A Comparative Analysis of Departments of Medical Education at Four LCME Accredited Schools
Published: 21 February 2025
研究背景と目的
この研究は、米国のLCME(医学教育連絡委員会)認証を受けた医学部における医学教育学部門(DME)の共通特徴、課題、利点を詳細に調査したものです。2000年代初頭以降、DMEに関する文献は乏しく、現在150以上あるLCME認証プログラムの増加にもかかわらず、実践的な情報が不足しています。本研究はこのギャップを埋めることを目的としています。
研究方法
- 多重ケーススタディアプローチ:各DMEを単一の事例として検討
- データ収集:質問票による調査(組織構造、主要機能、利点、課題など)
- 分析手法:反復的な比較分析法を使用
- 対象機関の多様性:
DMEの設立と指導体制
- 設立時期:
- UICOM:1959年(世界で最も古い継続的に機能するDME)
- WVUSOM:2012年
- TTUHSC:2013年
- GSOMD:2016年
- 指導体制:
- 全ての部門が学部長または部長によって指導される
- 指導者は全て正教授(GSOMD、UICOM、TTUHSCではテニュア付き)
- 指導者の学位背景は多様(PhD、EdD、MD)
- 全ての部門長が医学部長または同等の役職に直接報告
部門構造と機能
- MDプログラム管理:
- GSOMD、UICOM、TTUHSCではMDプログラムは教育/学術部によって管理
- WVUSOMではDMEの下部組織がMDプログラムを管理
- 組織構造:
- GSOMD、TTUHSC:特定の下部組織なし
- UICOM:4つの下部組織(大学院プログラム、シミュレーション教育研究所、国際研究部門、学部教育部門)
- WVUSOM:3つの部門(学部医学教育、卒後医学教育、継続医学教育)
- 教員の役割:
- GSOMD:基礎科学と臨床実習を教える教員の本拠地
- TTUHSC:主に基礎科学コースを教える教員の本拠地
- UICOM:主に大学院プログラムと一部のMDプログラムを教える
- WVUSOM:主に管理職の教員と倫理、問題基盤型学習などを教える教員
人員構成
- 教員数:
- GSOMD:主要教員12名、二次的所属28名、三次的所属3名、名誉教員4名
- TTUHSC:主要教員20名、二次的所属17名、名誉教員6名
- UICOM:主要教員17名、二次的所属53名、名誉教員4名
- WVUSOM:主要教員6名、二次的所属6名
- スタッフ数:
- GSOMD:1.5名(フルタイム換算)
- TTUHSC:3.5名
- UICOM:6名(+シミュレーションセンター15名)
- WVUSOM:55名(学生サービス、入学オフィス、カリキュラム管理など)
財政資源
全ての部門が学校または大学からの配分に大きく依存していますが、追加の資金源も多様です:
- GSOMD:学校予算配分、寄付金、医学教育の寄付教授職
- TTUHSC:主に学校予算配分
- UICOM:学校予算配分、助成金、寄付/基金、大学院プログラム授業料、シミュレーション研究所の運営収入
- WVUSOM:学校予算配分、助成金、寄付/財団支援
DMEの利点
- 昇進とテニュア:
- 医学教育者向けの適切な評価基準
- 教育者の専門的発展と認識の促進
- 教育ミッションに特化した役割と責任の枠組み
- 教員間の相乗効果:
- 物理的な近接性と共通体験による研究協力の促進
- カリキュラム協力の機会増加
- 教育ブロックでの相互支援(小グループ指導、シミュレーション、試験監督など)
- 教員リソースの集約:
- 教員の出張、学会会費、専門能力開発の支援
- 学生プロジェクトへの支援
- 教育ミッションの正当化と制度化
DMEの課題
- 継続的な学部間協力の必要性:
- DMEの役割と教育プロセスにおける位置づけの明確化
- 基礎科学・臨床部門との連携維持
- MDプログラム全体への教育提供には他部門の協力が必要
- 伝統的な学部二分法への適応:
- 基礎科学(研究重視)と臨床医学(サービス重視)の従来の区分への適合
- 「教員テーブル」での発言権確保
- 物理的な場所と基盤整備の確保
- 多様な資金調達源:
結論と提言
DMEは医学部の教育ミッションを集約・正式化する重要な役割を果たします。各DMEは機関特有のミッションとニーズに合わせて設計されるべきです。DMEは:
- 教育ミッションに貢献する教員の本拠地となる
- 医学教育者が伝統的な学部外でテニュア/昇進を求める道筋を提供する
- 革新、教育研究、医学教育者の能力開発のためのリソースへのアクセスを提供する