医学教育つれづれ

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医学部志願者における曖昧な動機:日本からの後方視的研究

Ambiguous motivations in medical school applicants: a retrospective study from Japan

Asuka KikuchiORCID Icon,Ryuichi KawamotoORCID Icon,Masanori AbeORCID Icon,Daisuke Ninomiya,Yoshio TokumotoORCID Icon &Teru KumagiORCID Icon

Article: 2467487 | Received 07 Apr 2023, Accepted 11 Feb 2025, Published online: 19 Feb 2025

Cite this article https://doi.org/10.1080/10872981.2025.2467487Ambiguous 

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10872981.2025.2467487?af=R

医師を目指すことは、医学部志願者にとって当然のことである。 しかし、特に高校生が学部卒でなくても医学部に出願できる国では、医学の道を選ぶことは重大な決断である。 親からのプレッシャーや学業成績など、さまざまな理由で医学の道を選ぶ可能性がある。 医師になるという明確な意思を持たずに医学部に入学する学生がいるのかという疑問は、文献上あまり調査されていない。

我々は、日本の国立大学において後ろ向き研究を行った。 入学時に医師になる明確な意思を持たなかった医学生を対象とした研究は少ないため、調査票を作成した。 アンケートでは、入学時に医師になる明確な意志があるかどうかを尋ね、肯定的な回答を得た学生を入学時に医師になる明確な意志がある学生と定義し、第1群とした。 第2群は、医師になる明確な意思を持たずに医学部に入学した学生で構成された。 そして、カイ二乗検定やロジスティック回帰などの統計的手法を用いて、これらのグループ間の社会人口統計学的特徴やキャリア決定要因の違いを比較した。

 

アンケートの回収率は76.2%であった。

・医師になる意思の明確さについて:

全体の28.8%(153名)が医師になる明確な意思なく入学
この傾向に性別による有意差なし


・入学理由の内訳:

「他の医療職も考慮し、必ずしも医学部でなくても良かった」
「親からの勧めのみ」
「塾からの勧めのみ」
大学入試センター試験の成績が良かったため」
その他(純粋な学問的興味、親の暗黙の期待を感じた、など)


・統計分析の結果:
・社会人口統計学的特徴との関連:

家族に医師がいる(親以外)学生は意思が明確な傾向
医師のロールモデルの存在が意思の明確さと関連

・キャリア決定要因との関連:

「親の期待」:意思が不明確な群で有意に高い(OR=0.50)
「仲間の影響」:意思が不明確な群で有意に高い(OR=0.35)
「身近な人の病気経験」:意思が明確な群で多い
「医療ドラマの影響」:意思が明確な群で多い

 

考察

・キャリア選択の未熟さ:

高校生の段階での進路決定の難しさ
医療職への漠然とした興味が動機となっているケース
学業成績の良さが進路選択の主要因となるリスク


・親の期待の影響:

特にアジアの文化的背景における親の影響力の強さ
親からの経済的支援と進路選択の関係
外的要因による進路選択が将来的なバーンアウトリスクとなる可能性


・仲間の影響:

同調性による進路選択の傾向
「とりあえず進学」という日本の進学文化の影響
キャリア発達における peer support の両義的な影響


・教育的示唆:

入学時からの動機の多様性への理解の必要性
早期介入とサポートシステムの重要性
キャリア発達を支援するカリキュラムの必要性
個別化されたキャリアサポートの重要性


・学術的意義:

医学生の入学動機の不明確さに関する初めての定量的研究
バーンアウトや学業不振のリスク要因の早期特定への貢献

 

 本研究により、医師になる明確な意思を持たずに医学部に入学する学生がいることが確認された。 このような学生の背景には、親の期待や同級生が進路選択に与える影響が関係している。