Gender representation in Canadian surgical leadership and medical faculties: a cross-sectional study
Lauren Pickel & Nirojini Sivachandran
BMC Medical Education volume 24, Article number: 667 (2024)
背景
過去20年半の間に、カナダでは医学部の学生の過半数が女性になり、そのため医療従事者も女性医師で構成されるようになってきている。 しかし、この変化が医学部教員の男女比や指導者の男女比に反映されているかどうかは、カナダではあまり研究されていない。 方法 この横断的研究では、AFMCの最新データから常勤教員の男女比を調べ、医学部および外科学部のホームページから現在の学部長を調べ、各大学に確認した。
方法
データ収集:
AFMCデータ: カナダの医学部の教員の性別に関するデータは、AFMC(Association of Faculties of Medicine of Canada)による最新のデータから取得されました。このデータは、カナダの医学部における全教員の性別分布を含んでいます。
部門長データ: 内科、外科、家庭医学の部門長の性別に関するデータは、各大学の部門のウェブサイトから取得され、その後各大学に確認されました。
データの確認: 部門長や教授のデータは、各大学のウェブサイトおよび関連する病院のウェブサイトから収集されました。
データ解析:
性別分布の分析: 取得したデータを用いて、各ポジション(インストラクター、助教、准教授、教授)の性別分布を分析しました。
リーダーシップポジションの分析: 家庭医学、内科、および外科の各部門における部門長の性別分布を分析しました。
統計解析: 線形回帰およびオッズ比計算をRで行い、データの傾向を視覚化するためにRおよびGraphPad Prismを使用しました。
比較と評価:
歴史的データとの比較: 現在のデータと過去のデータを比較し、女性の代表性の変化を評価しました。
他国との比較: カナダのデータとアメリカのデータを比較し、両国のジェンダーバランスの違いを評価しました。
結果
全体的なジェンダーバランス:
カナダの医学部における常勤教員の40.5%が女性であり、特にインストラクターやその他の職位においては57.8%が女性でした。
助教における女性の割合は50.8%で、准教授では39.2%、教授では28.1%でした。教授職における女性の割合は過去10年間で最も急速に増加し、毎年0.75%の増加率を示しています。
科目別のリーダーシップ:
家庭医学の部門長の67%が女性であり、内科学の部門長は50%が女性でした。
外科の部門長は86%が男性であり、男性外科医は女性外科医よりも2.9倍部門長になる可能性が高いとされました。
教授職のジェンダーバランスの変化:
助教から准教授、教授へと職位が上がるにつれて、女性の割合は減少していきますが、最近のデータでは助教におけるジェンダーの均等が達成されました。
准教授および教授職におけるジェンダーの均等は、それぞれ2042年および2051年に達成されると予測されています。
医学部長のジェンダーバランス:
現在、カナダの医学部17校中5校(29.4%)の学部長が女性であり、歴史的には8人の女性が医学部長を務めました。
考察
ジェンダーの偏り:
女性の代表性は医学部および外科のリーダーシップポジションで依然として低いです。特に外科の部門では、女性の代表性が非常に低いです。
外部要因の影響:
女性医師は、職場外での責任が多く、また偏見や差別の経験がキャリアに影響を与える可能性があります。
特に外科分野では、性別による偏見が強く、女性外科医がリーダーシップポジションに就くのは難しい状況が続いています。
メンターシップの重要性:
メンターシップは女性医師のキャリア進展に重要であるが、女性医師がメンターを持つことが少ない傾向があります。
外科分野での女性のメンターの増加は、今後の改善に期待が持てるポイントです。
今後の課題と提案:
今後、医学部や外科分野における女性のリーダーシップを増やすためには、組織的な努力が必要です。特に、ジェンダーバランスの改善を目指した具体的な方策を講じることが求められます。
限界と結論
この研究は、カナダの医学部および外科のリーダーシップにおけるジェンダーバランスの現状を明らかにし、女性がリーダーシップポジションに進出する上での障壁を浮き彫りにしました。ジェンダーバランスの改善には時間がかかると予想されますが、持続的な努力が求められます。