Exploring yarigai: The meaning of working as a physician in teaching medical professionalism
Hiroshi Nishigori,Yosuke Shimazono,Jamiu BusariORCID Icon &Tim Dornan
Received 19 Sep 2023, Accepted 05 Feb 2024, Published online: 20 Feb 2024
Cite this article https://doi.org/10.1080/0142159X.2024.2316227
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2024.2316227?af=R
はじめに
バーンアウト(燃え尽き症候群)の蔓延やワークライフバランスの重要性から、医療のプロフェッショナリズムの転換が医師の幸福を考えるようになっている。本研究では、「医師はなぜ患者のために働くのか」という問いを再考し、医師として働く意味を探るために、意義のある仕事における充実感やモチベーションを表す「ヤリガイ」という概念を採用した。著者らの研究課題は以下の通りである:医師は患者を診る中でどのような「ヤリガイ」の経験を語るのか?医師が語る「ヤリガイ」にはどのような価値観が込められているのか?
方法
彼らはこの研究の方法論としてナラティブ・インクワイアリーを採用した。彼らは、患者中心のケアへのコミットメントを同僚から認められたり、患者へのケアにおいてヤリガイを示したりした15人の医師にインタビューを行った。半構造化面接は、日本人研究者が参加者一人ひとりと対面して行い、51例の患者-医師間の相互作用が得られた。インタビューデータをグループ分けした後、研究者らはケースを英語に翻訳し、設定された基準に基づいて代表的な4つのケースを発表した。
結果
51のケーススタディから、彼らは医師としてのヤリガイについて4つの代表的な語りを構築した。それぞれ、医師として働くやりがいとして、(1)困難な状況の中でポジティブな意味を見出すこと、(2)イキガイを体現した贈り物を受け取ること、(3)一見無力に見える人間の強さを目の当たりにすること、(4)時間的な境界を超えた人間関係を培うこと、が語られた。
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困難な状況でポジティブな意味を見出す: 医師はしばしば困難な状況に直面しますが、それらの状況でさえも患者のために何か意味のあることを成し遂げることができると感じることがあります。このテーマは、逆境の中でもポジティブな変化や成果を見出す能力が医師のやりがいに大きく寄与していることを示しています。
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「いきがい」を体現する贈り物を受け取る: 「いきがい」とは、人生における価値や目的を感じることであり、医師は患者やその家族からの感謝の言葉や行動を通じて、自分の仕事の重要性や価値を再認識することがあります。このような経験が、医師のやりがいにとって重要な要素となっています。
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力なき人間の中に力を見出す: 医師は患者が困難な病気や状況に立ち向かう様子を目の当たりにすることがよくあります。患者の中に隠された強さや勇気を見出し、それに触れることが医師自身のやりがいとなることがあります。
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時間を超えた関係を育む: 医師と患者の関係は、一時的なものではなく、しばしば長期にわたるものです。この長期的な関係を通じて、医師は患者との深い絆を築き、それが医師のやりがいの源となることがあります。
結論
ヤリガイにまつわるエピソードは、彼らの職業生活に本質的な意味を与えており、学生や研修医、若い医師が医師としての仕事の意味を考える際に参考になるだろう。医師が患者に対して無私の献身を求めるよりも、患者のケアを通じて他者の幸福に貢献することで得られる「ヤリガイ」を育むことの方が重要であると彼らは考えている。
ポイント
「ヤリガイ」とは、意義ある仕事に従事することで得られる充実感、満足感、内発的動機づけを包括する概念である。
個人が「ヤリガイ」を見つけたとき、仕事は単に生計を立てる手段以上のものとなり、充実感や自己成長の源となり、自分よりも大きなものに貢献する方法となる。
医師の「ヤリガイ」の語りは、学生や研修医、若い医師が医師としての仕事の意味を考える際に大いに参考になるだろう。
本研究で明らかにされたような、患者へのケアから派生したヤリガイの物語は、将来の医師の役割について重要な示唆を与えてくれる。
私たちの研究に興味を持つ海外の研究者には、文化的な背景を踏まえた概念や語りをより多様に探求できるよう、自国の環境でこの研究を探求するよう呼びかけたい。