医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

早起きか夜ふかしか:医学部のEラーニング登録からオランダ人学生の学習パターンを探る

Early Bird or Night Owl: Insights into Dutch Students’ Study Patterns using the Medical Faculty’s E-learning Registrations
U. S. EbelingORCID Icon,R. A. de LeeuwORCID Icon,J. R. GeorgiadisORCID Icon,F. ScheeleORCID Icon &J. K. G. WietaschORCID Icon
Received 03 Jun 2023, Accepted 28 Feb 2024, Published online: 08 Apr 2024
Cite this article https://doi.org/10.1080/10401334.2024.2331649

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10401334.2024.2331649?af=R

 

現象

学生の教育活動は通常、学生の嗜好やパフォーマンスのピーク時間を考慮せずにアレンジされている。学生は、自分のパフォーマンスを最適化するために、時間帯によって異なる時間帯に学習することを好むかもしれない。一方、非同期のeラーニングでは、自分の好きな時間に勉強することができる。また、eラーニングはどこでも利用できるため、学生はそれぞれのニーズや嗜好に合わせて利用することができる。したがって、eラーニングの利用データは、特定の学習行動の貴重な代用品となり、学生の学習パターンを探る研究機会を提供する。このレトロスペクティブ研究は、学部生がいつ、どのくらいの期間、医学系eラーニングモジュールを利用したかを調査することを目的としている。

アプローチ

オランダのある医学部におけるeラーニングの利用状況を横断的に分析した。2学年度(2018/19と2019/20)にわたる様々な医学トピックを網羅した、前臨床学生向けの学部マルチメディアeラーニングモジュール562件のデータを使用した。データを処理するために教育データマイニングアプローチを採用し、その後、アクセス時間と時間のパターンを特定した。

調査結果

我々は70,805のeラーニングセッション、116,569のモジュール訪問、1,495,342のページビューからデータを得た。平均して、学生は1日16.8分間eラーニングを利用し、10.2分後にモジュールの利用を停止していたが、アクセスパターンには大きなばらつきがあった。eラーニングは週7日利用され、平日の営業時間中は1時間ごとのアクセスパターンであった。それ以外の時間帯では、eラーニングの利用にはスムーズな増減が見られた。平日は、午前中にeラーニング・セッションを開始する学生が多く(34.5%対19.1%)、午後(42.6%対50.8%)と夜間(19.4%対27.0%)に開始する学生は少なかった。学習パターンが異なる「早起き」と「夜更かし」のユーザーグループを特定した。

洞察

  1. 学生の学習パターンの認識:

    • e-learningプラットフォームからのデータ分析により、学生の自然な学習リズムが明らかになりました。これは、個々の学生の時間帯に最適化された教育プログラムを開発するための重要な情報を提供します。
  2. クロノタイプの影響:

    • 学生のクロノタイプが学習時間の選択に大きな影響を与えていることが示され、特に「夜型」の学生は、伝統的な学校時間外に学習する傾向があります。これは、教育機関が学生の自然な活動時間に合わせてスケジュールを調整することの重要性を強調しています。
  3. e-learningの柔軟性の価値:

    • e-learningは学生にとって、自分のペースで学習を進めるための重要な手段です。この研究は、e-learningが学生の時間的制約を超えて学習する手助けをしていることを示唆しており、その利用が学生の学習成果や満足度にどのように貢献しているかをさらに調査する余地があります。
  4. 教育環境への影響:

    • 夜型の学生は、朝早くの講義や試験に合わせるために自分の生理的なリズムを変えざるを得ないことが多いですが、この研究は学生の生理的なリズムに合わせた教育スケジュールの調整が学生の健康や学習効果を高める可能性があることを示唆しています。