One-Minute Preceptor, SNAPPS, and Traditional Teaching in the Acquisition of Clinical Reasoning Skills by Medical Students.
Grunewald, S.T.F., Lucchetti, A.L.G., Grunewald, T. et al.
Med.Sci.Educ. (2024). https://doi.org/10.1007/s40670-024-02241-3
背景
臨床推論(CR)を向上させるための教育ツールに関するエビデンスが増加しているにもかかわらず、どのツールがより適切で、より良い結果につながるかについては、まだ不確かである。
目的
1分間指導法(OMP)およびSNAPPS(関連所見の要約、鑑別の絞り込み、分析、プリセプターへの質問、管理計画、自習のための課題選択)モデルが、医学生のCR技能習得において従来の教育と比較してどの程度有効であるかを評価すること。
方法
無作為化比較試験で、学生を3つの群に登録した: OMP、SNAPPS、および従来の教育(対照群)の3群に学生を登録した。 小児科クラークシップのローテーションの前後に、模擬環境および実際の患者のもとで、CRに関連するいくつかのアウトカムと臨床症例提示の質について評価を行った。
結果
- シミュレーション環境での評価:
- 症例提示の質的スコア:
- SNAPPS: 33.30点
- OMP: 25.90点
- 従来型: 18.20点 (p<0.001)
- 学生のパフォーマンススコア:
- SNAPPS: 19.2点
- OMP: 18.0点
- 従来型: 12.70点 (p<0.001)
- ディスカッション時間:
- SNAPPS: 148.0秒
- OMP: 125.0秒
- 従来型: 58.20秒 (p<0.001)
- 実際の臨床現場での評価:
- 症例提示の質的スコア:
- SNAPPS: 29.30点
- OMP: 24.60点
- 従来型: 15.30点 (p<0.001)
- プリセプター(指導医)による学生評価(0-10点):
- SNAPPS: 8.34点
- OMP: 8.33点
- 従来型: 5.20点 (p<0.001)
主な考察のポイント:
- SNAPPSの優位性について:
- 学生主導の討論を促進する構造により、より深い臨床推論の展開が可能
- 自律的な学習と疑問点の表明を促進する
- 鑑別診断の提示と正当化において特に効果的
- OMPの特徴:
- より構造化されたフィードバックを提供
- 学生にとって使いやすく、満足度が高い
- 指導医からのポジティブフィードバックと誤りの訂正が組み込まれている
- 両手法の実践的意義:
- どちらの手法も従来型教育より効果的
- 教育環境や目的に応じて選択可能
- 指導医の訓練と適切なインフラ整備が必要
- 研究の限界:
- 単一の医科大学での研究
- 参加者と研究者のブラインド化が不可能
- 長期的な効果の評価が未実施
- 指導医が両方の手法を知ることによる交差汚染の可能性
- 今後の展望:
- 異なる教育環境での検証の必要性
- 長期的な効果の評価
- 他の臨床推論評価ツールとの比較研究の必要性
- AIの発展に伴う新しい技術との統合可能性の検討
結論
臨床推論は医学研修の重要な成果であり、CRツールの使用は学生の成績を向上させることができる。 SNAPPSはCR関連のアウトカムと臨床症例提示においてより良い結果を示したが、OMPはより高い満足度スコアを得た。