5cardsgame, innovative comprehensive integrative puzzle to enhance clinical reasoning in surgical technologist students: a pre-experimental study
Leila Sadati, Fatemeh Edalattalab, Rana Abjar, Sahar Karami & Niloofar Hajati
BMC Medical Education volume 25, Article number: 492 (2025)
研究の背景と目的
外科教育では、理論的知識と実践的スキルの間のギャップを効果的に埋めることが課題となっています。教室での概念と臨床環境での現実の間には大きな隔たりがあり、学生は理論と実践を一致させることに苦労しています。これが臨床推論(患者データを収集、解釈、評価して情報に基づいた決定を下すプロセス)の発達を妨げています。
この研究は、外科技術者学生の臨床推論を強化・評価するために修正した包括的統合パズル(CIP)「5CardsGame」を実施・評価しています。
理論的基盤
この研究は以下の理論に基づいています:
- 脚本理論(スクリプト理論):医学的知識が臨床文脈でどのように構造化され、保存され、適用されるかを説明するもの
- 認知負荷理論:情報提示の最適化によって学習効率を高める重要性を強調
- ゲーミフィケーション:ポイントやバッジなどの要素により、従来の学習を対話的で楽しい経験に変え、より深い関与と問題解決スキルを促進
方法
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ゲーム開発:
- 臨床インストラクターと教員からなるパネルが5つの一般的な外科手順を選定
- 各手順に5セットの色分けカードを作成(緑、ピンク、白、紫、黄)
- 各色は外科手順の特定の側面を表現
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ゲーム準備:
- 参加者にゲームの目的、ルール、その他のゲーミフィケーション要素について詳細な説明
- 各セクションに使用される色の説明
- ルールとして:試験に時間通りに出席、5つのシナリオをすべて完了、時間管理を考慮しながら論理的順序でカードを配置、最初のラウンドでは指導者に1つだけ質問できる機会がある
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ゲームプレイ:
- 各ラウンドで6人の学生が同時に参加
- テーブルに貼られた各シナリオに関連する5枚のカードをパズルのように組み合わせる
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評価:
- 速度と正確性の両方を評価するための包括的チェックリストを使用
- 正確性は各シナリオで0〜5点で採点(専門家が検証した回答に基づいて正しく選択したカードごとに1点)
- 時間測定には5つのシナリオすべての合計完了時間と個別シナリオの完了時間を含む
- 専門家パネルによって検証され、研究実施前に卒業生でパイロットテスト実施
ゲームの構成要素
- 対象となる外科手順:
- 開腹および腹腔鏡下胆嚢摘出術
- 虫垂切除術
- 開腹術
- 鼠径ヘルニア修復術
- カードの種類(色分け): 各外科手順について、5種類の色分けされたカードが用意されています:
- 緑色:術前ケア
- ピンク色:解剖学と外科手技
- 白色:術中ケアと器具
- 紫色:術後ケア
- 黄色:外科的合併症
ゲームプレイの流れ
- 準備段階:
- 参加者はゲームの目的、ルール、ゲーミフィケーション要素について詳しく説明を受けます
- 各色の意味を理解します
- ルール:
- 試験に時間通りに出席すること
- 5つのシナリオすべてを完了すること
- 時間管理を考慮しながら、論理的な順序でカードを配置して問題を解決すること
- 第1ラウンドでは、指導者に1つだけ質問できる機会があること
- 実際のプレイ方法:
- 各ラウンドで6人の学生が同時に参加します
- テーブルに貼られた各シナリオに関連するコンポーネントを表す5枚のカードを、パズルのピースのように一緒に組み合わせていきます
- 学生は各シナリオに関連する適切なカードを選択し、配置する必要があります
- ポイントシステム:
- 正確性と速度に基づいてポイントが付与されます
- 各ラウンド後に即時フィードバックが提供されます
- 評価方法:
- 各シナリオで正しく選択したカードごとに1点(0〜5点)
- 完了までの時間も測定されます
結果
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参加者特性:
- 36名(77.8%が女性)
- 平均年齢21.25歳(±0.91)
- 外科技術コースの平均スコア18.84(±1.70)
- GPAは0〜20の範囲で平均17.51(±1.22)、高い学業成績を示す
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ゲームパフォーマンスと臨床推論:
- 3回のテストセッションを通じて進歩的な改善
- スコア増加:第1テスト1.17→第2テスト2.39→第3テスト3.83
- 完了時間減少:第1テスト14.67分→第2テスト9.19分→第3テスト6.42分
- コーエンのdを使用した効果量計算では、すべての比較で有意な効果量(d=0.89〜2.62)
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相関分析:
- 3回のテストのスコア間に有意な関係(r=0.375〜0.655、p<0.05)
- 第1テストのスコアと完了時間の間に有意な負の相関(r=-0.547、p<0.01)
- 後続のテストでの完了時間は中程度の正の相関を示した(r=0.218〜0.673)
実践的応用
- 看護教育:患者評価とケア計画における臨床推論を強化
- 医学レジデンシープログラム:鑑別診断と治療計画に焦点を当てる
- 医療専門家の継続教育:ベストプラクティスや新しい手順の知識を強化・更新
また、遠隔学習や自己ペース練習を可能にするデジタル版の開発も可能性として提示しています。
研究の限界と将来の展望
- 前実験的デザインと対照群の欠如により、観察された改善を5CardsGameのみに確実に帰属させることが難しい
- ゲームパフォーマンスの向上が実際の臨床推論スキルにどう変換されるか、さらなる研究が必要
- 単一機関からの比較的小さなサンプルサイズ
- ゲームは外科手順の広範囲をカバーしているが、実世界の外科環境で遭遇するすべての複雑さと変動を網羅していない可能性
研究者たちは、より厳密なランダム化比較試験と、5CardsGameを通じて開発された臨床推論スキルの長期保持と実践的応用を評価するためのフォローアップ調査を提案しています。
この研究は、ゲーミフィケーションと脚本理論を統合したこの革新的なアプローチが、外科技術者教育において臨床推論スキルを効果的に向上させる可能性を示しています。