The Effect of Nutrition, Physical Activity, and Sleep Pattern on Success in Medical Students.
Mutlu, S.N., Pasin, Ö. & Konar, N.M.
Med.Sci.Educ. (2024).
https://doi.org/10.1007/s40670-024-02175-w

本研究では、栄養、身体活動、睡眠パターンが医学生の学業成績に及ぼす影響を調査し、これらの生活習慣要因を医学教育にどのように取り入れることができるかに焦点を当てた。 2つの大学の医学生330人を対象に質問紙調査を行い、人口統計学的特徴、栄養、睡眠パターン、身体活動に関するデータを収集した。 学業成績は、各学部の学部長から学生の成績平均点(GPA)を入手することで評価した。 生活習慣要因と学業成績の関係は、クラスター分析とバイプロット法という高度な統計分析手法を用いて検討した。 生活習慣因子とGPAの相関は、複グラフを用いて低次元空間に可視化された。
- 統計分析の結果:
居住環境の影響:
- 家族と同居している学生は、一人暮らし(p=0.010)や友人との同居(p=0.031)と比較して、有意に高いGPAを示した
- アルバイトをしていない学生の方が、している学生より高いGPA(p=0.043)を示した
睡眠パターンの影響:
- 就寝時間:21:00-00:00に就寝する学生の方が、00:00以降の就寝より高いGPA(p=0.014)
- 起床時間:09:00以降に起床する学生は、06:00以前(p=0.016)や06:00-09:00(p=0.002)に起床する学生より低いGPA
- 寝つきの時間:60分以上かかる学生は、10-30分の学生より有意に低いGPA(p=0.003)
- 睡眠中断:夜間に目が覚める学生の方が、中断のない学生より低いGPA(p=0.040)
身体活動の影響:
- 日常的な歩行:頻繁に歩く学生は、中程度の歩行をする学生より高いGPA(p=0.010)
- 学業と運動の関係:勉強が運動に影響しないと回答した学生は、中程度の影響があると回答した学生より高いGPA(p=0.017)
- クラスター分析の結果:
2つの異なるクラスターが形成され、最も影響力のある要因は:
クラスター1の特徴(より高いGPA):
- 勉強が身体活動に与える影響が少ない
- 栄養の質の自己認識が高い
- 定期的な歩行習慣がある
- 家族との同居
- 学業ストレスの食事への影響が少ない
- 0:00前の就寝
- 多重対応分析(MCA)の結果:
食習慣:
- 健康的なライフスタイル:喫煙量が少なく、適度なアルコール摂取、肉類の摂取、ゆっくりとした食事速度
- 心理的影響:学業ストレスが食事に大きく影響
身体活動:
- 非活動的なライフスタイル:プロスポーツへの非関与、勉強の影響が少ない
- 運動効果:中程度の学業成績向上効果
睡眠パターン:
- 規則的な生活:早寝早起き、短い入眠時間、適度な睡眠時間
- 精神状態:睡眠の質や中断に関する要因
- 考察
- 家族サポートの重要性:経済的・精神的安定が学業成績に寄与
- 規則正しい生活習慣の重要性:特に睡眠パターンと身体活動
- 栄養の影響:直接的な相関は見られなかったが、生活習慣の一部として重要
- 医学教育への提言:ライフスタイル医学の導入の必要性
- 研究の限界:
- 質問票による自己報告形式のデータ収集による個人バイアス
- 比較的小規模なサンプルサイズ
- 横断的研究デザインによる因果関係の特定の困難さ