医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

アカデミック・コーチング・プログラムを設計・実施するための12のヒント

Twelve tips for designing and implementing an academic coaching program
Svetlana M. KingORCID Icon,Shafeena Anas,Ricardo Carnicer HijazoORCID Icon,Johanna JordaanORCID Icon,Jean D. F. PotterORCID Icon &Naomi Low-BeerORCID Icon
Received 24 Jul 2023, Accepted 17 Jan 2024, Published online: 31 Jan 2024
Cite this article https://doi.org/10.1080/0142159X.2024.2308058

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2024.2308058?af=R

An illustration representing the concept of 'Twelve Tips for Designing and Implementing an Academic Coaching Program'. The image shows a modern, brightly lit classroom with a diverse group of students and a coach. The coach, standing near a whiteboard, is pointing to a list of twelve colorful, numbered tips related to academic coaching. The students, sitting in a semi-circle around the coach, are actively engaged, taking notes, and discussing. The room is decorated with educational posters and motivational quotes, creating an inspiring and supportive learning environment. The style is vibrant, detailed, and educational, capturing the essence of an effective academic coaching program.
 
 

コーチングは、保健医療専門職教育(HPE)の継続的な学習を支援するメカニズムとして、ますます人気が高まっている。この分野の文献は増えつつあるが、医療専門職コースにおけるアカデミック・コーチングの設計と実施に関するガイダンスはほとんどない。本稿では、医療専門職コースへのアカデミック・コーチングの導入を検討しているアカデミック開発者のためのガイダンスを提示することで、この文献に貢献することを目指す。12のヒントは、著者らがオーストラリアとイギリスの大学の医学コースでアカデミック・コーチングをデザインし、実施した経験に基づくものである。医学教育に焦点をあてているが、この論文は、医療専門職全体、そして大学や大学院のトレーニングの状況にも応用できることを意図している。本論文は、医療専門職教育におけるアカデミック・コーチング・イニシアチブの設計と実施の指針となる、戦略的かつ実践的な枠組みを提供するものである。

 

1.コーチング・プログラムの目的、理念、戦略を明確にする

学習者の背景やコースの成果を考慮し、プログラムの目標を設定する。

2.構造化された学習・評価プログラムの中にコーチングを組み込む

効果的な学習成果を得るために、コーチングをコースの学習と評価の仕組みに組み込む。

3.コーチの役割と必要なスキルを明確にする

文化的、組織的背景を考慮し、コーチの責任とその役割に必要なスキルを概説する。

4.コンテクストがコーチングデザインの決定に影響を与えることを認識する

組織や社会の背景が、人材やインフラを含むコーチングプログラムの運営にどのように影響するかを理解する。

5.教員育成プログラムを確立し、コーチングコミュニティを育成する

一貫性と質を維持するために、コーチングの役割を担う教員に対する初期および継続的なサポートを開発する。

6.コーチングの概念を適用するための足場となる学習者サポート

学習者の経歴や学業成績を考慮しながら、コーチングの概念を徐々に導入する。

7.学習者の参加を促進するために、期待を明確に伝える

コーチングプログラムの目的を学習者やコーチを含むすべての関係者に効果的に伝える。

8.コーチングの実践を共有するために同僚と協力する

コーチングアプローチを共有し、洗練させるために、教育機関内および教育機関を超えて同僚と協力する。

9.プログラムを推進するコーチングチャンピオンチームを特定する

コーチング・プログラムをサポートし、推進するために、様々な役割や状況に応じた複数のチャンピオンを参加させる。

10.順応性、柔軟性、実施への対応力を持つ

フィードバックを常に受け入れ、継続的な改善のために必要に応じてプログラムを適応させる。

11.継続的に質を向上させるコーチング文化を確立する

コーチの間で継続的な改善の文化を奨励し、プロフェッショナル育成にフィードバックを取り入れる。

12.コーチング研究と奨学金プログラムを開発する

貢献するための研究と奨学金を実施する。

 

結論
HPEにおいてコーチングがより広く実践されるようになり、将来の保健医療人材の育成におけるコーチの重要な役割が認識されるにつれて、コーチングを採用する保健医療専門職コースの数は増加すると思われる。本稿は、学術的なコーチング・プログラムを設計・実施する際に、エビデンスに基づき、経験に基づいた考察を提供することで、既存の文献を拡張するものである。私たちの学びを共有することで、コースにコーチング・プログラムを導入しようとしている同僚を支援し、ひいてはHPEにおける個人的・集団的なコーチング能力と学術に貢献することを意図している。