“YouTube” for Surgical Training and Education in Donor Nephrectomy: Friend or Foe?
El-Mahrouk, M., Jaradat, D., Eichler, T., Sucher, R., Margreiter, C., Lederer, A., Karitnig, R., Geisler, A., Jahn, N., & Hau, H. M. (2025).
Journal of Medical Education and Curricular Development, 12. https://doi.org/10.1177/23821205241301552 (Original work published 2025)
研究概要
この研究はCOVID-19パンデミックにより加速したオンライン教育の流れを背景に、腎移植のための腹腔鏡および ロボット支援下ドナー腎摘出術(生体ドナーからの腎臓摘出)に関するYouTube動画の質と教育的価値を評価することを目的としています。
2023年10月24日に「laparoscopic live donor nephrectomy(腹腔鏡下生体ドナー腎摘出術)」と「robotic live donor nephrectomy(ロボット支援下生体ドナー腎摘出術)」で検索された121本の動画から、条件を満たす63本が分析対象となりました。
方法
評価には以下の指標が使用されました:
- Video Power Index (VPI):人気度の評価
- LAP-VEGaS Video Assessment Tool:信頼性と質の評価
- Journal of the American Medical Association (JAMA)基準:基本的質と信頼性の評価
- 新たに開発された「Live Donor Nephrectomy Completeness (LDNC)」:手術手技の完全性と教育的価値の評価
結果
- 動画の特徴:
- 71.4%が腹腔鏡手術、28.6%がロボット支援手術を描写
- 54%が学術機関から、46%が個人医師からのアップロード
- 平均スコア:LAP-VEGaS 9.79±3.87、VPI 6.32±3.31、LDNC 9.68±1.97
- JAMAスコア:34.9%が1点、34.9%が2点、17.5%が3点、12.7%が4点
- スコア比較:
- 学術機関からの動画はLAP-VEGaSとLDNCで有意に高スコア(p < .01)
- LAP-VEGaS、VPI、LDNCスコア間には有意な相関(p < .05)
- JAMAスコアと他のスコアシステム間には相関が見られなかった
- 再生回数とリクエストが多い動画は、すべての指標で有意に良好なスコアを示した(p < .05)
- 教育的質の分析:
- 音声解説付きの動画や高解像度の動画は、すべてのスコアで有意に優れた結果
- 学術機関の動画は、個人や商業アカウントと比較して教育的質が高いが、それでも重要な教育要素を欠いている場合がある
- ほとんどの動画が適切な教育リソースとするには推奨スコア15(LAP-VEGaS)を下回っていた
考察
- 教育的価値:
- 改善への提案:
- 動画公開前に専門家による評価を受けるべき
- 標準化された構造的評価システム(LAP-VEGaSやLDNC)に準拠すべき
- 論理的構造と質の向上が必要
- 学術機関vs個人:
- 学術機関の動画は質が高い傾向があるが、依然として重要な教育要素が不足している
- 学術機関と商業機関では動画制作の目的が異なり、これが質の差につながっている可能性
結論
パンデミックによる外科教育への課題の中、YouTubeは生体腎移植のための腹腔鏡およびロボット支援下ドナー腎摘出術について学ぶための貴重なリソースとして浮上しています。しかし、これらの動画の質と信頼性は大きく異なり、多くは徹底的なレビューが不足しているため、情報が不完全です。教育的価値を高めるためには、公開前の専門的評価と標準化された採点システムへの準拠が重要です。
高品質なドナー腎摘出術トレーニング動画は、手術室外での安全で繰り返し可能、かつコスト効率の良いアプローチを提供できるため、現在の質の高いトレーニングリソース不足に対処する戦略的方法となります。