医学教育つれづれ

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地域密着型医学教育における健康の社会的決定要因を教えるプログラムの3年間の評価:質的データ解析のための一般的帰納的アプローチ

Three-year evaluation of a program teaching social determinants of health in community-based medical education: a general inductive approach for qualitative data analysis
Sachiko Ozone, Junji Haruta, Ayumi Takayashiki, Takami Maeno & Tetsuhiro Maeno 
BMC Medical Education volume 23, Article number: 332 (2023) 

bmcmededuc.biomedcentral.com

 

背景
健康の社会的決定要因(SDH)は、様々な社会的・経済的要因と複雑に絡み合っている。SDHについて学ぶためには、内省が不可欠である。しかし、SDHプログラムにおける内省に焦点を当てた報告はわずかであり、その多くは横断的な研究であった。我々は、2018年に導入した地域密着型医学教育(CBME)カリキュラムにおけるSDHプログラムを、学生のレポートにおけるSDHに関する内省のレベルや内容に基づいて縦断的に評価することを目的とした。

研究方法
研究デザイン 一般的な帰納的アプローチによる質的データ分析。教育プログラム: 日本の筑波大学医学専門学群における総合診療・プライマリケアの4週間の必修臨床実習が、医学部5年生と6年生全員に提供された。学生は、茨城県の郊外や地方にある地域の診療所や病院を3週間ローテートした。初日はSDHに関する講義を受けた後、学生はカリキュラム中の診察に基づいた構造的な症例説明を作成するよう指示された。最終日には、学生が少人数のグループセッションで経験を共有し、SDHに関するレポートを提出しました。プログラムは継続的に改善され、FDも実施された。研究参加者 2018年10月~2021年6月にプログラムを修了した学生。分析の結果 内省のレベルは、反省的、分析的、記述的に分類された。内容は、Solid Factsのフレームワークに基づいて分析した。

分析結果
2018-19年のレポート118件、2019-20年のレポート101件、2020-21年のレポート142件を分析した。内省的なレポートは2(1.7%)、6(5.9%)、7(4.8%)、分析的なレポートは9(7.6%)、24(23.8%)、52(35.9%)、記述的なレポートは36(30.5%)、48(47.5%)、79(54.5%)であった。その他は評価対象外であった。また、Solid Factsフレームワークの項目数は、それぞれ2.0±1.2、2.6±1.3、3.3±1.4であった。

結論
CBMEカリキュラムのSDHプログラムの改善により、学生のSDHに対する理解は深まった。ファカルティ・ディベロップメントがこの結果に寄与している可能性がある。SDHの内省的な理解には、より多くのファカルティ・ディベロップメントと社会科学と医学の統合教育が必要かもしれない。