The Effect of Information Presentation Order on Residents' Diagnostic Accuracy of Online Simulated Patients With Chest Pain
René A. Tio, MD, PhD; Marco A. Carvalho Filho, MD, PhD; Marcos F. de Menezes Mota, MS; André Santanchè, PhD; Sílvia Mamede, MD, PhD
J Grad Med Educ (2022) 14 (4): 475–481.
https://doi.org/10.4300/JGME-D-21-01053.1
背景
医師は診断情報をさまざまな順序で受け取ることがあるが、提示の順序が臨床推論に影響を与えるという実証的な証拠はない。胸痛患者の評価において、臨床医は病歴、心電図、検査所見という3つの礎石を頼りにしている。患者の病歴に関する知識は心電図の解釈に影響を与える。
情報を入手する順序が診断性能に影響を与える可能性がある。
目的
この問題を解決するために、我々は無作為化比較試験を実施した。心電図を先に見ること(EKGF)と病歴を先に聞くこと(HF)が診断成績に及ぼす影響を検討した。我々の仮説は以下の通りである。
(1)診断精度は提示する情報の順番に依存し、EKGFはHFに比べて診断精度が低い
(2)問題の各要素(EKGと病歴)に割く時間は提示の順番に依存し、その要素が最初に来るときは後に来るときに比べてより時間がかかる
(3) 初期診断を変えるのは問題の第2の要素にかけた時間によって変わる、
(4) 初期診断への信頼は問題の第2の要素にかけた時間と初期診断を変えるのに反比例する、である。
方法
2019年の研修医研修中に実験研究を行った。12の臨床症例が2回の診断ラウンドで提示された。研修医は心電図を先に見る(EKGF)か病歴を先に見る(HF)かにランダムに割り振られた。各診断ラウンドにおける平均診断精度スコア(範囲0-1)および信頼度(0-100)、診断に要した時間を評価した。
結果
最終的な診断精度は両群とも初回診断より高かった。1回目の診断では、HF(n=24)の方がEKGF(n=28)よりも診断精度が高かった。病歴判定に要した時間は両群で同等であった。心電図判定に要した時間は、HFの方が短かった(40±11秒 vs 64±13秒、P<.01)。2回目の診察に要した時間は、初診時の診断の変更と有意な相関があった。初回診断後の自信度には有意差が認められ、EKGFはHFに比べ自信度が低かった。
予想に反して、心電図と病歴の提示順は最終的な診断精度に影響を及ぼさないことがわかった。しかし、初期診断の精度はHFの方が高かった。興味深いことに、HFとEKGFは病歴に同じ時間を費やしたが、EKGFは心電図に多くの時間を費やした。その結果、EKGFはトータルでより多くの時間を費やした。仮説どおり、初期診断の変更は、問題の第2要素に費やされる時間量と強く関連していた。最後に、初期診断の信頼度は、診断の変更と負の関係を有していた。
結論
病歴と心電図を提示する順番は、臨床推論のプロセスに影響を与える。EKGFでは初期診断精度が低かった。その後、病歴に時間をかけるほど、診断精度だけでなく、修正率も高くなる。EKGFは最終的に診断精度を低くすることにはつながらない。しかし、病歴の知識は心電図の判断を迅速かつ容易にする。