Comparative Analysis of Peer-Assisted Jigsaw Teaching Strategy vs Conventional Didactic Teaching With and Without ScholarRx Utilities: A Four-armed Randomized Trial in Medical Education (JIGSAW-Rx Trial).
Abhishek, K., Kumar, P., & Agrawal, P. (2026).
Medical Science Educator. https://doi.org/10.1007/s40670-025-02576-5

研究の背景
教材の問題
医学教育では長年、教科書に基づいた講義が主流だったが、実際には教科書が十分に活用されていない。Ditmyerらの報告では、歯学部生の75%以上が教科書をほとんど読まないと回答している。また別の調査では、264名の学生のうち53%が教科書を「全く読まない」または「めったに読まない」と答えている
この研究を実施した機関でも、1年次学生の25%未満しか指定された教科書の課題を完了していなかった。学生たちは、時間がかかる、複数の本を参照する必要がある、インタラクティブな視覚教材が不足している、といった理由でモジュール型の視聴覚ツールを好んでいた。
ジグソー学習法とは
ジグソー学習法(JTS)は、協働的な問題解決を通じて知識を構築する新しい教育手法である。学習者は最初に「専門家グループ」でサブトピックを習得し、その後「ホームグループ」に戻って仲間に教えるという構造になっている。
研究方法
研究デザイン
この4群ランダム化パイロット試験では、1年次医学生92名を以下の4つのグループに分けた:
- D.C群(n=23):従来の講義+教科書ベースの教材
- D.Rx群(n=27):従来の講義+ScholarRx Bricks
- J.C群(n=18):ジグソー学習法+教科書ベースの教材
- J.Rx群(n=24):ジグソー学習法+ScholarRx Bricks
評価方法
研究では、介入の前後と1ヶ月後に以下の項目を測定した:
- 理論試験(30問のクイズ)
- 臨床評価(症例ベースのシナリオ)
- モチベーションと自信のスコア
- 29項目の学習認識スケール
研究結果
モチベーションと自信
介入後、モチベーション(p=0.009)と自信(p=0.013)に有意な改善が見られ、特にJ.Rx群で顕著だった。この群の学生は、学習プロセスをより楽しみ、自己効力感が高まったと報告している。
学業成績
理論試験スコア:すべての群で改善が見られたが、J.Rx群が最も顕著な上昇を示した(p<0.001)。
臨床評価スコア:J.Rx群(p=0.004)とJ.C群(p<0.05)で特に改善が見られた。
これらの結果は、ジグソー学習法が従来の講義形式よりも優れた学習成果をもたらすことを示している。
学習認識
介入後、複数の認識項目で有意な改善が見られた。特にJ.Rx群で顕著だった項目は以下の通り:
- ワークショップを楽しんだ(p=0.003)
- 内容をよく学べた(p=0.003)
- 授業の議論を楽しんだ(p=0.001)
- クラスメートと自由にコミュニケーションできた(p=0.002)
- よい成績を期待している(p<0.001)
考察
なぜジグソー学習法が効果的なのか
ジグソー学習法の成功は、その協働的な性質に起因している。学生は積極的に参加し、仲間と学び合うことで、より深い理解と知識の定着が促進される。Oakeらの研究でも、ジグソー法を用いた解剖学の授業で、学生の知識と保持率が向上したことが報告されている
ScholarRx Bricksの利点
ScholarRx Bricksのような簡潔でインタラクティブなモジュールは、従来の分厚い教科書よりも学生の関心を引きやすい。Pujolらの研究では、視聴覚学習ツールが認知能力と記憶力を向上させることが、脳活動の測定によって示されている
構成主義学習理論との整合性
学生が授業の議論に自由に参加できるようになったという改善は、構成主義学習理論を支持している。この理論では、学習者は積極的な関与と社会的相互作用を通じて知識を構築し、より深い理解と情報の保持につながるとされている
研究の限界
この研究には以下の限界がある:
- 単一施設での実施
- 短期的な評価のみ
- 比較的小規模なサンプルサイズ
- 女性学生の割合が4.2〜22%と低い
今後の研究では、より大規模で多施設にわたる長期的な追跡調査が必要である
結論
この研究は、革新的な教育戦略と現代的な教育ツールを組み合わせることで、医学教育を強化できることを示している。ジグソー学習法、特にScholarRx Bricksと組み合わせた場合、従来の講義形式と比較して、モチベーション、自信、学業成績、学生の認識が有意に改善された。
医学教育は、インタラクティブで学生中心のアプローチを統合することで、より魅力的で効果的な学習環境を育成できる。今後の研究では、これらの教育方法と教材が臨床スキルと専門的発達に与える長期的な影響を探る必要がある