Twelve tips for creating an academic teaching portfolio.
Little-Wienert, K., & Mazziotti, M. (2017).
Medical Teacher, 40(1), 26–30. https://doi.org/10.1080/0142159X.2017.1364356
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2017.1364356

学術的教育・ポートフォリオの意義
医学部教員は臨床業務、研究、そして多様な学習者(医学生、研修医、フェローなど)の教育という複数の責任を担っている。教育効果の測定は、昇進や給与といった総括的評価だけでなく、教育の質を向上させる形成的評価においても重要である。ティーチング・ポートフォリオは、これら複数の評価材料を統合し、教育者としての業績を体系的に示すことを可能にする。
12のヒント
ヒント1: 事前準備を入念に行う
ポートフォリオ作成は一朝一夕にできるものではない。所属機関の昇進基準や提出要件を早期に確認し、履歴書(CV)の形式などの具体的な要求事項を把握する必要がある。また、過去の成功事例を参照することで、目標設定の基準を得ることができる。
ヒント2: 現在のCVを見直す
CVはほとんどの学術的教育・ポートフォリオで必須の構成要素である。教育業績を念頭に置いて、CV の各項目を以下の5つのカテゴリーに整理する:教育活動、カリキュラム開発、助言・メンタリング、教育リーダーシップ・運営、学習者評価。この整理により、教育への貢献と経験をより明確に伝えることができる。
ヒント3: 「靴箱」を確立する
「靴箱」とは、教育活動に関する情報を収集する「容器」である。講義、グループセッション、ピアレビュー、開発したカリキュラム、メンティー、教育リーダシップ活動など、すべての教育要素を記録する。教育場所、学習者の種類、人数、費やした時間などを追跡し、定期的にCVを更新する。紙ベースのファイリングシステム、ウェブベースのシステム、あるいは文献管理ソフトウェアなど、自分に合った整理方法を選択する。
ヒント4: 教育の質を示すエビデンスを収集する
量だけでなく質のエビデンスも収集する必要がある。教育効果を示す材料には、自己評価、学習者による授業評価、ピア評価、上司評価、教育賞、学習者の評価結果、受講者統計、教育招聘などが含まれる。学習者評価は教育努力の質を示す主要なエビデンスとして報告されている。事前に検証された評価ツールを適応させるか、独自のツールを作成することを検討する。
ヒント5: ピアレビューに参加する
ピアレビューは、教育の効果と質を向上させるための観察とフィードバックを提供する。個別化された学習を可能にし、同僚性を育み、協働を促進し、教育行動を肯定的に変化させることが示されている。レビュアーには同僚、メンター、コーチ、上司が含まれる。観察の前に期待を明確にし、観察後にフィードバックを受け、それを日常の教育実践に組み込む時間を設ける。
ヒント6: メンターシップを提供する
他者のキャリア発展を支援することは時間とエネルギーを要するが、適切なメンターシップは両者のキャリアを進展させる。医療分野でメンターを務めた人々は、より高い個人的満足度、より高い給与、より高い昇進率、より強い主観的キャリア成功を報告している。メンティーの利点には、個人的発達の改善、キャリアの進展と満足度の向上、学術的生産性の向上などが含まれる。教えた学生やメンティーの業績と学術的任命を記録することで、メンターとしての成功を示すことができる。
ヒント7: 支持の手紙を依頼する
あなたの業務範囲を知り、教育への貢献を証明できるメンター、同僚、上司に支持の手紙を依頼する。具体的な肯定的フィードバックと、建設的フィードバックの両方を含む手紙は、執筆者があなたの教育者としての発展に投資していることを示す。CVと個人声明のコピーを各依頼者に送り、彼らがあなたの具体的な教育上の強みと業績にコメントできるようにする。
ヒント8: 学術性のエビデンスを示す
米国医科大学協会(AAMC)の調査によれば、教育者の業績の質を決定するための最も重要なエビデンスは、査読済み学術成果、全国的な認知、他者による業績の採用、教育助成金であるとされている。各プロジェクトに学術的アプローチを取り、設計、実施、評価、再設計の体系的方法を文書化し、既発表の知見と「ベストプラクティス」を組み込む。教育学術には出版物だけでなく、招待講演や、他者に普及・採用された教育製品(モジュール、カリキュラム、評価ツールなど)も含まれる。
ヒント9: 教育目標と到達目標について考える
目標は意思決定を導き、すべての教育活動の枠組みを提供する包括的原則である。目標は一般的で広範囲であるべきである。一方、到達目標またはサブ目標は、具体的で測定可能なステップであり、達成可能、関連性があり、期限が定められ、魅力的で、報酬がある(SMARTER)ものであるべきである。教育目標は適切に高く設定されるべきだが、焦点が絞られ現実的でもある必要がある。
ヒント10: 教育哲学を書き留める
教育目標は教育哲学の一部となる。教育哲学は教育キャリア全体を通じてあなたを導き、インスピレーションを与えるものである。これには自己反省と、教育・学習スタイルの自己評価が示されるべきである。教師としての自分の役割や、学生が最もよく学ぶ方法についての考えを含めることができる。教育哲学は教育原理と理論に根ざし、ポートフォリオ全体を通じて明確に適用されるべきである。
個人声明は、教育目標と哲学、教育活動の特徴、それらの評価プロセス、教育方法の改善計画という主要要素を含む、簡潔な(1~2ページ)文書である。定期的に(各学年末など)見直し、哲学の進化を反映させる。
ヒント11: 専門的発達を記録する
多くの医師は訓練中に教育方法についてほとんど教育を受けていない。英国医事評議会(GMC)は、正式に教育に関与している場合、教える技能を発達させなければならないと述べている。教育効果を向上させるために設計された教員開発は、教育と学習に関する新しい知識と技能を提供し、教育に対する信念や態度を強化または変化させる可能性がある。教育ワークショップ、短期コースや認定、フェローシップ、その他の大学院上級学位など、自分のニーズを特定し、適した教員開発形式を見つけ、教育技能を向上させるために行った教員開発のエビデンスを「靴箱」に追加する。
ヒント12: 提出前に専門家にポートフォリオを査読してもらう
所属大学や機関に教員開発部門やピアレビュー委員会がある場合、提出の数週間前に専門家にポートフォリオを査読してもらい、変更やフィードバックを組み込む時間を確保する。成功したポートフォリオを提出した他者を探し、彼らにもポートフォリオを査読してもらう。査読者は校正だけでなく、ポートフォリオが教育者としてのあなたをどれだけよく表現しているかについてもコメントすべきである。
結論
学術的教育・ポートフォリオは、教育専門性を文書化するための複数の情報源を統合し、重要な教育活動に基づく昇進を支援する。ここで概説した12のヒントは、個人の教育哲学、目標、業績を最もよく文書化し提示するための枠組みを提供する。学術的教育・ポートフォリオは昇進を支援する業績の理想的な提示であるだけでなく、自己主導型学習と省察を通じた専門的発達も可能にする。したがって、それは医学教育者にとって不可欠なツールである。