Computer vision syndrome and its relationship with sleep and fatigue in medical students.
Garlock, M., Speth, M. & McEchron, M.
BMC Med Educ 25, 1015 (2025). https://doi.org/10.1186/s12909-025-07503-1
研究の背景
コンピュータビジョン症候群(CVS)とは
定義: 長時間のコンピュータ使用や「スクリーンタイム」によって引き起こされる目や視覚の問題の集合体
主要症状:
- 目の疲れと乾燥
- 目の刺激感と充血
- 頭痛
- 視界のぼやけ
- 二重視
医学教育での問題
- コンピュータ技術の進歩により、医学教育での教授、学習、コミュニケーションがより効果的になった
- しかし、コンピュータ技術が学生の視覚・行動面の健康に与える影響についてはほとんど知られていない
- 医学教育においてコンピュータやデジタル機器の使用が不可欠となっている
- COVID-19パンデミック中に医学生のCVSが増加したことが他の研究で示されている
研究対象と方法
主な結果
有病率
症状の特徴
CVSで最も多い症状(平均スコア0.75以上):
- 頭痛(1.28)
- 目の乾燥(1.26)
- まぶたの重み(1.03)
- 視力の悪化(0.98)
- 視界のぼやけ(0.93)
相関関係
CVS、睡眠の質、疲労の3つの指標はすべて有意に相関していました(p<0.001)。
考察と意義
仮説的解釈とメカニズム
可能な因果関係パターン
パターン1: CVS → 睡眠障害 → 疲労
パターン2: 長時間学習 → 疲労/睡眠障害 → CVS脆弱性
パターン3: 複合的相互作用
- 上記のパターンが相互に影響し合う複雑なメカニズム
教育的含意と実践的提案
医学教育カリキュラムへの影響
具体的改善策の提案
- コンテンツ配信方法の多様化
- スクリーン時間を減らす教育方法の開発
- 従来の講義形式との組み合わせ
- 予防プログラムの実装
- 目の健康管理教育
- 適切な休憩時間の設定
- エルゴノミクス指導
- 追跡システムの導入
- 米国の医学校間でのスクリーン時間比較
- CVS発生率のモニタリング
今後の課題
社会的・臨床的意義
医学教育界への影響
将来の医師への影響
- 職業性健康問題: 医師のキャリア全体を通じた視覚的健康管理
- 患者ケアへの影響: 医師自身の健康状態が患者ケアの質に与える影響
- 専門的責任: 自身の健康管理の重要性認識
研究の限界
- 自己申告による調査データのみ
- 横断的研究のため因果関係は不明
- 客観的な眼科検査データの欠如