医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

チャットしよう 医学生の課題にChatGPTを組み込んで批判的分析を強化する

Let’s chat! Integrating ChatGPT in medical student assignments to enhance critical analysis
Chloe AntoniouORCID Icon,Achilleas Pavlou &Danagra G. Ikossi
Received 11 Sep 2024, Accepted 23 Oct 2024, Published online: 31 Oct 2024
Cite this article https://doi.org/10.1080/0142159X.2024.2421997

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0142159X.2024.2421997?af=R#abstract

教育的課題とは何か:人工知能(AI)の進歩は、教育と評価の進歩を追い越している。 レポートやポスターといった伝統的な課題は、ほとんどAIツールで作成できるようになったため、時代遅れになりつつあります。 教育者として、AIの倫理的かつ革新的な利用を促進しながら、学生に理解力、総合力、批判的思考力を示す機会を与えるために、既成概念にとらわれない課題を考案することが不可欠です。

背景と課題:

  • AIツールの急速な発展により、従来の課題(レポートやポスター等)が時代遅れになりつつある
  • AIの使用を禁止するのは現実的でなく、むしろ適切な活用方法を教育する必要がある

提案された解決策とは:伝統的な文献レビューの小論文の代わりに、私たちの医学部の3年生には、ChatGPTを使用してレポートを書くこと、出力結果を批判的に分析すること、AI出力と組み合わせた独自の研究を使用して最終レポートを作成することを要求する構造化された課題が与えられました。

解決策はどのように実施されたか:学生には、課題の過程におけるガイダンスに加えて、書面および対面プレゼンテーションの形で明確なガイドラインが提供されました。

ニコシア医科大学で実施された新しい課題の構造:

  1. 学生が研究トピックを選択し、提案書を提出
  2. ChatGPTを使用してレポートを作成
  • 最低3回のプロンプトでAIと対話
  • プロンプトの選択理由を説明
  1. ChatGPTの出力を批判的に分析
  • 良い点・悪い点の評価
  • 事実の正確性の確認
  • 参考文献の適切性の検証
  • 倫理的な考察
  1. 最終レポートの作成
  • AI出力と自身の研究を組み合わせる
  • 1500語程度の長さ
  • 最低10個の参考文献
  1. 振り返りレポートの作成

より多くの聴衆に関連する、どのような教訓が得られましたか? また、学問の旅をサポートする新しいテクノロジーに対する開放感も得られた。 この構成は、AIの効果的かつ倫理的な利用を促進するために、より広い範囲で使用するために一般化することができる。

結果

教員側の視点:

  • 学生のレポートの質が向上
  • 批判的分析能力の向上が確認できた
  • 文献調査とAI利用の両面での成長

学生側の視点(53名の振り返りから):

  • ポジティブな側面:
    • レポートの構造化に有効
    • 時間効率の向上
    • 良い出発点として機能
  • 気付きの側面:
    • AIの限界をより深く理解
    • 引用の不正確さを認識
    • 事実確認の重要性を学習
  • 特筆すべき効果:
    • 非英語母語話者の文章作成支援
    • テクノロジーへの積極的な姿勢育成

今後の展開


短期的な計画:

  • プレゼンテーションやポスターへの応用
  • より多様な課題形式への展開

中長期的な計画:

  • デジタルヘルスカリキュラムの拡充
  • 大学全体でのAI活用戦略の確立
  • 教員のAIリテラシー向上
  1. 革新的な点:
  • AIを禁止するのではなく、積極的に活用
  • 批判的思考とAI活用を組み合わせた学習設計
  • 段階的なプロセスによる深い学びの実現
  • 実践的なデジタルリテラシーの育成
  1. 教育的意義:
  • 生涯学習スキルの開発
  • 新技術への適応能力の向上
  • 批判的思考力の育成
  • 実践的なAI活用能力の獲得
  • 医療分野におけるデジタル技術活用の基礎作り