医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

Oldenburg Burnout Inventory - Medical Student (OLBI-MS)の内部構造に基づく妥当性の検討

Exploring the Validity Based on Internal Structure of the Oldenburg Burnout Inventory – Medical Student (OLBI-MS)
Christopher R. RunyonORCID Icon, Miguel A. Paniagua & Liselotte N. Dyrbye
Received 09 Mar 2021, Accepted 22 Nov 2021, Published online: 22 Jan 2022
Download citation  https://doi.org/10.1080/10401334.2021.2018695

 

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10401334.2021.2018695?af=R

 

構成

本研究では、医学生バーンアウトを測定するための16項目の尺度であるOldenburg Burnout Inventory - Medical Student (OLBI-MS)の使用に関する妥当性の証拠を収集した。OLBI-MSの16項目は、離脱と疲弊の2つの下位尺度に分割されている。

 

背景

医学生燃え尽き症候群は、職業上および個人的にいくつかの有害な結果をもたらすことが実証されている。医学生バーンアウトが多いことを受けて、バーンアウトの測定を定期的に行うことが推奨されているが、そのためには、使用目的に合った妥当性が証明されている標準化された測定法を用いる必要がある。OLBI-MSは、Oldenburg Burnout Inventory (OLBI)をもとに作成された、医学生バーンアウトを測定するための標準的な尺度である。OLBIは多くの職業環境で研究されており、これらの集団の大部分で2因子解を持つことがわかっているが、医学生の集団でOLBI-MSの下位尺度を使用することを支持する妥当性の証拠は限られている。

OLBI-MSは16項目の調査で、疲労感(身体的、認知的、感情的な側面)と離脱感(仕事の対象、仕事の内容、仕事全般に対する否定的な態度)の2つの下位尺度を持つ。各下位尺度には8つの質問があり、回答の選択肢は「強くそう思わない」から「強くそう思う」までの4段階のリッカート尺度である。OBLI-MSの項目と、それに対応する下位尺度および項目ラベルを示す。
 
Oldenburg Burnout Inventory - Medical Student Scaleの項目。
医学部の仕事では、いつも新しい面白さを見つけることができる* Disengagement D_INTEREST
医学部に到着する前に、疲れを感じる日がある。 Exhaustion E_TIRED
医学部の仕事について、否定的な話をすることが多くなった。 やる気をなくす  Disengagement D_TALK
医学部の仕事が終わった後、リラックスして気分を良くするために、以前よりも時間が必要になる傾向がある。 Exhaustion E_RELAX
医学部の仕事のプレッシャーによく耐えられる*Exhaustion E_PRESSURE
最近、医学部ではあまり考えず、ほとんど機械的に医学部の仕事をする傾向がある。 Disengagement D_THINK
医学部の勉強は、前向きなチャレンジだと思う。Disengagement D_CHALLENGE
医学部の仕事をしていると、精神的に疲れてしまうことが多い。 Exhaustion E_DRAINED
時間が経つと、医学部の仕事から離れてしまうことがある。 Disengagement D_DISCONNECTED
医学部の一日が終わると、余暇活動をするのに十分なエネルギーがあります。Exhaustion E_LEISURE
医学部の仕事で気分が悪くなることがある。 Disengagement D_SICKENED
医学部の一日が終わると、私は疲れていると感じる。 Exhaustion E_WEARY
医学の勉強は、自分がやっていることを想像できる唯一のものです。Disengagement D_IMAGINE
普段は、医学部の勉強の量をうまく管理できている。* Exhaustion E_MANAGE
医学部の仕事にどんどん没頭していると感じる。Disengagement D_ENGAGED
医学部にいるときは、たいてい元気が出てくる。* Exhaustion E_ENERGIZED

 

アプローチ

本研究では、2年間のAssociation of American Medical College Year 2 Questionnaireデータ(n = 24,008)を用いて、一連の探索的および確認的な因子分析を行った。1年目のデータ(n=11,586)を確認的サンプルと探索的サンプルに無作為に分割し、2年目のデータ(n=12,422)を二次的な確認的サンプルとして使用しました。本質問票は,医学教育の2年目に医学生に実施されるものであることから,本研究は,医学生を対象とした本測定法の妥当性を示すものであると考えられる。

 

調査結果

OLBI-MSの2因子構造は、医学生2年目の集団では経験的に支持されなかった。いくつかの項目は項目間相関が低く、また予期せぬ項目と中程度の相関があった。OLBI-MSの3つの修正版が、オリジナルの項目のサブセットを用いてテストされた。そのうち2つの修正版は、データの関係を統計的に適切に説明するものであった。しかし、これらの修正版の尺度が燃え尽き症候群の構成要素のすべての側面を適切に測定しているかどうかは不明であり、これらの尺度を使用する前にさらなる妥当性の証拠が必要である。

 

結論

医学生2年生のバーンアウトの測定にOLBI-MSを使用することは推奨されない。OLBI-MSが医学生に適しているかどうか、あるいは医学生の専門的成長の段階に応じて異なる測定法が必要かどうかは不明である。OLBI-MSを改良するか、新たな尺度の基礎として使用するためには、さらなる研究が必要である。