Evaluating podcasts as a tool for OSCE training: a randomized trial using generative AI-powered simulation
Vincent Dupont, Dominique Guerrot, Leila Bouazzi, Lucile Figueres, Yves-Marie Pers, Emmanuel Guenou, Coralie Barbe & Kevin Yauy
BMC Medical Education volume 25, Article number: 429 (2025)
はじめに
客観的臨床試験(OSCE:Objective Structured Clinical Examination)は、医学教育において臨床能力を評価する上で極めて重要である。 伝統的な教育方法が依然として普及している一方で、本研究では、OSCE準備ポッドキャストが医学生のOSCE成績を向上させる有効性を腎臓学を用いて評価することで、革新的なアプローチを導入した。 この新しい方法は、柔軟で利用しやすい補助的な学習形式を提供し、医学教育に革命をもたらす可能性がある。
方法
- フランスで50人の4年生医学生を対象にした無作為化比較試験が実施されました
- 参加者は「ポッドキスト群」と「対照群」に無作為に割り当てられました
- 研究期間は2024年7月から8月までの2ヶ月間でした
実施内容
- ベースライン評価:
- 全参加者は最初にオンラインで3つのOSCE課題を実施しました
- 各自が自分のDocSimulatorアカウントを使用して2週間以内にこれを完了しました
- 介入期間:
- 評価方法:
- DocSimulatorというAI搭載の仮想患者プラットフォームを使用
- 6つの腎臓学に特化したOSCEシナリオ(生物学的結果の分析、治療決定、診断戦略、検査、告知、教育)が用意されました
- 各シナリオには15点満点の評価グリッドが付いていました
- GPT-4が仮想患者をシミュレートし、事前に定義された基準に従って学生の能力を評価しました
- 事後評価:
- 介入後、全参加者は新たな3つのOSCE課題を2週間以内に完了しました
- 全参加者は腎臓学に対する認識についての短い調査にも回答しました
結果
基本情報と参加者背景
- 50人の医学生が研究に参加し、ポッドキャスト群(25人)と対照群(25人)に割り当てられました
- 参加者の68%(34人)が女性でした
- 参加者の14%(7人)が以前にNephrOdioのシーズン1を聴いた経験がありました
- 参加者の4.1%(2人)のみが伝統的な学術クラスを医学知識を学ぶ最も重要なリソースと考えていました
- ベースライン特性については両群間で有意差はありませんでした
OSCEの成績結果
- ベースラインOSCEスコア:
- ポッドキャスト群:23.8±3.9点
- 対照群:23.3±5.3点
- 有意差なし(p=0.77)
- 介入後のOSCEスコア:
- ポッドキャスト群:27.6±3.6点
- 対照群:23.6±5.0点
- 統計的に有意差あり(p=0.002)
- OSCEスコアの変化:
- ポッドキャスト群:+3.52[0.7,6.5]点の向上
- 対照群:-1.22[-3,5.5]点の低下
- 統計的に有意差あり(p=0.03)
腎臓学に対する認識
- 腎臓学科でのインターンシップを行う意向:
- ポッドキャスト群:44.0%
- 対照群:32.0%
- 有意差なし(p=0.38)
- 腎臓学を専門とする意向:
- ポッドキャスト群:4.2%
- 対照群:4.0%
- 有意差なし(p=0.99)
- 腎臓学的臨床スキルに自信がある:
- ポッドキャスト群:41.7%
- 対照群:16.0%
- 統計的に有意差あり(p=0.04)
- ポッドキャスト群のうち:
- 68%がOSCE準備のためのポッドキャストが非常に役立つと感じた
- 96%が将来も使用すると回答
考察についての詳細
主要な考察
- デジタル学習ツールへの移行:
- 学生の大多数(95.9%)が伝統的な学術クラスよりも他のリソースを好むことが示された
- 柔軟性のあるデジタル学習ツールへの学生の嗜好の変化が示唆された
- 学習スタイルの多様性:
- オーディオベースの学習は、視覚的または文章ベースの教材よりも聴覚的学習者に適している
- ポッドキャストは聞くことと繰り返しから恩恵を受ける学習者をサポート
- 臨床能力への自信向上:
- 腎臓学関連の臨床スキルに対する自信の向上は特に有望な結果
- 臨床的能力に対する自信は学生が臨床実践へ移行する準備において重要
- 専門性選択への影響の欠如:
- スキルと自信が向上したにもかかわらず、専門としての腎臓学を選択する意向に変化がなかった
- 医学における進路選択は教育以外の要因(個人的興味、ワークライフバランス、メンターシップなど)にも影響される
研究の限界
- 単一施設での実施:小規模なサンプルサイズにより、結果の一般化可能性が制限される
- テキストベースの仮想OSCE:リアルタイムの音声OSCEではなく、実際の臨床パフォーマンスへの転用に影響する可能性がある
- AI評価への依存:OSCEパフォーマンスの評価に生成AIを使用しており、人間による評価との比較研究が必要
- 内容の範囲:ポッドキャストでカバーされた腎臓学の内容は網羅的ではなく、包括的な腎臓学教育への有用性に関する結論を制限
- 選択バイアス:介入群の学生がより高いパフォーマンスへのモチベーションを持っていた可能性
- 自己報告への依存:自信レベルの自己報告は回答バイアスの可能性がある
結論
OSCE準備用のポッドキャストを使用することで、AIを用いたシミュレーションにおける学生の成績と腎臓内科臨床能力に対する自信が著しく向上した。 ポッドキャストは、柔軟性を提供し、多様な学習スタイルをサポートする、医学教育の貴重な補助ツールである。