライバシーを保護するため、物語を事前にレビュー
- イベントの録音・録画は控え、安全な環境を確保
4. フォローアップと継続的な取り組み
- 物語の出版や他の場での共有を奨励
- 定期的な物語共有の機会(例:リフレクティブ・ライティング・グループ)を設ける
- カリキュラムに物語や内省的な文章を取り入れる
- 教員が物語共有のロールモデルとなることを奨励
・物語共有の科学的根拠:
論文は、物語共有の効果に関する神経科学的な知見を紹介しています:
- 神経結合(Neural coupling):機能的MRI研究により、物語を語る人と聞く人の脳の感覚、運動、感情の中枢が密接に結びついていることが示されています。
- 感情移入(Emotional transportation):聴衆が物語の語り手の心、体、感情を体験することで、共感が高まります。
- ホルモン効果:物語を共有することで、オキシトシンの放出が促進され、信頼や寛容性が高まる可能性があります。
・長期的な影響:
著者らは、これらのイベントが一回性のものではなく、医学教育コミュニティ全体の文化を変える可能性があると主張しています:
- 定期的な物語共有の機会を設けることで、省察的実践のスキルが向上します。
- カリキュラムに物語や内省的な文章を取り入れることで、学生や研修医の専門性開発を支援できます。
- 教員が物語共有のロールモデルとなることで、次世代の医療従事者にその価値を伝えることができます。
・課題と注意点:
- 物語の選考プロセスは慎重に行い、多様性と包括性を確保する必要があります。
- 患者のプライバシーを保護するため、物語は事前にレビューする必要があります。
- 内容によっては聴衆に emotional distress を引き起こす可能性があるため、適切な内容警告を提供する必要があります。
評価と改善:
著者らは、これらのイベントの「成功」を単純に参加者数で測るのではなく、以下の点を重視しています:
- 参加者が互いにつながりを感じたか
- 医療という仕事に対する意味や目的を再認識できたか
- 希望や刷新の感覚を得られたか
- 感謝の気持ちが生まれたか