The role of the supervisor in self-regulated learning in the clinical environment: BEME Guide No. 89
Nicola CooperORCID Icon,Latif Raiyan Rahman,Helen Church &Steven Agius
Received 29 Dec 2023, Accepted 03 Sep 2024, Published online: 22 Sep 2024
Cite this article https://doi.org/10.1080/0142159X.2024.2401462
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2024.2401462?af=R#abstract
はじめに
医学教育における自己調整学習(SRL)は、学習の成功と安全な患者ケアのために重要である。 しかし、指導医は学生や研修医のSRLを明確に促進または阻害する行動に気づいていない可能性があるため、このBEMEレビューでは臨床環境におけるSRLにおける指導医の役割について検討する。
方法
メタ集約を用いた定性的系統的レビューを実施し、含まれる研究およびそれらの研究が代表する参加者の知識を活用することで、実践に関連し適用可能な文脈に富んだ提言を作成することを目指した。 個々の所見からカテゴリーを作成し、ガイダンスの形で統合した。
結果
22の研究が含まれた。 6つのカテゴリーが作成された。
- 適応性のある指導者(Adaptive supervisors)の特徴:
- 学習者の段階やニーズに応じて指導方法を調整する
- 初学者と上級生で異なるアプローチを取る:
- 初学者:主に同僚やレジデントを通じた支援を活用
- 上級生:より直接的な指導者との関わりを持つ
- 学習の自律性を適切に付与する
- チーム内の他のメンバー(特にレジデント)を効果的に活用する
- 関与的で支援的な指導者(Engaged and supportive supervisors)の役割:
- 臨床症例についての有意義な対話を行う
- 直接観察に基づくコーチングとフィードバックを提供
- 目標設定、振り返り、目標達成のプロセスを支援
- 学習者との定期的な対話の機会を確保する
- 形成的評価を学習ツールとして活用する
- 信頼関係の重要性:
- 指導者と学習者間の信頼は以下に影響を与える:
- 学習目標の選択
- 形成的評価での快適さ
- フィードバックへの受容性
- 信頼構築には時間と継続的な関わりが必要
- 長期的な臨床配置が関係構築を促進する
- 知識のある指導者(Knowledgeable supervisors)の特徴:
- 臨床知識と教育者としての知識の両方が重要
- メタ認知的アプローチを用いた指導
- 適切な難易度の課題設定能力
- よく設計された指導による動機付けの向上
- 学習者中心の指導者(Learner-centred supervisors)の特徴:
- 教育者としての価値観や信念を常に振り返る
- 学習者のニーズを中心に考える
- 権力関係が学習に与える影響を意識する
- 学習者の希望する進め方を考慮する
- 臨床学習環境の整備:
- 明確な期待値の設定
- 歓迎的な環境づくり(物理的・心理的両面)
- チームメンバーへの適切な説明と連携
- カリキュラム要件の理解と対応
- 保護された学習時間の確保
重要な発見のポイント:
- 信頼(Trust)の相互性:
- 指導者への信頼:
- 教育者としての能力の証明
- 有意義なフィードバック
- 専門職としての模範
- 学習者への信頼:
- 専門的スキルの実証
- 責任感の証明
- 限界の認識
- 批判の受容
- 対話(Dialogue)の重要性:
- 職場での学習の重要な要素
- 支援的対話の欠如は学習を制限する
- 関係性の構築に不可欠
- パワーダイナミクス:
- 指導者と学習者間の権力関係の存在
- 指導者からの積極的なアプローチの必要性
- 正のサイクルを開始する責任
- カリキュラムの役割:
- 継続的な関係構築の機会提供
- 十分な学習時間の確保
- 適切な人数配置の重要性
結論
カテゴリーの中では、相互信頼と対話が、SRLを促進するスーパーバイザーと学習者の積極的な関与のサイクルを生み出すが、スーパーバイザーと学習者の関係に内在するパワーインバランスのため、スーパーバイザーが最初に動く必要がある。 カリキュラムは、スーパーバイザーと学習者の関係を育む上で重要な役割を担っている。 スーパーバイザーの役割に対する信念や臨床学習環境の構築は、SRLを促進することも阻害することもある。