Providing Delayed, In-Person Collected Feedback From Residents to Teaching Faculty: Lessons Learned.
Finn KM, Healy MG, Petrusa ER, Borowsky LH, Begin AS.
J Grad Med Educ. 2024 Oct;16(5):564-571. doi: 10.4300/JGME-D-24-00029.1. Epub 2024 Oct 15. PMID: 39416410; PMCID: PMC11475427.
背景
教員は研修医のスキル向上のため、タイムリーなフィードバックを求めている。 しかし、匿名化されたプロセスであっても、研修医が特定や影響について懸念を示すため、このような上向きのフィードバックを得ることは困難である。
目的
匿名性を高め、適時性を犠牲にした上で、研修医からのフィードバックの質と内容に関する教員の認識を調査する。
方法
【フィードバック形式】
- 面談方式:
- プログラム副責任者が各PGY-2研修医と10分間の個別面談
- ローテーション終了直後に実施
- 質問内容: 以下の4つの標準質問を使用
- 指導医についてどうでしたか?
- 教育スタイルはどうでしたか?
- 自律性のレベルについて説明できますか?
- 長所と改善が必要な領域は何ですか?
- 記録方法:
- 回答をリアルタイムで入力
- 病院の共有ドライブに保存(アクセス制限付き)
- フィードバックの提供方法:
- 6年分のデータを2019年にまとめて提供
- 時系列を並べ替えて研修医の特定を防止
- 各研修医のコメントは独立した段落として提示
時間指定の任意、匿名、36項目のクローズドエンド型アンケートを3回実施し、フィードバックの内容と価値について尋ね、フィードバックが賞賛、建設的、批判のいずれであったかを自己申告するよう求めた。
結果
189名の教員が参加し、140名が3回すべてのアンケートに回答した(回答率74.1%)。 教員は、以前のフィードバックとは対照的に、今回のフィードバック内容は質(81.0%、100人中81人)、量(82.4%、102人中84人)ともに高いと回答した。 85.4%以上(103人中88人)の教員が、今回のフィードバックがより具体的であることに同意した。
- フィードバックの内容変化:
従来のフィードバック vs 新方式
- 称賛:50% → 35%(減少)
- 建設的な否定的フィードバック:5% → 20%(増加)
- 具体的な行動改善提案が増加
- フィードバックの焦点:
増加した項目:
- 教育能力(92.9%)
- 臨床知識(72.1%)
- リーダーシップスキル(67.9%)
- 時間管理(72.1%)
減少した項目:
- 患者とのやり取り(47.1%)
- 時間経過による評価の変化:
直後の評価:
- 94.3%が価値があると評価
- 82.9%が行動変容の意図を示す
3ヶ月後:
- 価値評価が84.3%に低下
- 行動変容の意図が63.6%に低下
- 教育改善への関心が77.9%に低下
- 教育役割への不満が23.6%に増加
考察
- 匿名性と具体性のトレードオフ:
- 時間差により匿名性は向上
- より具体的で建設的なフィードバックが可能に
- しかし32.1%は依然として研修医を特定できると回答
- フィードバックの質的向上:
- 単なる称賛から具体的な改善提案へシフト
- 教育スキルに焦点を当てた内容の増加
- より率直で誠実なフィードバックが得られた
- 課題と限界:
- 最適な時間差の設定が不明確
- 完全な匿名性確保は困難
- フィードバック効果の時間経過による低下
- 単一施設での研究という限界
- 実践的な示唆:
- 匿名性確保のための時間差は必要
- しかし過度の遅延は価値を低下させる可能性
- フィードバックの即時性と匿名性のバランスが重要
- フィードバック実施にはかなりの時間投資が必要
結論
フィードバックの実施に大幅な遅延を設けることで、匿名性が高まり、研修医がよりニュアンスの異なる建設的なコメントを提出できるようになった。