医学教育つれづれ

医学教育に関する論文のPOINTを書き出した備忘録的なブログです。

COVID-19が国際的医学教育に与える影響と日本の医学生の将来計画【第2版;査読:2名承認】

Impact of COVID-19 on international medical education and the future plans of medical students in Japan [version 2; peer review: 2 approved]

Houman Goudarzi Masahiro Onozawa, Makoto Takahashi

 

https://mededpublish.org/articles/12-15/v2?src=rss

 

背景

本研究の目的は,コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが,医学生の現在の勉強方法や将来設計に与える影響を,パンデミック前と比較して評価することであった.
方法は以下の通り。北海道大学において,医学部2年生がパンデミック前(2016年から2019年の間)とパンデミック時(2020年)の学業経験,勉強方法,将来のキャリアプランを質問紙調査により報告した(n = 534)。


結果

2016年から2019年にかけて、学生の間では短期国際交流プログラムへの参加、米国医師免許試験(USMLE)の受験、臨床研修、海外での研究実施などが増加傾向にあることが分かった。しかし、2020年のCOVID-19流行時には、2019年と比較して、短期留学(-27.9%)、USMLE受験(-19.8%)、臨床研修(-24.5%)、海外研究(-13.2%)などすべての将来計画でその割合は大幅に減少(35.5%)し、上記4つの学術活動のうち少なくとも1つを希望する学生は67.9%であった。

 

結論

2016年から2019年にかけて、本学医学生における学生のアウトバウンドモビリティの増加傾向が観察されたが、2020年にはCOVID-19パンデミックがこの傾向に悪影響を及ぼした。パンデミックが医学教育や学生の移動の軌跡に及ぼす長期的な影響を明らかにするために、さらなる縦断的研究が必要である。

 

メッセージ

COVID-19パンデミック以前は、2016年から2019年にかけて、本学医学生の短期国際交流プログラムへの参加、USMLE受験、臨床研修、海外での研究実施が増加傾向にあることが分かりました。
2020年には、2019年と比較して、短期交換留学(-27.9%)、USMLE受験(-19.8%)、臨床研修(-24.5%)、海外研究実施(-12.3%)など学生の国外への移動希望が大幅に減少していることが確認されました。
2019年には、上記4つの学業活動のうち少なくとも1つを希望する学生が67.9%いたが、パンデミック時の2020年には35.5%に減少している。
COVID-19のパンデミックは、本学医学生の臨床・研究研修のための海外渡航計画に悪影響を及ぼし、大きな影響を与えた。
パンデミックが医学教育や学生の移動の軌跡に及ぼす長期的な影響を明らかにするために、さらなる縦断的研究が必要である。