医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

漢方医学研修の評価における客観的構造化臨床試験(OSCE)の応用

Application of objective structured clinical examination (OSCE) for the evaluation of Kampo medicine training

Marie Amitani, Haruka Amitani, Hajime Suzuki, Suguru Kawazu, Kimiko Mizuma, Kojiro Yamaguchi, Toshimichi Oki, Hideaki Nitta, Takuro Sonoda, Keiko Kawano, Yasuhiro Tanaka, Nanami Uto, Rie Ibusuki, Ryutaro Arita, Shin Takayama, Tadamichi Mitsuma, Toshiro Takezaki, Akihiro Asakawa & Tetsuhiro Owaki 
BMC Medical Education volume 22, Article number: 202 (2022) 

bmcmededuc.biomedcentral.com

 

背景
本研究の目的は、漢方医学の臨床能力を評価するために、客観的構造化臨床試験(OSCE)を用いて、客観的で、内容的に妥当で、信頼性の高い漢方医学の評価方法を開発することである。

方法
漢方医学の臨床能力に関する47の評価項目と3つのタスクシナリオからなる青写真を作成した。評価項目の妥当性は8名の試験委員がLikertスケールで確認した。内容妥当性指数と内容妥当性比率を算出し,Angoff法を用いて合格基準点を設定した.各シナリオに 3 名ずつ配置し,合計 9 名の模擬患者を訓練した.医療能力の異なる11名の受験者を対象にOSCEを実施し,1人3ステーションを1室の評価者が直接観察して評価した.3人の評価者の評価者間信頼性を検証するため、ビデオ撮影を行った。その試験結果をもとに、評価表の信頼性を検証した。

結果
評価者間信頼性(クラス内相関係数[2,1])は0.973であった。各シナリオのアセスメントチャートの信頼性(Cronbachのα)は、シナリオ1、2、3でそれぞれ0.86、0.89、0.85であった。また、OSCE全体の評価表の信頼性(Cronbach's α)は0.90であった。

結論
本研究では,漢方医学の臨床能力を評価するための新しいOSCE評価法を開発し,その高い評価者間信頼性と試験信頼性を確認した。この結果は,漢方医学教育の導入が進む中で今後ますます重要になると予想される,漢方医学の臨床能力を評価するための最も信頼性の高い評価方法の一つであることを示唆している。客観的な評価方法を確立することは、日本の伝統医学を国際的な教育の一環として発展させるための一歩となることでしょう。