医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

暫定研修医一年目(FiY1)とその準備:英国の研修医を対象とした全国調査

Interim Foundation Year One (FiY1) and preparedness for foundation year 1: A national survey of UK foundation doctors
Connor J. S. MooreORCID Icon, Natalie S. BlencoweORCID Icon, Linda HollénORCID Icon & Clare van HamelORCID Icon
Published online: 22 Dec 2021
Download citation  https://doi.org/10.1080/0142159X.2021.2015065 

 

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2021.2015065?af=R

 

背景

導入プログラムは、医学生から医師への移行を容易にすることを目的としている。

COVID-19の大流行により医療従事者に極度の負担がかかったため、予測されるローテート不足を緩和するために、Interim Foundation Year 1(FiY1)と呼ばれる新しい役割が創設されました。対象となる最終学年の医学生全員に、2020年8月に予定されているFY1の開始に先立ち、FY1の責任とGMCへの仮登録からなるFiY1を実施する機会が与えられた。対象となる7588名の医学生のうち、4662名(61.43%)がFiY1のポジションに割り当てられた。この役割は任意であったため、参加者はまちまちであり、FiY1はFY1の学生と同じ給料であった。FiY1の経験は、派遣期間や正確な役割の点で様々であった。また上級医の「バディ」が提供されることが意図されていたが、ローテの違いによりその実施にはばらつきがあった。

本研究では、暫定的なFiY1の役割が、臨床実習に対する準備態勢の認識と不安のレベルに及ぼす影響を評価することを目的とし、FiY1の役割に費やす時間が自己申告の準備態勢のレベルを高め、不安を軽減するという仮説を立てた。

 

調査方法

本研究は、2017年から2020年にかけて、オンラインの全国FY1導入調査に回答したFY1の4つのコホートのデータ(n=4766)を用いた記述的なクロスセクション研究である。質問では、自己申告による準備態勢と不安レベルを評価した。2020年のFiY1参加者と非FiY1参加者、および2017年~2019年の参加者(非FiY1対照者)の準備態勢と不安レベルの違いを評価した。

 

結果

2020年のFiY1は、2020年の非FiY1(54%)および対照となる2017-2019年のコホート(63.8%)よりも高い自己申告の準備態勢(79%)を報告した(p = <0.001)。病的な不安を経験したFiY1は少なかった(29.3%対非FiY1の40.8%;p = 0.001)。

 

結論

本研究では、FiY1 に参加した時間は、FiY1 に参加しなかった場合と比較して、FY1 への準備ができているという自己認識の向上と、不安の低減に関連することを示した。本研究はまた、病的な不安を経験しているFY1の割合が高いことを浮き彫りにしており、早急な対応が必要である。我々は、コストへの影響を慎重に考慮した上で、すべての新規FY1にFiY1期間を義務付けるか、導入を強化することを推奨する。また、FiY1参加者の総合的な能力やキャリアアップなどの長期的な成果を調査するために、さらなる研究が必要である。

 

ポイント

暫定FY1プログラムは、自己申告による準備態勢の改善に効果的であった。

どのような形であれ、FiY1の役割を引き受けることで準備性が向上した(例えば、最初のFY1の配置と同じ病院や専門分野であるかどうかに関わらず)。

2020年の不安レベルは、中間のFY1プログラムに参加していない者の方が有意に高かった。

FY1開始前にサポートされた環境で強化されたトレーニングを行うことは有用である。

英国の新FY1は病的な不安を抱えている割合が高く、規制機関はこれをターゲットにする努力をする必要がある。