医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

サハラ以南のアフリカから医療従事者教育の視点を探る

Exploring perspectives on health professions education scholarship units from sub-Saharan Africa

Susan van Schalkwyk, Bridget C. O’Brien, Cees van der Vleuten, Tim J. Wilkinson, Ilse Meyer, Anna M. S. Schmutz & Lara Varpio
Perspectives on Medical Education (2020)

 

link.springer.com

 

序章
近年、医療従事者教育研究を支援するための組織が著しく増加している。これらの医療専門職教育研究ユニット(HPESU:health professions education scholarship units)は、多様な活動を行っている。

HPESUを支える3つの制度的論理、すなわち、時間の経過とともに形成され、組織を特徴づけるようになった規範や価値観が、これらのユニットの機能のあり方にどのように影響を与えているのかを理解することができた。これらの国々における HPESU を導く論理は、財政的な説明責任、まとまりのある教育の連続性、学術的な研究、サービス、教 育における競合する要求であった。

これまでの研究では、このようなユニットの機能に影響を与える要因についての洞察が得られていたが、ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカ、アフリカの文脈からのデータがなく、HPESUの国際的な基準を示す単一の世界観になっている可能性があった。本研究の目的は、この欠如に対応してサハラ以南のアフリカ(SSA:sub-Saharan Africa)からの視点を探ることである。

 

研究方法

解釈主義のパラダイムの中で、研究チームはSSAの9人のHPESUリーダーに半構造化インタビューを行い、参加者が自分たちのユニットの機能をどのように経験し、理解しているかを探った。地域全体からの参加者を集めようと努力したにもかかわらず、参加者のほとんどが南アフリカからの参加者であった。研究者は、分析の枠組みとして制度論理学の理論を用いて、データをテーマ別に分析した。

 

結果

HPESUの多くは下記のことを行なっている。

職員・教員の育成

eラーニング・教育イノベーション支援

大学院プログラムの提供

品質保証

教育関連の職員への支援(カリキュラムの更新など)

学生支援活動

所属機関内でのHPE奨学金の発展を促進する

独自のHPE研究に従事する


HPESU のいくつかの側面は、学術研究、サービス、教育、そして一貫した教育の連続性という、これまでに明らかにされた論理と一致している。対照的に、リーダーたちは財政的な持続可能性を財政的な説明責任よりも重視していると述べている。

 

議論
本研究で確認された類似性は、特に新しい機関がその分野で正統性を獲得しようとする中で、類似分野内の機関がより類似性を増していく過程である同型性を反映している可能性がある。しかし、重要な注意点として、同型性は類似した制度的文脈の中で発生する傾向があるが、本研究ではそのような傾向は見られなかった。このような相違点を理解することは、これらのHPESUが地域固有の文脈に対応した奨学金の育成に取り組む上で重要なことである。