医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。最近はyoutubeも

特権の代理としての職場経験: 女性医師がキャリアアップで直面する暗黙の壁

Workplace Experience as a Proxy for Privilege: An Unspoken Barrier Women Physicians Face in Career Advancement.

Landry A, Otugo O, Marques CG. 

J Grad Med Educ. 2025 Aug;17(4):439-443. doi: 10.4300/JGME-D-24-00984.1. Epub 2025 Aug 15. PMID: 40832087; PMCID: PMC12360267.

pmc.ncbi.nlm.nih.gov

主要な問題点

職場経験格差の構造的要因

  • 女性医師は男性医師と比較して、メンターシップやスポンサーシップへのアクセスが限定的
  • 女性研修医は有意義なメンターシップを受ける機会が男性より少ない
  • 女性医師は職業成長の機会を追求できる時間が限られており、家庭責任や育児などの個人的責任を負うことが多い

選考過程での不平等

  • 研究論文、助成金、講演、リーダーシップ経験などの「伝統的な成功指標」が過度に重視される
  • これらの指標は、その職務に必要なスキルと必ずしも一致しない場合がある
  • ほぼ同等の2人の候補者間で選考する際、女性候補者は経験がわずかに多い男性に95.2%の確率で負ける

具体的な影響

研究・学術活動での格差

  • 男性医学生は研究・教育経験により多く参加し、女性は患者ケアや地域奉仕により多く参加
  • 男性教員は筆頭著者・責任著者としての論文発表が多い
  • 研究助成金、賞、講演機会も男性により多く与えられる

キャリア進歩への影響

  • 女性はキャリア初期においてより低いレベル(講師レベル)でスタートすることが多い
  • 黒人・ヒスパニック系女性は昇進の可能性がアジア系・白人女性より低い
  • 女性は「昇進につながらない業務」(委員会活動、学生指導、福利厚生イベントの企画など)を過度に担当

提案される解決策

機関・部門レベル

  • 女性専用のメンターシップ・スポンサーシッププログラムの拡充
  • 選考基準の見直し(伝統的指標と並んで多様な経験を評価)
  • 管理業務の公平な分配
  • 選考委員会での暗黙のバイアス研修
  • リーダーシップ職の任期制限導入

個人レベル

  • メンティーの多様化と女性の積極的支援
  • 女性候補者への実践的指導とスポンサーシップ
  • 選考過程での性別格差への積極的発言