医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

臨床推論、分解。初心者のための教えやすいフレームワーク

Diagnostic Reasoning, Deconstructed: A Teachable Framework for Novices
Jackson, Jennifer MD1; Williams, Donna MD2; Wolfe, Rachel MD3; Manthey, David MD4
Author Information
Academic Medicine: June 2022 - Volume 97 - Issue 6 - p 933
doi: 10.1097/ACM.0000000000004602

 

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臨床推論とは、臨床医が患者に関する情報を収集・分析し、診断・管理計画を策定するプロセスである。以下のフレームワークは、臨床推論プロセスを簡略化し、医学生が明示的に理解できるようにし、時間をかけて認知スキルを構築するための足場となるものである。

 

データ収集 
- 臨床医は、患者の病歴と身体所見を調査し、問題表現(症例の臨床的特徴を総合したもの)を作成する。

 

鑑別診断の作成 
- 疾患スクリプトは、疾患の臨床的特徴、病態生理、危険因子を保存し、整理するための知識構造です。臨床医は経験とともに疾患スクリプトを開発し、改良していく。
- 臨床医は、パターン認識によって自動的に、あるいはじっくりとした分析によって、一致する病名スクリプトを特定することができる。

 

鑑別診断の補正(Calibration)
- キャリブレーションとは、臨床家が自分の思考プロセスを振り返り、認知バイアス(推論におけるエラーを引き起こす可能性のある思考の素因)を特定し緩和するためのメタ認知的チェックポイントである。
- 臨床医は、検討中の疾患と患者のプレゼンテーションを比較対照し、推論に影響を与える状況的要因(ストレス、疲労、認知的過負荷など)を識別し、よくある落とし穴を避けるために認知的偏向戦略を適用します。

 

 仮説の検証
 - 臨床医は、診断のための証拠または診断に反する証拠を収集することによって、仮説を検証する。診断テスト、患者の臨床経過、治療に対する患者の反応から、特定の診断が示唆されることがある。
 - これらのデータは、鑑別上の疾患とより密接に、またはより逸脱するように、問題の表現を変更する。

 

診断の選択と継続的な調査 
- 臨床医は、鑑別診断を更新するため、あるいは実用的な診断を確立するために、修正された問題表現を用いる。
-再調整とさらなる仮説の検証は、診断をより明確にするのに役立つ。
- その後、臨床医は適切なマネージメントを開始し、患者の反応を観察する。