Trainee Identification of the Self-efficacy Domains Needed to Succeed in Undergraduate and Graduate Medical Education
Yuen, B., Asmar, A. & Kibble, J.
Med.Sci.Educ. (2025). https://doi.org/10.1007/s40670-025-02361-4

研究背景と理論的枠組み
アルバート・バンデューラの自己効力感理論に基づいている。
バンデューラによれば、自己効力感は特定の状況で特定のタスクを遂行する能力に対する個人の信念であり、挫折に対する回復力、困難な目標への取り組み意欲、および自分の努力が望ましい結果をもたらすという確信に直接関連しています。医学教育では、学業的自己効力感が学業達成度と関連することが多くの研究で示されています。
研究方法の詳細
- 対象:フロリダ中央大学医学部の各学年(M1~M4)と内科レジデント(PGY1~PGY3)
- グループサイズ:医学生は各学年3~6名、レジデントは各学年3~5名
- 方法:ノミナルグループ技法(構造化されたフォーカスグループ法)
- 手順:
自己効力感の主要領域の詳細分析
1. 患者との対話(Patient Interactions)
- M1~M3、PGY2グループで上位にランク
- 内容:診察、身体検査、模擬患者との練習
- M4とPGY1では「信頼関係構築(Building Rapport)」として重視
- レジデントになると、様々な詳細レベルでの評価と計画立案の能力も含まれる
2. マルチタスクと精神的健康のバランス
- ほぼすべてのコホートが上位にランク
- キャリア(試験、授業活動、臨床実習)と個人生活のバランス
- PGY1は「複数患者のケアの同時進行」と「精神的健康のバランス」を別個の領域として識別
- 精神的健康への配慮がマルチタスクの議論と切り離せないものとして浮上
3. 独立した学習と試験対策
4. 研究と専門的対話
- 一部のグループは別個のカテゴリーとして捉え、他のグループは統合
- 研究:論文執筆、学会発表、学術文献の読解
- 専門的対話:他の医療専門家との交流
- M2とM4は「間違える意志(Willingness to be Wrong)」として、学習のために回答を知らずに質問する能力を重視
- M3とM4は「指導医との対話(Attending Interactions)」を別の自己効力感領域として認識
5. その他の特徴的な自己効力感領域
- リーダーシップの発揮(M1)
- 自己省察(M2)
- 学習のための自己主張(M4)
- 非専門的な人間関係の構築(PGY3)
- プロフェッショナリズム(PGY2、PGY3)
自己効力感を促進する活動の詳細分析
1. 習熟経験(Enactive Mastery)
- ほぼすべてのコホートが実際の臨床業務が自己効力感向上に最も効果的と回答
- M1は「患者との対話」、M2~M4とPGY2は「臨床曝露(Clinical Exposure)」と表現
- PGY3は「患者管理の成功」を最重視
- その他:チーム学習演習(M1)、不確実性への対処(M2)、マルチタスクの成功(M2、PGY1)
- すべての経験において、成功体験が次の課題に対する自己効力感を促進
2. フィードバックとメンターシップ
- すべてのコホートで重要な自己効力感の源
- M1:大学のサポートチーム(スケジュール・学業アドバイザー)からのフィードバック
- M1、M3:ピアサポート(同じ経験と目標を持つ仲間からのアドバイス)
- M2以降:メンターシップ(キャリアガイダンスのための医療分野の専門家との関係)
- M3~M4:メンターシップが臨床指導者からのフィードバックと同義に
- M4以降:あらゆる情報源からのフィードバックが重要視される
3. 知識獲得
- M1、M3:講義資料とサードパーティツール(Sketchy、AMBOSS、UWorld)の統合
- レジデント:患者管理を通じた「一般医学知識の増加」
4. 自己ケアと肯定
- M2:「肯定的自己認識(Positive Self-Recognition)」
- PGY1、PGY3:「自己ケア(Self-Care)」
研究結果の教育的示唆
- 患者との対話の重要性
- 精神的健康とバランスの支援
- カウンセリングやピアサポートの有効性
- 自己制御能力開発の促進
- 独立学習の奨励
- 反転授業モデルの活用
- 自己主導型学習能力の育成
- 多職種連携のトレーニング
- 医学教育における多職種教育(IPE)の重要性
- チームベースの学習活動の価値
- フィードバックの質向上
- 個別化された、タイムリーで実用的なフィードバックの提供
- 教員メンターの役割強化
研究の限界と今後の方向性
- 単一の医学校からの小規模サンプルによる一般化の限界
- 自己効力感の領域の粒度(詳細さのレベル)に関する課題
- 自己効力感を向上させる介入が必ずしもパフォーマンス向上につながるとは限らない可能性
- 今後の研究方向:プログラムによる介入を設計し、自己効力感とパフォーマンス成果の変化を同時に測定する必要性