Paper-based radial anatomy puzzles as educational tools: A pilot study at a dental school.
Lúcio, I. M., Afonso, J. D., Mendes, J. J., Rodrigues, P., Raidou, R. G., & Lopes, D. S. (2025).
Medical Teacher, 1–4. https://doi.org/10.1080/0142159X.2025.2568053
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2025.2568053?af=R

教育上の課題
従来の解剖学教育では、教科書、解剖実習、図譜などの静的な教材が中心であった。これらのツールは視覚的認識と事実の暗記に重点を置きがちで、解剖学的要素を有機的に結びつけることや、空間的関係性の全体像を把握することには限界があった。
マインドマップやコンセプトマップのような知識の構造化手法は他の分野では成功を収めているが、解剖学教育での活用は限定的である。特に、動的で多様な形式での展開が不足していた。
紙製ラジアルパズルという解決策
研究チームが開発した「ラジアルアナトミーパズル」は、解剖学的知識マップを物理的な形で具現化したものである。同心円状に配置された紙製のリングを回転させながら、解剖学的構造の関係性を組み立てていく仕組みだ。
各リングは解剖学的階層を表しており、中心から外側に向かって、一般的なカテゴリーから具体的な構造へと詳細化されていく。中心のディスクは根本概念(全体的な解剖学的構造)を示し、最外層のリングには個別の構造やランドマークのサムネイル画像が配置されている。
このパズルは歴史的な回転式紙製装置「ボルヴェル」からインスピレーションを得ており、リングを回転させて正しく整列させることで、意味のある解剖学的関係性が明らかになる設計となっている。
実証研究の概要
研究チームは頭頸部の様々な系統(骨、筋肉、動脈など)をカバーする8種類のパズルを開発し、歯学部生22名を対象とした検証を実施した。
評価プロセスは以下の流れで行われた:
- 事前クイズの実施
- パズル解決(5分間)
- 事後クイズの実施
- エンゲージメント、ユーザビリティ、作業負荷に関する標準化されたアンケート
- 短時間のインタビュー
参加者には複雑さの異なる3つのテーマのパズル(頭蓋骨、動脈、筋肉)が与えられ、20~57の概念を4~6層にわたって整理する課題が課せられた。
得られた成果
結果は非常に肯定的なものであった。全参加者が頭蓋骨パズルを完成させ、80%以上がより複雑な動脈と筋肉のパズルを解決した。ほとんどの参加者が一度の試行で課題を完了し、最も複雑なパズルでも平均完了時間は3分未満であった。
事後クイズのスコアは全課題で有意に向上し、特により難易度の高いトピックで改善が顕著であった。これは、実践的で能動的な取り組みが解剖学的知識の定着を支援するという仮説を裏付けている。
参加者のエンゲージメントは高く、VisEngage尺度で平均123.7点(中立を大きく上回る)を記録した。ユーザビリティも高評価(SUS スコア:84.8)で、参加者はパズルを「自然」と評している。NASA-TLXスコアは低い苛立ちと身体的負担を示し、精神的・時間的負担は中程度であったことから、パズルは認知的に刺激的ではあるが圧倒的ではなかったことが示唆された。
言語フィードバックでもこれらの結果が裏付けられた。ユーザーは触覚的でパズルのような形式を評価し、体験を「楽しく、集中でき、復習に役立つ」と表現した。より明確な視覚的コントラストや頑丈な素材を求める声もあったが、ほとんどの参加者が特に知識の更新や復習のために再度使用したいと述べた。
得られた教訓
この研究は、階層的な解剖学テキストデータをインタラクティブな紙ベースの知識マップに変換することで、解剖学教育における知識の定着と更新を支援する実行可能で魅力的なツールとなることを実証した。
ただし、いくつかの課題も明らかになった。紙製パズルは低コストでアクセスしやすい一方で、脆弱でリングが意図せず滑りやすく、ユーザー体験を損なう場合があった。
また、クイズスコアの有意な改善が観察されたものの、これらの向上がパズル解決行為そのものによるものか、単に完成した解答を確認することによるものかは不明確である。能動的な取り組みと受動的な復習を区別して、これらのツールの真の教育的価値を評価する必要性が浮き彫りになった。
今後の展開
今後に向けて、いくつかの改善が計画されている。より頑丈な素材と優れた機械的安定性により、ユーザビリティが向上するだろう。整列インジケーターなどの触覚的または視覚的フィードバックの統合により、自己評価と学習を強化できる。
また、解剖学教員を今後の共同デザインセッションに参加させることで、これらのツールが教育目標と教室の実情に確実に合致するようにする予定である。
まとめ
紙製ラジアルアナトミーパズルは、解剖学教育に新たな可能性を示すものである。低コストで実装可能でありながら、学習者の能動的な参加を促し、知識の定着を支援する。今後の改良により、より効果的な教育ツールとして発展していくことが期待される。