医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

緩和医療教育-学部生を対象としたBed Race, The End of Life Board Game

Palliative medicine education—Bed Race, The End of Life Board Game in undergraduates
http://orcid.org/0000-0003-0238-0257

Dylan G Harris1,2 and Clea Atkinson3

spcare.bmj.com

背景

教育用ボードゲームは、知識を概念化する能動的な学習を促進し、共同学習やチームワークを促進する。教育用ボードゲームへの関心は高まっているものの、緩和ケアや終末期ケアでの使用はこれまで非常に限られていた。

方法

「Bed Race, The End of Life Game」は、緩和ケアと終末期ケアに特化したボードゲームとして開発された。このゲームは、緩和ケアの臨床家によって開発され、初期の開発段階では、緩和ケアの他の専門家や他の専門分野の同僚からのフィードバックを受け、その後、医学生の大規模なコホートで試験的に使用して、さらに評価を行いました。

「Bed Race, The End of Life Game」では、チームが集めなければならないものは全部で5つあります。
「Just In Case」の薬袋(予測的処方)。

Do Not Attempt Resuscitation(蘇生を試みないこと)の用紙。

ハート(思いやりの心)。

シリンジドライバー

オーラルバランスジェル。

これらのアイテムは、ボード上の特定のマス「チェックポイントのマス」で集めることができます。しかし、あなたのチームは、チェックポイントに到着したときにアイテムを回収するための質問に正しく答える必要があります。また、ボードを一周する際には、ある患者・家族との厄介な会話を処理する必要があります。

このゲームでは、参加者を4つのチームに分けます。各チームは、サイコロを振って「病院のベッド」の模型を、終末期の旅路を表すボード上のトラックに移動させます。進行役は、チームがボード上を移動するのを監視します。チームが勝利するためには、「ゴール」に到達するだけでなく、ゲームボードを移動する際に病院のベッドに置く5つのミニチュアアイテムを集める必要があります。

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クイズの問題は、多肢選択形式で出題されています。問題の内容は、Association for Palliative Medicine(緩和医療学会)の学部医学教育カリキュラムの学習成果に基づいています。ゲームボードの中央には「心臓」というチェックポイントがあり、各チームは「会話カード」を選びます。会話カードには、患者や親族からの質問を伴う短い臨床シナリオが描かれており、チームはそのカードに書かれた会話にどのように対処するか、短い説明を求められます

5年生の医学生251名が参加した12回のゲームセッションにおいて、ゲーム前とゲーム後のクイズのスコアとフィードバックを収集しました。

結果

169名(67%)の学生が、ゲーム前とゲーム後の匿名のクイズ問題と自由記述のフィードバックを完了した。ゲーム後のクイズの得点は、各テーマで高く、ゲーム前とゲーム後のアンケートの差は、統計的に有意であった(p<0.05)。自由記述のフィードバックには、「魅力的で楽しい」、「適切な学習」、「仲間との学習とチームワーク」などのテーマが含まれていた。

結論

教育用ボードゲームは教育の新しい万能薬ではないが、そのコンセプトは緩和ケアにうまく応用できる。