Teaching Medical Students Practical Nutrition Skills Through an Interprofessional and Experiential Nutrition Curriculum.
Hildebrand, C.A., Ammerman, A.S.
Med.Sci.Educ. (2025). https://doi.org/10.1007/s40670-025-02431-7
https://link.springer.com/article/10.1007/s40670-025-02431-7

背景・問題意識
医学教育における栄養教育の現状
- 教育内容の偏り: 生化学的経路や微量栄養素の欠乏・毒性に焦点が当てられがちで、実際の臨床現場で必要な実践的な栄養知識が不足
- 医学生の自信不足: 多くの医学生が患者との食事に関する話し合いに必要な訓練と自信を欠いている
- 長年の課題: 医師の栄養訓練の不足は長年にわたる問題として認識されている
臨床現場での課題
プライマリケア医が栄養指導を行う際の障壁:
- 時間制約: 限られた診察時間での栄養指導の困難さ
- 知識・自信の不足: 栄養に関する十分な知識や指導への自信の欠如
- リソースの不足: 適切な栄養指導ツールや参考資料の不足
- 患者要因: 患者の経済状況、文化的背景、動機などの複雑な要因
実施した教育プログラム
事前学習教材
- 小グループセッション用症例学習教材
- Starting the Conversation (STC)ツール: 英語版と文化的に適応されたスペイン語版
- 学術論文: 「医師が慢性疾患リスクを軽減するために食事行動を評価・対処する方法」
- 変化段階理論の参考表
- 低FODMAP栄養療法に関する患者教育資料
- 食料不安スクリーナー: 英語版とスペイン語版
事前課題:自己ケアと将来の患者ケアの両方を考慮して:
- STCツールを自分自身について記入(提出不要、共有不要)
- 個人の食事で改善できる項目を少なくとも1つ選択
- ワークショップまでの数週間、その変化の実施方法を検討・試行
ワークショップの構成
大グループ講義(45分)
- 「患者との食事についての会話を始める」プレゼンテーション(15分)
- 簡潔な食事カウンセリングの実演と討議(15分)
- 患者の変化段階の特定
- 動機づけ面接スキルの使用方法
- 管理栄養士への紹介が有用な理由
- 体重について偏見のない方法で話題にする方法
- 過敏性腸症候群(IBS)プレゼンテーション(15分)
- 栄養教育とカウンセリングの考慮事項
小グループセッション(1時間)
- 構成: 5-6名の学生グループを8つ、各グループに管理栄養士1名
- 実践内容:
- 症例1:高血圧
- 症例2:体重管理
- 症例3:IBS
- 学習方法:
- 学生が交代で医療提供者役を演じる
- 約5分間の簡潔な食事カウンセリングの練習(時間制約をシミュレート)
- 管理栄養士が患者役を演じ、即座にフィードバックを提供
討議質問例
- 患者がサプリメントボトルを持参したり、読んだ食事法について尋ねた場合の対応
- 健康的な食事は高額で、SNAP給付が月末に不足する心配をする患者への助言
- 変化前熟考段階の患者との食事変更の話し合い方
- 維持段階の患者に食事・栄養について話し合うべきか、その理由
使用ツール
- Starting the Conversation (STC): 慢性疾患リスク軽減に焦点を当てた簡潔な食事スクリーニング・カウンセリングツール
- 10の質問と証拠に基づく「健康的な食事のヒント」を含む
評価結果(27名の学生が回答、回答率61%)
主要な成果
- 自信の向上: 患者との食事について話し合う自信が向上
- 管理栄養士との連携: 管理栄養士のサービスへの理解が向上
- 個人的な食事への影響: 85%の学生が自分の食事計画に変化があったと報告
- 実践的スキル: 食事評価や証拠に基づく推奨事項の提供能力を「良好」から「非常に良好」と自己評価
事前課題の効果
- 24名中19名が少なくとも1つの食事改善目標を設定
- そのうち3分の2が目標を容易に達成
- 患者への実践的な食事カウンセリングのヒントを考える助けになった
- 患者が食事変更を試みる際の課題をより良く理解できた
教育的意義
多職種連携教育(IPE)の効果
- 管理栄養士主導の小グループセッションにより、学生は模擬患者体験から学習
- 即座のフィードバックにより、間違いから学び、自信を構築
体験学習の効果
- コルブの体験学習モデルに基づく
- 受動的学習よりも能動的学習が知識定着とスキル構築を促進
- 学生は個人的・職業的両面で実際の体験を通じて学習
カリキュラムの革新的側面
多職種連携教育(IPE)の効果
- 即座のフィードバック: 管理栄養士からの専門的な視点での指導
- 現実的な学習環境: 実際の医療チームでの協働を模擬
- 専門性の理解: 各職種の役割と専門性への深い理解
体験学習の多層構造
- 個人レベル: 事前課題での自己体験
- 対人レベル: 小グループでの患者役との相互作用
- 専門職レベル: 管理栄養士との協働体験
実践的リソースの提供
- 即座に使用可能なツール: STC、食料不安スクリーナー
- 多言語対応: 英語・スペイン語での資料提供
- 経済的配慮: 予算に優しい食事提案の組み込み
限界と今後の課題
研究の限界
- 単一の医学部での1回の実施のみ
- 事後調査のみで、長期的な影響は不明
- 自発的な調査参加のため、栄養に関心の高い学生が多く参加した可能性
今後の展望
- 他の医学部での実施可能性
- 長期的な影響の評価が必要
- 多職種連携・体験学習の効果に関するさらなる研究が必要
結論
この研究は、多職種連携と体験学習を組み合わせた栄養教育が、医学生の実践的な栄養知識、スキル、リソースを向上させ、より自信を持って協力的に栄養問題に取り組む能力を提供する可能性を示しています。医学教育における長年のギャップを埋める効果的なアプローチとして評価されています。