Approaches to learning in pre-medicine: a multi-university mixed-methods study
Declan Gaynor, Fiza Rashid-Doubell, Celine J Marmion & Isabel Stabile
BMC Medical Education volume 25, Article number: 1622 (2025)

研究の概要
本研究は、ヨーロッパと中東の3つの医科大学(バーレーン、アイルランド、マルタ)のプレメディシン学生を対象に、学習アプローチを調査した混合研究法による国際多施設研究である。159名の学生がASSIST短縮版(学習アプローチと学習スキル調査票)に回答し、そのうち25名が半構造化インタビューに参加した。
主要な知見
1. 優勢な学習アプローチ
学生の学習アプローチの分布は以下の通りであった:
- 戦略的アプローチ: 21%
- 深層アプローチ: 21%
- 深層-戦略的アプローチ(併用): 29%
深層アプローチと戦略的アプローチが優勢であり、表層アプローチは5%に過ぎなかった。この結果は、既存の医学生を対象とした研究と一致している。
両者のアプローチの違い
| 観点 | 深層アプローチ | 戦略的アプローチ |
|---|---|---|
| 動機 | 内発的(知的好奇心) | 外発的(成績・評価) |
| 焦点 | 理解と意味 | 成果と効率 |
| 目標 | 知識の深化 | 高成績の獲得 |
| 学習観 | 学問そのものに価値 | 手段としての学習 |
| 思考様式 | 「なぜ?」を問う | 「何が出るか?」を問う |
| 時間感覚 | 興味に応じて時間を惜しまない | 効率を重視し時間配分を最適化 |
2. 施設間の違い
3施設間で統計的有意差が認められたものの、その効果量は小から中程度であった:
マルタは異なるカリキュラムと評価方法を採用していたため、これが表層アプローチの低さに影響した可能性がある。
3. 学生背景要因との関連
- 性別: いずれの学習アプローチにも関連なし
- 入学時の学業成績: 学習アプローチに関連なし
- 英語能力: B2レベルの学生はC2レベルより深層尺度が高い(予想外の結果)
- 教育背景: カナダ高校卒業資格(CHSD)の学生は、既に準備プログラムを修了した学生より深層尺度が低い
4. 学業成績との関連
戦略的アプローチと学業成績の間に弱い正の相関(r≈0.23)が認められたが、回帰分析で入学時成績や背景要因を調整すると、この相関は減弱し統計的有意性を失った。これは、学習アプローチと成績の関連が、従来考えられていたほど強固ではない可能性を示唆している。
質的研究からの洞察
インタビュー分析から、学生は単一の学習アプローチに固執せず、科目、課題、評価要求に応じて柔軟にアプローチを切り替えていることが明らかになった。
深層学習者の特徴
- 科学を医学に関連付ける
- 概念間のつながりを構築する
- より深い意味を探求する
表層学習者の特徴
- 失敗への恐れが強い
- 受動的な学習アプローチ(主に読書)
- 暗記に依存
戦略的学習者の特徴
- 学習の組織化に優れる
- 時間管理能力が高い
- 多様なリソースやツールを活用
- 評価への高い意識
特に重要な発見は、戦略的学習者が示した行動の多くが、**自己調整学習(Self-Regulated Learning: SRL)**の構成要素であったことである。自己調整学習スキルは、学業成績と正の関連があるだけでなく、教育可能なスキルであることが示されている。
研究の限界
- 横断的デザインであり因果関係は不明
- 深層尺度の内的整合性が低い(α=0.51)
- マルタのサンプルサイズが小さい(n=17)
- 単一年度のデータ
- 英語でのインタビューによる言語的制約の可能性
結論と教育的示唆
本研究は、プレメディシン学生において深層および戦略的学習アプローチが優勢であり、学生は文脈に応じて学習アプローチを適応的に変更していることを示した。施設間の差異は限定的であり、背景要因を調整すると学習アプローチと学業成績の関連は弱まった。
著者らは、単一の「理想的な」学習アプローチへの移行を目指すカリキュラム変更よりも、以下のアプローチがより効果的である可能性を提案している:
- 自己調整学習スキルの教育: 計画立案、組織化、リソース活用などの実践的スキルを教える
- 評価とフィードバックの改善: 非効果的な表層学習戦略を抑制する
- 移行支援の提供: 教育背景や言語能力の異なる学生への標的支援