The neighborhood walk: introducing first-year medical students to social determinants of health in underserved neighborhoods
Tien C. Nguyen, Lilly W. Tang, Emma Bryant, Awa S. Jobe, Amy J. Yu, Yui Sugiura & Thuy Bui
BMC Medical Education volume 25, Article number: 163 (2025)
背景
健康の社会的決定要因(SDoH)は、個人の健康の最大80%に寄与しており、医学教育におけるその重要性が強調されている。 研究によると、学部医学教育において地域社会と関わりを持つことで、学生が将来恵まれない地域で働く可能性が高まることが示されている。 医学教育の初期段階で実施されるSDoH体験の実現可能性と教育効果に関する研究は限られていることから、本研究は、前臨床カリキュラム中の双方向的な学習機会に関するユニークな視点を提示するものである。 本研究の目的は、医学部1年生を対象とした没入型の健康社会的決定要因学習介入の教育的影響を評価することである。
方法
医学部1年生は、オリエンテーション・ウィークにピッツバーグの5つの恵まれない地域のいずれかを訪問した。 学生は、訪問に先立ち、近隣地域と地域社会への参加マナーに関する資料を受け取った。 訪問は、少なくとも1人の教員と2人の学生ファシリテーターが引率し、各地域に約15人の学生から成る2つのグループを作り、4時間にわたって行われた。 学生は各地域で2~4つの地域団体を訪問し、報告会に参加した。 学生はフィードバック調査に回答し、結果はカイ二乗独立検定(p < 0.05)で分析された。
調査結果
- 参加者の基本情報と回答率
- 146名の参加者のうち85名が回答(58.2%の回答率)
- 地域別の参加者内訳:
- 地域1: 28名(32.9%)
- 地域2: 23名(27.1%)
- 地域3: 21名(24.7%)
- 地域4: 8名(9.4%)
- 地域5: 5名(5.9%)
- 事前準備と経験
- 回答者の35.3%(30/85名)が訪問地域への過去の訪問経験あり
- 48.2%(41/85名)がピッツバーグでの居住または大学在学経験あり
- 84.7%(72/85名)が事前学習資料を完了
- 学習効果の評価
- 地域資源の知識: 91.6%が4以上を評価(5段階評価)
- 患者支援の自信: 64.3%が4以上を評価(5段階評価)
- 主要な学習成果
- 地域資源/歴史の豊かさへの理解: 35.7%
- 食料不安問題への認識: 26.2%
- 既存の偏見の解消: 23.8%
- ジェントリフィケーションの影響: 7.1%
- 健康格差の理解: 4.8%
- 交通アクセスの課題: 2.4%
考察
- プログラムの効果
- 改善への提案(学生からのフィードバック)
- 地域住民から直接話を聞く機会の増加(30%)
- 事前学習材料の改善(25%)
- ビデオ形式の導入
- 提供時期の早期化
- 資料量の適正化
- プログラム形式の改善(25%)
- 訪問時間の延長
- より小規模なグループ編成
- より多くの実践的活動の導入
- 今後の展望
- 事前・事後の評価導入による効果測定の改善
- 長期的な追跡調査の必要性
- カリキュラムへの継続的な統合の重要性
- コミュニティとの持続的な関係構築の必要性
- 研究の限界
- 単一イベントの調査である点
- 回答率の制限
- 一つの医学部での実施に限定されている点
結論
事前に地域社会に接し、地域社会に関する情報を得ることは、近隣での学習経験を高めることが判明した。 この取り組みは、学部医学教育において、地域資源や近隣に根ざした健康格差に早期に関わることの有益性を示している。